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名前も知らない君に僕は恋をした  作者: 桐生桜嘉
君と過ごした日々 
4/13

君へのプレゼント ~3月27日~

 3月27日。その日はたいしてやることもなく、

僕は暇人と化していた。

 僕は君に会える時間になるまで、

横になったり、時々妹と遊んでやって時間をつぶした。



──ようやく時間になった。

あの公園に君が現れるのは、夜の9時。

なぜそんな遅い時間に君がいるのかはわからない。


 僕は君に会えれば、それでいい──……。


親には「気晴らししてくる」とだけ言って、

桜ノ宮公園に向かった。


そこにはやっぱり君がいて、いつもと同じように

ブランコに座り、空を見上げていた。


──でも空には、月も星も雲に覆われ、

一つとして見えなかった。


そんな空を見上げている君の表情は、

いつもと違って、暗く寂しげだった。


──救いを求めている…。


僕には

そんなふうに感じられた。


僕はその場を離れ、一度家に戻った。


再び桜ノ宮公園に来た時には、10時を過ぎてしまっていた。


僕は手にしていた物を君に差し出し


 「笑って…?」


と言った。


すると君は、ゆっくりと僕のほうを見る。


「これ、あげる。」


僕が手にしていたのはしだれ桜のしおりと、

咲き誇るしだれ桜に、

散っていく桜の中、星空を見上げる君の姿を

絵にしたものだ。


「桜…しだれ桜…。これは…私…?」


「そうだよ。僕、絵描くの好きなんだ。

  …というより、得意っていうほうかな。」


「…ありがとう。」


君はつぶやくようにそう言ってほほえんだ。


僕はそのほほえみを記憶に刻み込む。



 「やっと…笑ったね。」



「え…?」


「やっと笑った。」


僕は君に笑いかける。

すると君も笑ってくれた。


 …………………。


「……──あの…さ…。

  友達になっても…いいかな…?」


とっさに思いつき、ついそれを口にしてしまった。


絞り出すように言った僕の質問に、

君は驚きながらも笑顔で、


 「もちろん。」


と言ってくれた。


僕は「サンキュ!」と言って



 「また明日」



そう言い残し、家に走って帰った。



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