第15話 鉄筋説
長安王宮前
李光は魏匠に苦戦していた。既に左腕の骨は折られ、腹に拳の跡が残っている。
「…ハァ…ハァ…」
「どうした小僧!それで終わりか!」
魏匠が豪快に笑う。
_数分前のこと
魏匠との戦闘を始めた李光は地面を蹴ると同時に、お得意の"雷手・雷脚"で魏匠に当てた。彼の速度は魏匠をはるかに超えており、序盤は一方的に蹂躙しているように見えた。
しかし、魏匠には李光の電撃が通用せず、逆に掴み返されてしまった。力は圧倒的に魏匠が上で、李光は人差し指の骨が折れてしまった。その後は魏匠による一方的な暴行。魏匠は壁も軽々と破壊するそのパワーで、李光を殴り続けた。
「これからくたばるテメェに教えてやるよ。俺様の思超は"鉄筋説"!俺の腕は筋肉から骨の髄まで金属のように硬化する!」
魏匠の思超【鉄筋説】は、「物体を支えるためには、内部に硬い支えが必要」と記した同名の著書から生まれた成体式の思超。使用者の意思に合わせて、腕の内部を金属規模まで硬化させることができる。
確かにスピードは李光が上だったが、パワーは圧倒的に劣っている。そのため、彼が魏匠に与える決定打が初めからなかったのだ。
こうして、今に至る__
李光は全身がボロボロになっても尚立ち上がった。
「ケッ!おとなしく死んだふりでもしとけばよかったのによぉ!」
魏匠はまた、腕を振るう。
「俺はこの長安が大好きだ。だから、この街を荒らすお前を絶対に許さない!」
李光は全力で叫んだ。大きな電気がバリバリと身体を巡った。
「さぁ来い!勝負だ!」
李光は構えた。次の瞬間、魏匠の突きを何度もかわし、彼の腹筋に手を当てた。
「……"雷伯撃"」
李光の全身の雷が魏匠に流れ込む。腹筋から侵入した電気は全身に伝わった。
「!?ンオ゛!!ゴあああ!」
魏匠は突然、汗を流した。雷は特に筋肉に響き、痛みを和らげようと、魏匠は腕を振り回した。
だが、疲労の溜まった状態での最大の電撃"雷伯撃"を放った李光は目まいを感じ、頭から倒れそうになっていた。
そんな李光を支えたのは、司馬章だった。
「遅れてごめん、李光」
「おせぇよ…バカ…」
過呼吸気味に返事をすると、後から駆けつけた孫操備の肩に寄った。
「操備、李光を連れて王宮へ行ってくれ。コイツは俺が倒す!」
孫操備はうなずいた。
「了解!」
孫操備は李光を抱えると、王宮へ進んだ。
「いってぇな…!クソ!」
魏匠は腕を振り終えた。司馬章は、彼が腕を振っている間、攻撃をせず、振り終えた瞬間に質問した。
「お前は…反乱軍か?」
「あぁそうだ!俺は反乱軍の思超家組織"藍晶"の右一席・魏匠だ!」
司馬章は質問を続ける。
「お前は…洛陽で俺の祖父を殺した"天上王真理公子"を知っているか…」
「ガハハ!なるほど、敵討ちってわけか!」
「質問に答えろ」
「残念だが、奴はここにはいないぜ!奴はまだ洛陽にいるからなァ!」
司馬章は聞きたいことを全て聞き足すことができた。後は長安を抜けて天理を殺すだけだが、この事態でそれは出来ないだろう。
「おおっと!だが、てめぇの復讐劇はここでこの魏匠によって潰える!天理の元へは行かせねぇよ!!」
魏匠はいきなり殴りかかった。司馬章はこの長安で、大きな敵に立ち向かうことになる。




