君へのプレゼント ~3月27日~
3月27日。その日はたいしてやることもなく、
僕は暇人と化していた。
僕は君に会える時間になるまで、
横になったり、時々妹と遊んでやって時間をつぶした。
──ようやく時間になった。
あの公園に君が現れるのは、夜の9時。
なぜそんな遅い時間に君がいるのかはわからない。
僕は君に会えれば、それでいい──……。
親には「気晴らししてくる」とだけ言って、
桜ノ宮公園に向かった。
そこにはやっぱり君がいて、いつもと同じように
ブランコに座り、空を見上げていた。
──でも空には、月も星も雲に覆われ、
一つとして見えなかった。
そんな空を見上げている君の表情は、
いつもと違って、暗く寂しげだった。
──救いを求めている…。
僕には
そんなふうに感じられた。
僕はその場を離れ、一度家に戻った。
再び桜ノ宮公園に来た時には、10時を過ぎてしまっていた。
僕は手にしていた物を君に差し出し
「笑って…?」
と言った。
すると君は、ゆっくりと僕のほうを見る。
「これ、あげる。」
僕が手にしていたのはしだれ桜のしおりと、
咲き誇るしだれ桜に、
散っていく桜の中、星空を見上げる君の姿を
絵にしたものだ。
「桜…しだれ桜…。これは…私…?」
「そうだよ。僕、絵描くの好きなんだ。
…というより、得意っていうほうかな。」
「…ありがとう。」
君はつぶやくようにそう言ってほほえんだ。
僕はそのほほえみを記憶に刻み込む。
「やっと…笑ったね。」
「え…?」
「やっと笑った。」
僕は君に笑いかける。
すると君も笑ってくれた。
…………………。
「……──あの…さ…。
友達になっても…いいかな…?」
とっさに思いつき、ついそれを口にしてしまった。
絞り出すように言った僕の質問に、
君は驚きながらも笑顔で、
「もちろん。」
と言ってくれた。
僕は「サンキュ!」と言って
「また明日」
そう言い残し、家に走って帰った。




