鉄の重みと泥臭い連携
ゴードンの店で装備を整えた俺たちは、そのままギルドへ向かい、ランクEの『市街地外縁の巨大ネズミ駆除』を受注した。
目的は稼ぎではなく、新調した鉄装備の重さに体を慣らすことだ。
アル「……やっぱり、今までとは腕の振りが違うな。籠手が重い分、槍を突き出す速度がほんの少し遅れる」
セシル「でも、その分だけ槍の穂先に遠心力と体重が乗っているよ。それに、もし噛みつかれても鉄なら弾き返せる。あとは僕たちの魔法とミラの追撃で、その遅れをカバーする陣形を試そう」
廃材置き場に潜んでいた巨大ネズミの群れが、俺たちに向かって一斉に飛びかかってきた。
ガンテツ「ガハハ! 来やがれドブネズミども! わしの新しい鎧の試し打ちだわい!」
ガンテツが前に出て大盾を構える。何匹かのネズミが盾をすり抜けて彼の胸元に噛みついたが、鉄の胸当ては不快な金属音を立てるだけで、鋭い牙を完全に弾き返した。
俺はその隙に槍を突き出す。セシルの言う通り、振りは少し重いが、その分だけ深く突き刺さる。
フィオが木箱の上から矢を放ち、ミラが死角からトドメを刺していく。
何度か陣形とタイミングを微調整しながら、俺たちは危なげなくすべての巨大ネズミを駆除した。
アル「ふぅ……。よし、なんとなく感覚は掴めたぞ。これなら、明日はまたDランクの討伐にも挑めそうだ」
ガンテツ「……ケッ、こんな小せえネズミじゃ鎧のありがたみも薄いがな。だが、悪くない重心だ。ゴードンの親父も、いい仕事をしたわい」
夕暮れ時、俺たちはギルドで完了報告を済ませて大銅貨15枚を受け取り、赤猫亭へと戻った。
鉄の冷たさと重さは、そのまま俺たちの「命の保証」としての安心感に繋がり、その夜は久しぶりに死の恐怖を忘れてぐっすりと眠ることができた。
サイドストーリー
廃材置き場での駆除が終わった後、ザインが胡散臭い笑顔で俺とガンテツにすり寄ってきた。
ザイン「おお、神よ! お二人の新しい鉄装備、実に見事な輝きです! しかし、鉄とは不浄なる水や泥によってすぐに赤く錆びてしまう脆いもの……。そこで、私の『清浄なる防錆の祈り』を銀貨1枚で……」
フィオ「やあやあ、おじさん! そんな胡散臭い祈りより、ボクの『鋼の精神を讃えるエルフの詩』の方がよっぽど効果があるよ! ほら、ボクの歌は甘い揚げ菓子五個分で手を打とう!(※錆びた鉄くずを罵倒するような卑猥な歌詞で歌い出す)」
ミラ「……チッ。アンタら、いい加減にしないとアタシがその鉄の兜で頭をカチ割るよ。防錆なら、宿に戻ってから油でも塗っとけば十分だ」
ザインとフィオのやかましい営業活動はミラの一喝で終了し、俺たちは泥を落としてから宿への帰路についた。




