手がかり
こんにちは
改めまして、南沢 朝弥の作者の秋雨です
長い間更新しなくてすみません
屋上に人影が動いているのが見えて、とっさに叫んだけど遅かった。
ばしゃっ!と、豪快な水音と小さな悲鳴が上がった。
「っ、いた……」
一度屋上の写真を撮って、そっちのほうを向く。
「に、西川君っ、大丈夫!?」
「……あーあ、真っ黒けだ」
茜に突き飛ばされたらしい吉野と、真っ黒になった茜がいた。
思わずシャッターを切ったのは仕方ないと思う。
「全く、落ちなかったらどうしようか……」
黒くなった服を伸ばし、水気を切る。
「その前に犯人を捕まえないとね。ふふふ……」
こ、怖ぇ……。
「あ、あと朝弥」
「な、なんだ?」
「写真、消してよ?」
「イエスボス!!」
にっっっこりと笑う茜にはぜってぇ勝てねぇ……。
「西川君……あの………」
吉野が俯き加減で寄ってきた。
「ごめんね、大丈夫……じゃないよね」
「まあ、制服はもう使えないかな。でも犯人に弁償させれば良いし、問題はないね」
「本当にごめんね」
吉野は持っていたハンカチで茜の顔を拭いた。
「え、よ、汚れるから!」
「いいの、このくらい」
なんか良い雰囲気だな。
って、そうだ、屋上!
思いついた瞬間、走り出した。
後ろで声が聞こえたけど気にしない。
階段を駆け上がる。
そして、屋上の扉の前。
ここまで来るのに、誰とも会わなかった。
ということは犯人がこの先にいるかもしれない。
大きく息を吸ってドアノブを握る。
勢いよく扉を開けた。
「…………あれ?」
誰も、いない。
「あー、くそっ」
逃げたあとかよ……。
ため息をひとつつくと、ゆっくりと階段を下りた。
「おかえり。その様子だと犯人いなかったみたいだね」
さっきよりマシになった茜。
「おう……。誰もいなかった」
「そう」
吉野から受け取ったらしいハンカチで眼鏡を拭いてかけた。
「あ、そうだ。新事実発覚したよ」
「え、マジ!?」
「マジ。この黒いやつ、黒の絵の具を溶かした水だ」
墨汁じゃなかったのかよ………。
あ、そうだ。
「オレも写真撮ったんだった」
「ほんと?ちゃんと写ってたら大手柄だよ!」
カメラの電源を入れてデータを見る。
「えーっと、これこれ」
「え、これ?ブレてるけど………」
眉間にしわを寄せている茜を見ながらふふ、と不敵に笑った。
「このくらいのブレなら全然問題ないぜ。修正かければいいだけだし」
「流石。カメラのことだけは詳しいね」
「当然!」
とりあえず、このことを真実と由輝に知らせねーとな。
女子は一体どこに………
次はプー太さん!