ゆめごこち
目の前が、真っ暗になったのに気づいたとき、カイはもういなかった。
ろうそくの火も消えていて、今ってたぶん、夜か、夜明け前かな。
前にも、こんなことがあった気がする。
……前って、いつだっけ?
おれ、何してたんだっけ?
もうすぐ冬になるはずなのに、身体があつい気がする。
ちょっと、外に……出たい。
カラリと障子をあけると、姉さんがいた。
なんでこんなところで寝てんの? 寒くないのかな?
ガラス戸をゆっくりあけて、縁側をおりる。
ゲタは、いっか。冷たくて気持ちいいや。
ふーっと息を吐くと、白い息が細くのびる。
ふらふらと、気のむくままに、足がすすむ。
さっきまで、あつかった気がするけど、身体はいつの間にか軽くなっている。
どこまででも、行けそう!
そんな気がして、気がついたら、みどりと手をつないでいた。
言葉にしなくても、おれもみどりも、わかってる。
そう、一緒に!
入り口には、あきおがいる。
──あぁ、待っていて、くれたんだ。
手をのばして、あと少し………。
みどりが先に山に入って、おれも、つづいて………。
「アキラッッッ!!!!」
『……………チッ……』