2-2 不和を生むスタート
<転移終了まで……3・2・1……>
「うひょう!?」
ドサドサドサ!
ローラのアナウンスが終わった瞬間、俺達は地面に投げ出される。昔のアニメとかでありそうな穴から放り出されたと言えば伝わるだろうか? 料理皿を持ったまま、顔面ダイブし、顔を上げる。
「くそ……次帰ったら神くらい殺してやろうか……」
そんな不穏なことを呟いた途端、背中に重さを感じた。
「あ、ごめん陽!?」
「ごめんなさいー!」
「ぐあ……!? そして柔らかい!?」
背中には綾香が。そして転がってきたフィリアの胸が俺の顔を包み込む。
「ごめんなさいごめんなさい!」
「問題ないぜ。ケガは無いか?」
<鼻血を拭いた方がよろしいかと、マスター>
うるさいよ!
皿を持ったまま何とか立ち上がり、辺りを見渡すとかなり殺伐とした景色が広がっていた。
「……っと、こりゃまた困ったところに出て来たな」
「もぐもぐ……もうちょっとゆっくりさせてほしかったわね」
「あ、食べるんですねちゃんと。あ! あそこ! ハルさん、あそこに人がいますよ!」
フィリアが困り顔で呟きつつ、俺と同じく周囲を見渡していると人を見つけたらしく、指差しながら叫ぶ。俺もそっちを見ると、確かに数人の人影が見えるが……
「あれ、襲われてないか?」
「ごくん……盗賊っぽい服ね」
あー、ここもファンタジーな世界ってことか……とりあえず見捨てるのも寝覚めが悪いし、助けるか……そう思ったところで、コントローラーから信号音が発せられた。
ピッピ
<マスター。ゼアト様から通信ですよ>
「お、来たか。急いでいたから目的地を教えてくれるのかね? はい、陽ですけど」
コントローラーに声をかけると、ゼアトのおっさんのでかいこえが辺りに響いた。
『おお! 到着したか! 早速で悪いが、主人公が大ピンチだ! その辺に盗賊に襲われているやつが居ないか? そいつが主人公の"チェイロ”だ! 大きなカバンを持っているからすぐわかると思う。死んだら即終了だから早く見つけてくれ!』
盗賊……男……はて、どこかで……
「あ、陽、あの人刺されそう」
「……」
「あの、人じゃないですかね……?」
フィリアが呟き、よーくみなくても特徴的なカバンを下げており、盗賊がそれを狙っているようだった。
「うおおおおお! ちょっとそこの盗賊どもストォォォォプ!!」
◆ ◇ ◆
「へへっへっへ。良いカバンを持ってるじゃないか。商人かい? そいつを俺達に渡しな。そうすれば苦しまずに殺してやるからよ?」
「これだから盗賊は止められないんだよなあ! ここは領地として認められていない外れ地帯だ。そんな危険地帯に一人で武器も持たずにウロウロするなんて殺してくださいって言ってるようなもんだぜ!」
「ひ、ひい……カバンも渡せないし、命を取られるわけにも行きません! 病人が町で待っているんです……」
説明的な盗賊に狙われている私の名前はチェイロ。カバンから商人だと思われていますが、私、これでもお医者さんなんです。外れ地帯ということは分かっていましたけど、どうしてもここを通らないと患者さんがいる町の”ラクシネズ”に行くことができないのです。
そして運悪く、盗賊に見つかった私は今、こうして、命の危機と――
「それにしても兄ちゃん、運が無いなぁ。俺達も久しぶりに通ったんだぜ? 他の日か、日が暮れてからなら良かったのになぁ!」
「……え? 今何て言いました?」
「だから、他の日――」
「いえ、その前です」
「あん? 『それにしても兄ちゃん』だっけ?」
ゴゴゴゴ……
「ま、どうでもいいやな。早いところ殺し――」
ゴッ!
「おぷあ!?」
ゴロゴロゴロ! 派手に吹っ飛ぶ盗賊の一人。私はそのまま首をギギギ……と動かし、もう一人に目を向ける。
「野郎、やりやがったな!?」
「また言ったな?」
「意味がわからねぇよ! シッ!」
盗賊がナイフを振りかざし襲いかかってくる。
「私は……女だぁぁぁぁぁ!!」
「ぷぎゅる!?」
刺し貫こうとしてきたナイフをカウンター気味に躱し、顔面に拳を叩きこむ……!
「へへ、いいパンチ……持ってるじゃねぇ……か……」
「やかましい! 死ね!」
「酷い!? おぼろろろろろ……」
確かに私は胸も無いし! 髪もショートだけど! 可愛い顔をしているねって近所のおばあちゃんに言われるんだから!
「ふう……行くか……」
言葉遣いが悪いせいかな? 女の子らしくってどういうのなんだろう……そんなことを思っていると、ドドドド! と、すごい勢いで向こうから誰かが走ってくるのが見えた。
「うおおお! 今助けるぞぉぉぉぉ!」
右手に剣、左手に……皿? 意味が分からないけど、この盗賊達の仲間ってところかな? よく見ればもっと後ろに可愛い女の子が二人佇んでいたからだ。誘拐だろうか? となると、私もあの『可愛い女の子達』のように誘拐されるところだったのかもしれない。
「コテンパンにしてやる……」
コキっと、私は指を鳴らした。
超久しぶりで申し訳ありません……!
【後書き劇場MK2】
『三か月弱ってところね』
仕方ないじゃない! 書籍化作業が忙しかったんだもの
『言い訳、ダメ、絶対』
お前、この作品だ生命線だからだろう!?




