表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
BEYOND SOUL  作者: 史邦ヒスト
東章 長安編
13/63

第13話 長安に差し掛かる闇

 長安に夜が訪れた。長安では夜の外出は禁止されていたが、今日は特別に許される日だった。何故なら、迫りくるであろう反乱軍に備えて兵士たちは戦闘態勢になり、民衆には西方への避難が勧められていたからだ。

 多くの道に灯籠(とうろう)の灯りがついており、民衆はザワザワとしながら避難の準備をしていた。

 洛陽の民のようにならないために。


 司馬章たちは、灯りと人で埋め尽くされた道路を掻き分け、王宮に辿り着いた。


「大丈夫か?」


 李光が二人に声を掛ける。


「この先、想像以上の強敵とぶつかる。楊国忠(ようこくちゅう)思超堂(しちょうどう)思超家(しちょうか)たち(いわ)く、長安最凶だ」


 楊国忠自身も思超家であり、思超堂の学者たちの間でもたびたび話題になっていた。


 __悪魔のような力と心を持っている、と。


 孫操備が言った。


「分かっている。それに、楊国忠だけじゃない。王明も、いつでも僕らを襲いに来ることができるだろう」


(王明は、俺達より優先して倒すべき敵がいたとか言っていたな…。王明も怖いが、王明の対象者は一体どんな人物なんだ?)


________________________


 長安上空

 夜空を馬車が駆け抜けていく。馬が雲を蹴り上げて飛んでいるのではない。馬車が馬ごと浮いているのだ。

 車両の中には、二人の男が景色を眺めて座っていた。


「ついに来たか。長安!」


 大柄な男が外を見下ろす。もう片方の男は(うつわ)を浮かせて水を飲んでいる。


「お前はここで降りるのか、魏匠(ぎしょう)

「あぁ!王宮の中のクソ役人どもも、クソ宦官(かんがん)どもも、俺を裏切ったクソ衛兵(えいへい)どもも皆殺しだァ!」


 魏匠は怒りながら応答した。


「そうしてくれ。我らは長安で人を殺しまくり、内部から崩すことが仕事だ」


 もう一人の言葉に魏匠は言葉を止めた。


「…ッ」

「まー分かるぞ。お前は元、長安の近衛隊長(このえたいちょう)だったそうだな。お前を(した)った民を手にかけることを躊躇(ちゅうちょ)するとは、お前も人間らしい」

「うるせぇ!黙れ!孟寧(もうねい)!」


 孟寧の言葉をさえぎり、魏匠は酒をガツガツと飲んだ。


「んじゃ、もう行くぜ。王宮の奴らは情なく殺せる」


 こうして、大柄な男・魏匠は馬車の扉を開け、上空五百メートルはある高さから飛び降りた。


「はぁ、派手に降りるなぁ。私はゆっくりと降りてゆこう」


 孟寧は馬にかかる重力を操作し、さらに前方に進んだ。

 この二人こそ、反乱軍の思超家組織・乱晶(らんしょう)右一席(ういっせき)魏匠(ぎしょう)左二席(さにせき)孟寧(もうねい)である。


 王宮内は大騒ぎだ。まず、皇帝・玄宗(げんそう)楊貴妃(ようきひ)逃亡支度(とうぼうじたく)をしなければならない。なんとか、その日の夕方にはすべての準備を終え、二人は馬車に乗り、今にも脱出が可能な状態となっていた。衛兵たちは皇帝と楊貴妃の乗る馬車を城外の兵団まで送った後、大急ぎで王宮へ戻り、楊国忠の護衛を勤めた。

 その時だった。ものすごい速度で王宮南門に"何か"が降り落ちてきた。土煙(つちけむり)は大量に舞い、それが晴れると、一人の屈強な男の姿が見えてきた。


「うらぁぁあああ!」


 雄叫びを上げし男は魏匠だった。彼は着地後まもなく、近くにいた衛兵5名を殴り殺した。


「て、敵襲ゥゥー!!!」


 それを見た他の衛兵が叫び、その声は衛兵、住宅路の市民、司馬章たちにも聞こえた。


「急げ!南の城門から脱出しろ!」


 住宅路にいる衛兵らが市民に避難を呼びかける。司馬章たちは、市民の進行方向と真逆の方向を見た。


「マズい…楊国忠どころじゃなかった!」


 李光はそう言うと、二人を置いて王宮へ走り出した。彼は雷の速度ほどではないが、足がとても早く、あっという間に魏匠と遭遇した。


「……お゛!?なんだテメェ…」


 魏匠は首をゴキゴキと鳴らしながら李光に近づいた。彼は既に、16名の衛兵を殺していた。


「派手にやってくれんじゃあねぇか。思超家気取りの犯罪者がよォ」


 李光の纏う雷がバチバチと光る。

 お互い、拳を強く握り、戦闘態勢をとった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ