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銀河舞踏会 ガンマ・ジュリエット  作者: やまなし
第十三話(第一部最終回) 「不幸万歳! あとに残るは希望だけ : vs. Cordelia」
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アバンタイトル


   アバンタイトル


 新しい銀河舞踏会の参加者は、〈エレガントキメラ〉代表CEOのコーディリア、同エドマンドだった。

「今が最悪なんて呑気に口にしている間はまだマシだ、ってのはこのことか。ああっ――」ジュリエットは顔を顰めて短い悲鳴を上げる。ハムレットに背を踏みつけられたまま、髪を鷲づかみに、馬の手綱のように引いたからだ。

「髪はやめてくれ。抜けたらどうする」

 そんなジュリエットを無視し、ハムレットの視線の先はコーディリアだった。

「遅れた到着には謝罪いたしますが、灰炎のジュリエット、お貸しいただけますか、つるぎの王子様」

「その胆力、さすがというべきか――。しかし、未完成のワルキューレの暴走。これをまずもってとめるすべなくては、まともに舞踏会も開催できません」ハムレットが観月に睨みを利かせる。

 いぜんとして、羽衣から生まれる白銀の龍が銀河舞踏会を縦横無尽に食い荒らしている。

 この想定にない舞台荒らしに対し、コーディリアの返答はさらに予想の上を超えた。

「なにか、問題でも」

 ハムレットは口の奥で舌打ちし、状況を説明する。

「ワルキューレが生み出す白銀の龍は記憶の並列化を強制します。コーディリア様とて、一国の代表としてインシデントの観点からこれを傍観するわけにはいかんでしょう」

「構いませんのよ。いまさらわたくしに恥じらう記憶がありまして」コーディリアは顎を引いて、静かに、だが確かなプレッシャをハムレットをかける。

「悪夢の王女・コーディリア――、か」

 ハムレットは振り返る。ワルキューレの暴走をとめるか、それともこの場を預けるか。

 最悪選択は、ワルキューレの暴走の渦中でコーディリアを相手にすることだ。

「舞台袖に引くとしましょう……」呟いて、ハムレットはCEO客席へと戻る。もちろん、その場とて羽衣の白銀の龍から安全ともいえはしないのだが。

「コーディリア。いまはぼくらが争っている場合じゃあない……」ジュリエットは痛む躰に鞭打って立ち上がる。

「わたしは感謝しているのよ、ジュリエット」

「感謝」ジュリエットは聞き返す。

「あなたがいなければ、わたしはまだ、ただの学生として〈スーパーシー〉で無為な時間を過ごしていたことでしょう。お父様の愛を取り戻す希望も見いだせず、死んだ人生を」

「コーディリア、それはちがう。リアの娘なんて名を棄ててしまえばよかったんだ。悪夢の王女だって思う限り、その愛は呪いだ」

「あなたには言われたくないわ。赤の魔女、灰炎のジュリエット」

「幼いぼくの恋だって、憎い人から生まれたものだ。知らずに逢うのは早すぎた」ジュリエットはいまだ騒然とする舞踏会で、だれの耳にもよく聞こえる声で告白した。「けれど、知ったときには遅かったなんては思わない。ぼくはロメオ様を愛している。何度だって繰り返す。ぼくが戦う理由はロメオ様のためだ。彼のためなら、この身のすべて差し出すほどに――」

「また戯言を……」

 ジュリエットは舞踏会を見渡しながら叫んだ。

「コーディリア。いま君を大事にしている人の声を聞け。だれだ。だれがそそのかした。コーディリアに封印したアンドロメダを奪取しろなんてそそのかした馬鹿野郎は」

「わたしです」一歩前に出たのは、ジュリエットと二度剣を交えた騎士、鬼神エドマンドである。

「さがりなさい、エドマンド。あとはわたしに」

 エドマンドは一礼して、身を客席へと引く。

「あなたを捕らえればアンドロメダの強奪も、すべてはお父様への愛としてご理解いただける。わたしは、やっと胸を張って第三王女を名乗れるわ」コーディリアはアンドロメダを硬く握り、その力を引き出した。「結末こそが、すなわち名誉である。コーディリアR1」

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