9/9
さよならと友だちとまぼろしのうた
うしろから急に手をひっぱられて、おれはうしろにしりもちをついた。
目がパチパチしたけど、引っ張ったそこには、カイがいた。
ここ最近青い顔ばっかりだったけど、今のカイは耳まで赤くなって、息が荒い。
走ってきたんだと、分かる。
「アキラお前! なにしてんだよっ! どこへいくつもりだったんだ!!」
────え? どこって……?
って思って顔を前に戻すと、無表情なみどりが、境の山側に立っていた。
うすぼんやりと、その後ろに、誰かがいる。
あれ、誰だったっけ??
「きれいな子が、ほしかったんだって」
そういって、みどりと誰かは、山の中へ消えていった。
『ばいばい』
あーあ。
一人逃がしちゃったな。
まぁでも、あの子は唄を唄わなかったからなぁ。
仕方ないか。
「じゃあみんな、一緒におうちに帰ろうね♪ また友だちを探しに行こうね♪」
『蝶々がみちびくその先へ
だれにも会えない闇のなか
ワタシといっしょにすすもうか
さぁさぁ泣くのもおわりだよ
蝶々がみちびくその時は
怖がったってもうおそい
いよいよキミともお別れか?
ヒト世に戻るか死にゆくか
誰にもコタエは分からない』
──伝承では、童謡の三番と四番は人間には唄えないと伝えられている。




