決戦の布陣と、背中を預ける覚悟
早朝、『赤猫亭』の食堂にチャックのパーティと俺たちは集まり、テーブルに北の森の地図を広げていた。いよいよ「巨大な花の蕾」の討伐に向けた作戦会議だ。
チャック「単刀直入に言う。あの心臓みたいな『蕾』をぶっ叩くのは、俺たち『風の犬』がやる」
チャックは地図の中心にナイフを突き立て、真剣な眼差しで俺たちを見た。
チャック「相手は未知の魔物だ。お前たちより経験と火力の俺達が担当する。ただし、問題は『周囲の状況』だ。あいつが攻撃を受ければ、森中の瘴気に狂った魔物どもが防衛のために一斉に群がってくるだろう」
アル「……なるほど。俺たちの役目は、その取り巻きの処理と防衛線ですね」
チャック「ああ。俺たちが蕾に集中している間、背後から襲い来る無数の狂乱魔物を食い止めてほしい。お前たちの鉄壁の連携があれば、俺たちは後ろを振り返らずに全力を出せる。……アル、俺たちの背中を預けさせてくれ」
中堅冒険者からの最大限の信頼。それは、蕾を直接倒すこと以上に責任の重い、そして命がけの役割だった。俺はガンテツやセシルたちと視線を交わし、力強く頷いた。
アル「わかりました。俺たちで完璧な防衛線を敷きます。取り巻きの魔物は、一匹たりともチャックさんたちには近づけさせない」
自分たちの現在地を冷静に受け入れつつ、最もパーティが輝く「防衛と連携」の役割を引き受ける。俺の即答に、チャックはニヤリと笑って俺の肩を叩いた。
サイドストーリー
作戦会議がまとまると、ザインがわざとらしく安堵のため息を漏らした。
ザイン「おお、神よ! チャック殿の賢明な判断に感謝します。あの不浄の極みのような蕾に直接触れずに済むとは! 私の清浄なる法衣は、取り巻きの泥汚れ程度であればギリギリ許容範囲内ですからね」
ミラ「……チッ。取り巻きが押し寄せてきたら、一番に泣き叫ぶのはアンタだろうにね。覚悟しときなよ、生臭坊主」
フィオ「やあやあ、チャックさん! ボクの応援歌は特別に『風の犬』のみんなに向けて歌ってあげるよ! 蕾が弾けるリズムに合わせて、最高のステップを踏めるようにね!」
チャックの神官「こりゃあありがたい。エルフの歌のバフがあれば、火力も三割増しになりそうだ!」
それぞれのパーティが自分の役割を明確にし、張り詰めていた空気が程よい緊張感と士気に変わっていく。カランドラの平和を懸けた合同パーティの再出撃の準備が整った。




