地蔵菩薩の出現、光の分析と対策で、ソフィーはまた警察に
鈴の音の停止とともに、いきなり現れたのは、地蔵菩薩。
「お久しぶりにございます」
光をはじめとして、巫女全員は、その柔らかな笑顔に大拍手。
地蔵菩薩は、うれしそうに笑っている。
柏木綾子は、近寄って地蔵菩薩の御手を握り、深く頭を下げた。
「お地蔵様、あの立川真言流の事件の際には、私の両親も私も護っていただきまして」
地蔵菩薩は、柏木綾子の頭をなでる。
「いやいや、地獄から人をお救いするのが、この地蔵の本願」
「本願であるので、地蔵もお救い出来て、うれしいのです」
「さあ、その頭をおあげになって」
とにかく柔らかい口調、柏木綾子は、ホロホロと涙を流している。
光が口を開いた。
「ところで、お地蔵様、何かわかったことは?」
地蔵菩薩の顔が、少し厳しくなった。
「はい、やはり恨みの心で、人を操る類」
「とにかく嫉妬が強い」
「自らの至らなさに気がつかない」
「だから、どこかに失敗を犯し、その痕跡を残す」
光は。再び尋ねた。
「具体的には?」
地蔵菩薩は深く頷いた。
「坂口というかの武人にして、石清水八幡宮の禰宜」
「まずは、その禰宜に、怒りと恨みを持つ」
「しかし、坂口禰宜は、それに気がついていない」
「それを利用して、様々な悪辣な仕掛けを行おうとしている」
「先ほどの、惨たらしい殺戮は、その仕掛けの一つに過ぎません」
「同じ仕掛けの殺戮が、また起こるとは限りません」
「様々、手を変え、品を変え、殺戮を犯します」
光は、頷いて、腕を組む。
「そうなると、坂口さんをよく知る人物」
「もしかすると、警察内の内部犯行の線もある」
「警察の内部事情に詳しく、動きそのものに詳しい」
「それだから、同じ派出所で、同時に全員を殺すことができた」
「もちろん、その実行犯が、かなりな手練れであったことも、理由ではあるけれど・・・手を変え品を変えになると、格闘の手練れだけをマークするわけにはいかない」
「より慎重な目配り、テロ発生時には瞬時の対応力が求められる」
そこまで考えて、光は一つの結論を出した。
「とにかく、坂口さんに逢いに行く」
「そうすると、必ず何か、小さなことでも、反応を起こすかもしれない」
光はソフィーに目で合図。
ソフィーは、またムッとした顔。
「うー・・・仕方ない・・・何か網を仕掛けて来る」
「もーーー!また警察?」
「光君、メチャ、底意地が悪い」
ただ、そうは言っても、またテロが怒っても困る。
ソフィーは、渋い顔をして、またしても警察庁出勤となった。
春奈はソフィーの出がけに、また嫌み。
「いいわよ、ソフィーの光君との添い寝、私が変わってあげるから」
「ちゃんとお仕事して来てね」
ソフィーは血相を変えて、警察庁に向かうことになった。




