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第一章 第六話

カミングアウトしてから色々な問題がブームの様に巻き起こる中、

悠貴子は自分自身に不安を抱き悩みます……


碧と悠貴子のお話、第六話です。

Ride On!

 

 第一章 

 

 第六話 


 

 日々の変化なんて劇的に訪れるものでは無い。

 多少の変化は有ったとしても大勢に関わる物等、一生のうちに何度も頻繁に訪れるものでは無い。

 例え、劇的な変化が訪れたとしても日常を変える事は難しい。

 碧と悠貴子も、自分達の関係が周囲に知れた事で環境の変化は有ったものの、何時もの日常はやって来る。

 そして、変わらぬ日常を繰り返さなければならない。

 いや、変えたくない日常を繰り返したいのかも知れない。

 朝、通学途中の電車の中や学校までの道では、相変わらず碧と悠貴子を見付けては、こそこそひそひそ。

「まぁ、気には成るけど、無視すれば良いだけよ」

「開き直ったら楽ね、ふふふ……」

 たまに男子生徒が、

「よう、レズカップル」と、面と向って冷やかした。

 そんな時も、

「どもぉ」と、碧と悠貴子は、にこやかに答えた。

 ただ、上辺は取り繕っていたが、やはり精神的な負担が掛かっていない訳では無い。

 だから、内心、早くこの状態が終息する事を二人は願っていた。

 以前の様な日常。

 何も無かった頃の、二人の日常。

 変化の無い日常を変えたいと願う者も居るが、日常を変えたくないと願う者も居る。

 教室に入ってから多くの生徒達が余所余所しい態度を取る中、碧は席に着いた。

 上辺だけは何事も無いように。

 そして、何事もない様に願う碧だったが、この日、授業も進み時間を追う毎にクラスの様子が変わって来た。

 女子生徒達が碧を睨んでいる。

「あらぁ……また、何か変な事になってるのかな?」

 五時間目の休憩時間にトイレから帰って来た碧が、教室に入って違和感を感じた。

「だから、どうしろと言うのよ」

 声のした武田の方を見ると、武田が五人程の女子生徒に囲まれていた。

 碧は武田の方へと向うと、周りの生徒達が明らかに不快感を示す顔で碧を睨んだ。

「どうかしたの……」

 武田の周りにいた生徒達が、碧の顔を見ずにその場から離れた。

「えっ?何か有ったの武田さん」

 頭を抱えて考えていた武田が、

「まったく……」と、大きく溜息を付いた。

「東郷さん貴方、もしかして女子生徒全員を敵に回したかも」

「えっ?どう言う事」

「馬鹿な男子達が、冷やかしても面白い反応をしない貴方達に飽きたらしくてね、今度は普通の女子に矛先を向けたみたいなの」

「なにそれ……」

 武田の説明は、碧には今一つ理解し難かったが、自分達とは関係ない生徒達に被害が及んでいる事だけは分かった。

「詰まりね、女子生徒達だけで一緒に居るとね『お前達もレズか?』とか『あいつ等もレズじゃね?』って見たいな事、男子達が言ってんのよ」

「あちゃぁ……」

「ほんと、お笑いだわ」

 碧達が同性愛者だと分かると面白がって攻撃し、それに飽きたら、碧の親しい生徒達に矛先を向けて、更に、それにも飽きたら今度は全然関係無い生徒達にも飛び火してしまった。

「どうしよう……」

 謂れの無い中傷を受けた女子にとっては、碧達はいい迷惑である。

 そして、クラスの女子から睨まれている事を碧はやっと納得した。

「こんな馬鹿馬鹿しい事、対処しようが無いわ」

 碧と武田が話している所に、

「ほんと、いい迷惑だわ」と、三人の女子生徒達がやって来た。

「ごめん……」

 三人の顔を見て碧は申し訳無さそうに頭を下げた。

「東郷さんに謝ってもらってもね……」

「そうね、そもそも原因が東郷さん達でも、直接言ってる連中は関係ないもんね」

「あの私、変な事言った男子に言って来る、誰なの?」

 碧が三人に尋ねると、

「クラスの男子じゃないから、分からないわよ」と、武田が口を挟んだ。

「そりゃ、クラスの男子も他で言ってるかも知れないけど」

「うん、私は他のクラスの男子に言われた」

「私は、二年生よ」

「そんな……」

 困惑している碧に、

「それにね、何て言うのよ?」と、武田が吐き捨てるように言った。

「それは……」

 聞かれても答えが見付からない碧は呆然とした。

 完全に手の届かない所で対処しようの無い事が起きている。

 そして、それは明らかに自分達が発端になっていた。

「私達はまだ良いけど、気の弱い子なんて泣いた子も居るみたいよ」

「女の子って、グループで居る事が多いし、その中で手を繋いだり引っ付いたりって自然としてるでしょ、そんなのを見付けるとね……」

「はぁ、窮屈だねぇ、普通にお喋りも出来ないだなんて……」

「既に苛めの領域よ、東郷さんを攻める訳じゃ無いけど、変なブームに成ったわね」

 三人の話を聞いて、

「どうしよう……」と、碧は顔を曇らせた。

「どうしようも無いでしょ、でも、確実に貴方達に対しての女子の目は険悪に成るわよ」

「……」

「まぁ、全員が全員って訳でも無いでしょうけど、覚悟しておいた方が良いわよ」

「うん……」

 自分ではどうしようも無い理不尽な出来事に、碧の心は痛んだ。

「確かに、今はブームなのよねぇ、何時まで続くか分からないけど、明日半日出たら夏休みだし、沈静化する事を願うしかないわね」

「うん……」

 武田が言ったように碧も早く沈静化する事を願った。

ーーー◇ーーー

 六時間目が終わって、碧と悠貴子が部活へと向かっていた。

「酷い話ね」

 悔しそうな顔をしている悠貴子に、

「そうだね」と、碧が頷いた。

「そう言えば、皆の見る目が変わっていた様な気がするわ」

「変態を見る目から、敵を見る目に変わっちゃったね」

「そうね……」

「私達だけで済む問題じゃ無いんだって事、痛いほど知ったわ」

「やっぱり、言わない方が良かったのかしら……」

 辛そうに俯く悠貴子に、

「今更悔やんでも遅いけどね」と、碧が呟く様に言った。

「でも、後悔なんてしたくないわ」

「碧……」

「そりゃ、皆に迷惑を掛けている事は申し訳ないって思っているけど、やっぱり、前向きに行かなきゃ」

「うん」

「何時か皆分かってくれるなんて、子供じみた事は思ってないけど、理解してくれる人達はきっと増えると思うの」

「希望的観測でしか無いかも知れないけどね」

「うん、それでも期待したい、私は前向きに考えたい、そうしないと……」

「そうしないと?」

 悠貴子が、立ち止まって黙ってしまった碧の顔を見た時、碧の目に涙が浮かんでいた。

「碧……」

「そうしないと、心が折れそうだよ……」

 悠貴子はハンカチを取り出して、悔しそうに歯を食い縛っている碧の涙を拭いてやった。

 心配そうに見詰める悠貴子に、

「ごめん、もう大丈夫」と、碧は笑顔を浮かべた。

 碧が悠貴子を見詰めていた時、

「ふふふ、何時も仲睦まじいねぇ……」と、部長が二人の横から声を掛けた。

「ぶっ、部長さん!」

 何時の間にか忍び寄っていた文芸部の部長に驚き、二人は飛び退いた。

「何時の間に居らしたんですか?」

「ついさっきだよ」

「あの、それじゃ私はこれで……」

 せっかくの良い雰囲気をぶち壊されて、碧は少し不機嫌に成っていた。

「待ちたまえ、東郷君は軽音部だったね」

「はい……」

「では、東郷君が今後、我々に協力する事を条件に……」

「お断りします」

 部長の話を最後まで聞かずに、碧は歩き出した。

「ああん、まってよう!」

 部長は慌てて両手で碧の手を掴んで、

「軽音部の三年生に付いての情報上げるからさぁ」と、碧を引き止めた。

「三年生の情報?」

「うん!うん!」

 期待を込めて、輝く目で見詰めている部長の顔を見て、碧は一つの疑問に思い付いた。

「そう言えば、あいつ等も私達の事、耳にしているはずなのに……」

 三年生達が自分達の事を知ったら、ただでは済まない事が碧には容易に想像出来た。

 なのに、あれから三年生達の姿が見えない。

 考え込んでいる碧を見て、

「ああ、彼等なら、停学処分にされているからな、来とらんよ」と、部長があっさりと言った。

「停学?」

「校内での喫煙がばれてな」

「……馬鹿丸出し」

 三年生達の事を考えると、別に驚く事でもなく同情するはずもなく、碧は蔑んだ笑みを口元に浮かべた。

 吸っている本人は気付かなくても、服や髪の毛に残った煙草の匂いと言うものは、吸わない人にとっては直ぐに分かるものだ。

 ガム等で口臭を消した所で意味がない。

「まぁ、一学期中は登校出来んだろ」

 碧にとって、鬱陶しい三年生が登校出来ない事は、朗報で有ったが、

「でも、その程度の情報では……」と、部長に向って苦笑いを浮かべた。

「そんな話じゃないよ、今のは“おまけ”にしておこう」

「おまけですか……」

 呆れた様な笑みを浮かべる碧に、

「情報と言うより、警告だよ」と、部長の顔が急に固くなった。

「警告?」

 部長の表情を見て、碧の顔からも笑みが消えた。

「まぁ、聞いて損は無いと思うよ」

 碧は暫く考えて、

「良いでしょ、聞きましょう」と、部長の方を改めて見た。   

「君達も、あの連中には迷惑しているのだろ?」

「ええ」 

「あいつはね、あ、戸田って言う奴の事なんだけどね、ほら、小柄で目の小さい」

「あっ、ああ、分かります」

 初めて会った時、自分の頭を押し下げた奴だと碧は思い出した。

「不良達の中でも、リーダー格のあいつとは中学から一緒でね、中学の時は、寧ろ、物凄く真面目な奴だったんだ」

「あいつが、真面目?」

「うむ、成績も優秀だった、それが、高二に成って進学問題で挫折してね、なんと言おうか、始めて知った挫折感に立ち直れなかった、とでも言おうか」

「結局は我侭な甘ちゃんなんでしょ」

「そう一概に言ってやるな、元は気の弱い所もあったが素直な奴だったんだ、だけどな、挫折した時、それを助ける者も居なくてな」

「どう言う事ですか?」

「成績が落ちて来て、先生や親達から一方的に勉強しろ勉強しろなんて言われてみろ、プレッシャーだろ、真面目で気弱だった分、余計に強く感じたろうな」

「確かに」

「あいつは回りに押し潰されたんだよ」

「でも、そんなの甘えです、私達だって、周りから押し潰されそうですよ、でも、必死で耐えているんですよ」

「そうだな、確かに言訳に過ぎんが……だがな君には心を通わしたパートナーが居るだろ、それだけでも随分と違うはずだぞ」

 そう言われて碧は悠貴子の顔見て、

「そうだと思います」と、笑顔を浮かべて素直に認めた。

「周りから押し潰された時、一人だったあいつが出した答えは、不良の仮面を被る事だった」

「仮面ですか」

「そう、仮面だ、中身は変わってない、だから追い詰めるな」

「えっ?」

「君は、あいつらに抵抗したらしいな」

「はい」

「止めとけ、怪我するぞ」

「どう言う事ですか?」

「弱い奴ほど、追い詰めると何を仕出かすか分からん、と言っている、窮鼠猫を噛むだよ」

「……」

「あれは四月の中頃の事だったかな、気の強い女子に服装の事を注意されてな、彼女の口も悪かった事が災いしてな、結果として、あいつは衆人環視の中で笑いものにされたんだよ。そして、恥をかかされたあいつは逆上して、女子を殴った」

「殴った!」

「ああ、判決は、受験を控えた三年生と言う事も考慮して、停学一週間」

「たったそれだけですか!退学に成らなかったんですか!暴行事件でしょ!」

「今回の喫煙も停学一週間、そう簡単に退学には成らんよ。殴られた女子にも、怪我らしい怪我は無かったし、一応親同士の話も付いたらしくてな」

「そんな……」

 暴行事件を起こして、その程度かと碧は腹立たしかった。

「あっ、もしかして鈴木先輩この事を知っていて……」

 必要以上に三年生達に気を使っている鈴木に対して、碧は今の話で納得が行った。

「でも、そんな事、誰にも聞いていません。軽音部の副顧問の先生に三年生の事相談した時も、先生、何も言っていませんでした」

「当然だ、守秘義務って奴がある。生徒個人の事に付いて軽々しくは話さんよ、特に公務員はな。それに、クラスや学年が違うと、余程の事で無い限り大きな噂には成るまい」

「……」

「まぁ、不良の仮面を被ったあいつは、停学一週間と言う箔が付いた事で益々増徴して行ったんだよ、今じゃ仲間も十人位いるしな」

「十人もいるんですか?」

 碧が目撃したのは、音楽室に来た五人程だったので、その数字は意外だった。

「他の奴らも似た様な者だ、不良の仮面を被っているに過ぎん。所詮は挫折して卑屈になった気の小さい奴らばかりだ、だから、奴らを追い込む様な事はするな」

 部長の話を聞いて碧は、自分はともかく、順子や千佳、本田や葉山に被害が及んだ時の事を考えて、ぞっとした。

「学校の中でしか強がれない連中だ、だから、校内での下らないメンツに強く拘るんだ、それを守る為なら、何をするか分からんぞ」

 理不尽な話ではあるが、碧は部長の話を聞いて、鈴木が正しかった事を今やっと理解した。

「どうかね、意義はあったかね?」

「はい、ありがとうございました、参考になりました」

 素直に頭を下げる碧に、

「では約束通り……」と、部長は意味深な笑みを浮かべた。

「うっ……」

 碧は、部長のぎらぎらと光る好奇心の目を見てたじろいだ。

「で、出来る範囲でなら協力はしますけど、過度な期待はしないで下さいよ」

「出来ればボーダーレスで……」

「嫌です!第一、この前も言いましたけど、私達、部長が望んでいる様な話が出来るような関係じゃありませんよ」

「いやいや、先程、私が目撃した様な甘ったるい雰囲気の話で良いのだよ」

「も、目撃したって……」

「甲斐甲斐しくも、愛する人の涙を拭いて慰める、そして、見詰め合うお互いの目と目……くうぅ、良いじゃないかね!ねっ!ねっ!何があったの!」

「……見てたんですか?」

「うん!」 

「ぐっ……」

 ご褒美を待っている子供の様に目を輝かせた部長を見て、碧は言葉が出なかった。

「と、とにかく、私は部活がありますので、此れで失礼します」

「うむぅ……残念だがぁ、今は致し方ないか」

 未練他らしく見ている部長を他所に、

「じゃ、お雪、私行くね」と、碧が笑顔で小さく手を振った。

「ええ、部活が終わったらメールするね」

「軽音部は早めに切り上げて、文芸部に来てくれても……」

「お断りします」

 二人の会話に割り込んで来た部長に、碧は間髪入れずに断った。

「ええぇ、じゃあ、さっきの約束はぁ?」

 駄々っ子みたいな部長に、

「何れ、日を改めまして……」と、碧は礼をしてその場を離れようとした。

 軽音部へと向いかけた碧に、

「お別れのキスは?」と、部長が要求した。

 碧は立ち止まって、

「しません……」と、何かを堪えながら言って再び歩き出した。

 碧の後姿を見ながら、

「いやいや、あの手の子はからかい甲斐があるなぁ」と、笑った。

「部長……」

 苦笑いを浮かべる悠貴子に、

「部活には、東郷君に何時も送ってもらってるのかね?」と、尋ねた。

「はい」

「ナイトの如くエスコートするとは、素敵だねぇ、羨ましいぞこの野郎ぉ」

 ニヤニヤと悠貴子を見ながら部長が冷やかした。

「……」

「どうかしたのかね?」

 暗い顔で俯いている悠貴子に、部長が尋ねると、

「私、何も出来ない……」と、悠貴子が呟いた。

「え?」

「碧は何時も、私の事を守ってくれているのに、私、碧に何もして上げられない……」

「天道君……」

「この間の騒ぎの時だって、碧は直ぐに私の所に来てくれて、私を守ってくれたのに、私、何も出来なくて……」

 悠貴子達の噂で騒ぎになった日、最初は五人程の男子が悠貴子をからかいだした。

 直ぐに杉山が悠貴子を庇ったが、悠貴子は怖くて身を縮めていた。

 碧との関係を騒ぎ立てられ、否定しようとしても声が出ないほど怖かった。

 そして、碧が現れた時、今までの恐怖が嘘の様に消えた。

 自分の盾と成って前に立つ碧の後ろは、悠貴子にとって心安らかに成れる安全地帯だった。

「さっきも碧が泣いていたのに、私は何も言えなくて、ただ碧の涙を拭いてあげる事しか出来なくて……」

 悠貴子は胸の所で拳を強く握って、悔しそうに唇を噛んだ。

「これからも、色々な事があると思うんです、でも、私なんか……」

「しかしな、天道君……」

 部長が悠貴子の肩に手を置いた時、

「これからも碧と一緒に歩いて行きたいのに、色々な事を二人で支えあって乗り越えなきゃいけないのに、私、私、碧のお荷物に成ってしまう……」と、悠貴子は涙を流しながら部長に言った。

「天道君、私には、君が東郷君の負担になっている、なんて思えないがな」

「でも……」

 思い詰めた目で見ている悠貴子に、

「まあ、座りなさい……」と、通る生徒達も居なくなった階段に部長が腰を下ろした。

「はい……」

 部長の隣に悠貴子が座ると、

「聡明な君が、その様な事を思っているとは、恋と言う物は魔物だな」と、溜息を付いた。

「東郷君の事を想う余り、自分と言う者を見失っているのではないかね?」

「どう言う意味でしょ?」

「子供騙しの様だが、古来より人と言う字は、人と人とが寄り添い支え合っている事を表していると言われているな」

「はい」

「捻くれた者は、一人が楽して凭れ掛り一人が苦労して支えている、なんて事を言う奴もいるが、まっ、それはそれで、一つの社会の縮図の様なものかも知れんが、私は決して真意とは思ってはいない」

 部長は優しく微笑んで、

「私は、凭れ掛っている人は、何も楽をしている訳では無く、下の人を守っているんじゃないかと思っているんだよ」と、悠貴子に言った。

「守っている?」

「そう、例えば、強い日差しに強風に豪雨、矢とか鉄砲なんてのは大袈裟かも知れんがな」

「……」

「強風や豪雨に晒されて、盾と成り下の人を守ろうとしている上の人を、下の人は少しでも力に成ろうと支えている、そんな感じがするんだよ、要するに役割分担だ」

「役割分担?」

「そう、同じ事をするのではなく、それぞれに合った役割を分担する、それが支えあうと言う事だ、例えればだ、男尊女卑と言われるかも知れんが、お父さんが外で働いて、お母さんが家の事をする、役割分担だよ」

 子供の頃から父親が家に居ない事を知らない部長が言う事を、悠貴子は少し違和感を覚えたが、一般的な例として話を聞いた。

「そして、『何時もご苦労様』と、お互いがお互いに感謝する、それが有るから支えあう事が出来る、これが『三食昼寝付きで楽をしやがって』とか『夜遅くまで飲んで遊び回って』なんて、相手の役割を蔑んだり羨んだりしたら支える事なんか出来んだろぅ」

「そうですね、でも、私は碧に何をしてあげたら……いえ、何も出来ていない……」

「そう思うのかね?東郷君は君に感謝しておったぞ」

「え?何時です?」

「先程の、三年生の話の中で『心を通わしたパートナーが居るだろ』と、私が聞いた時、東郷君は良い笑顔を浮かべて直ぐに肯定したじゃないか」

「え、ええ……」

「東郷君はね、天道君が心の支えとなってくれている事を十分に理解して、感謝しているんだよ」

「心の支え……」

 部長の顔から微笑が消えて、

「あの子は危ないよ」と、重苦しく言った。

「えっ……」

 悠貴子は部長の言葉の意味が理解出来ずに、驚いた様に部長を見た。

「些細な事に一喜一憂して、感情を剥き出しにして……感受性が豊かとでも言おうか、彼女の心は脆く壊れやすい、ガラスの心だよ」

「碧が?」

「ああ、彼女とは少し違うが三年生の戸田もそうだった、心にひびが入れば弱いものだよ」

「負けず嫌いで、気の強い碧が……」

「自己防衛の為に、虚勢を張っているに過ぎん、何もせずにその場に立っていれば、晒された心が壊れてしまう、それを恐れて逃れようともがいている様が負けず嫌いに見える、それも自分の弱さを隠す為の仮面だろ、しかし、逃れ様の無いものには直ぐに傷付く」

 部長の話を聞いて、悠貴子には思い当たる事が沢山有った。

 ついさっきも、周りの知らない生徒達に迷惑を掛けて『心が折れそうだ』と、泣いた碧。

 長く一緒に居たのに、その事に気付かなかった自分を、悠貴子は悔しく思った。

「私、そんな事、少しも気付かなかった……」

 俯いている悠貴子に、

「そうかね、それが愛し合うと言う事かも知れないねぇ、天道君は無意識の内に東郷君が傷付きやすいと感じてそれを癒して居たわけだ」と、部長が微笑んだ。

「天道君は、東郷君のパートナーとして、十分にその役割を果たしてお互い支えあっていると、私には見えるのだがね」

「部長……」

 部長が立ち上がり、

「まだ、それでも不満なら、何も焦る事はない、先は長いんだ、ゆっくりと自分の役割を考えれば良い、それが愛を育てて行くと言うものではないかね」と、悠貴子を見て言った。

 悠貴子は部長に続いて立ち上がり、

「はい、ありがとうございます」と、微笑んだ。

 部長の話を聞いて、具体的に実感出来なかったが、自分が碧の支えに成っている事を嬉しく思った。

 そして、お互いに心を通わせ、今、二人で愛を育てているんだと思うと、心地良い温もりを感じた。

「では、部活へと向おうか」

「はい」

 二人は、二階の図書室へと向う為、階段を昇って行った。

ーーー◇ーーー

 一学期最終日。

 今日、親に見せるのが怖い成績表を貰って面倒臭いだけの大掃除をすれば、明日からはタッタタラリラ待望の夏休み。

 そして、別な意味で、碧達も夏休みを待ち望んでいた。

 夏休みと言うクッションを置く事で、二人への風当たりが少しでも収まるのではと、儚いながらも期待していた。

 大掃除も終盤に近付いて、悠貴子は友達二人とゴミ袋を持ってゴミ捨て場へと向かっていた。

「やっと夏休みだねぇ」

 開放されたかの様な、晴々とした笑顔を浮かべてクラスメイトの玲子が言うと、

「れいちゃん、プールに行こうか?」と、同じくクラスメイトの佳代子が尋ねた。

「あ、良いねぇ、ユッキーも行く?」

 玲子に尋ねられて、

「うん、私も行きたい」と、悠貴子が笑顔で答えた。

「よし、決まりね、つーちゃんと梅ちゃんも誘って皆で行こう!」

 楽しい夏休みの話をしながら歩いている三人だったが、擦違って行く生徒達の目は様々だった。

 ひそひそと話す者、態と聞える様に言う者。

 嫌な雰囲気の中を、三人は何でも無いかの様に装うって歩いていた。

 自分は気にしないように覚悟を決めているが、一緒に居る二人も同じ様に噂されているのではないかと、悠貴子は心配だった。

「ユッキー、気にしちゃ駄目よ……」

 玲子が小声で悠貴子に言うと、

「うん、ごめん……」と、悠貴子は申し訳無さそうに頷いた。

「だから、気にしちゃ駄目、私達も気にしてないから」

「そうそう、言いたい人には言わせておけば良いのよ」

「うん、ありがとう」

「だけどさ、三田さん達は、あからさまに毛嫌いしてると思わない?」

 苦い顔で玲子が言うと、

「だねぇ、でも、三田さん達のグループって、自分勝手なとこ多いし、嫌ってる子も多いから、味方に成ってくれる子も居るんじゃない?」と、佳代子が尋ねた。

「まぁ、実際のとこ、皆がどう思っているなんて分からないし、それと此れとは別って感じもあるし……」

「だね……」

 カミングアウトした日から、悠貴子達五人のグループはクラスで孤立していた。

 明らかに否定的な目で見るグループと、まだ様子を窺っている中立的なグループ。

 表立った風当たりが有る訳では無かったが、悠貴子達のグループはクラスの雰囲気を何となく感じ取っていた。

「でも、明日から夏休みなんだし、ユッキーにとっては少しは気が楽なんじゃない?」

「うん、休みの間に少しでも収まってくれたらなって思ってる」

「でしょうねぇ」

 旧校舎裏のゴミ置き場にゴミ袋を置いて、悠貴子達が教室に帰ろうとすると、

「あの子でしょ」と、何時もの、ひそひそこそこそとは違った声がした。

「いい度胸してるわねぇ」

「ほんと、よく学校に来れるわねぇ」

 深緑色のネクタイから、二年生と思われる女子三人が悠貴子を睨んでいた。

「……」

 目の前を黙って通り過ぎ様とする悠貴子に、

「あらあら、無視するの有名人さん」と、嫌味を込めて二年生が言った。

「行こ……」

 玲子が、立ち止まりかけた悠貴子の腕を掴んで引っ張ったった時、

「待ちなさいよ」と、二年生の一人が悠貴子達の前に立ちはだかった。

「何か御用ですか?」

 気の強い玲子が、前に立つ二年生を睨んで尋ねると、

「何なの?貴方もレズなの?」と、蔑んだ笑みを浮かべて二年生が尋ねた。

 二年生を睨んでいた玲子が、

「ふっ……」と、あからさまに馬鹿にした様に笑った。

「いい加減、聞き飽きましたね、その質問」

「えっ?……」

「彼女の周りに、同性愛者が集まるとでも思っているんですか?」

「どう言う意味よ」

「いえね、レズの恋人を探しているんでしょ?」

「なっ!」

「あの、私がいくら可愛いからと言って、その気に成られても困りますぅ」

「ば、馬鹿な事言わないで!」

 顔を真っ赤にして怒鳴る二年生に、

「いやいや、私は男子が好きですし、ユッキーには既に恋人が居ますし、残念ですが、彼女を探すんなら他を当たって下さい、レズの先輩」と、玲子は涼しい顔で言った。

「だっ、誰がレズよ!」

「あら、違いましたぁ?“レズなの?”なんて聞かれたら、お相手を漁ってる様にしか聞えませんけどぉ」 

「なんですって!」

「ほほほ、失礼、お気に障りましたぁ?」

 険悪な雰囲気で睨み合う二人を、悠貴子は何も出来ずにおろおろと見ていた。

「迷惑なのよ」

 玲子を睨んでいる二年生の横から、もう一人が悠貴子に向って、

「貴方達のせいでしょ、この騒ぎ、いい加減迷惑なのよね」と、悠貴子を睨みながら言った。

「そうそう、どう責任取る積りなの?」

「えっ、それは……」

 二年生の言葉に返す言葉が無い悠貴子に、

「辞めちぇえば?」と、玲子を睨んでいた二年生が言った。

「やめるって……」

 戸惑っている悠貴子に、

「学校、辞めちぇえば?」と、続けて冷たく言い放った。

「なんで、ユッキーが辞めなくちゃいけないんですか!」

 玲子が二年生に噛み付かんばかりに喰って掛かると、

「二人がやめたら、此処も静かになるでしょ」と、二年生は冷たい目で言い返した。

 二年生達と睨みあっている所に、

「貴方達……」と、誰かが声を掛けて来た。

「九条先輩……」

 悠貴子は九条の姿を見て、少し安堵の表情を浮かべた。

「あっ、九条さん……」

「ちょっと、ゴミを棄てるのにどれだけ掛かってるの?まだ掃除は終わっていないのよ」

 ゴミを捨てに来てサボっていた三人は、気不味そうな顔をして九条から目を逸らした。

「早く教室に戻って頂戴」

「はぁい……」

 睨んでいる九条の横を通って、三人は校舎へと大人しく帰って行った。 

「ありがとうございます、先輩」

 九条に近付き悠貴子が頭を下げる。

「何かあったの?あの子達と」

 心配そうに尋ねる九条に、

「いえ、別に……」と、悠貴子は俯いた。

「酷いんですよ、先輩達、ユッキーに学校辞めろって」

 どうやら悠貴子の味方らしいと悟った玲子が、遠慮なく九条に付け口すると、

「玲子ちゃん……」と、悠貴子が慌てて玲子の腕を掴んだ。

「ユッキー黙ってちゃ駄目よ、あんな酷い事言われて!」

「でも……」

 そんな二人を見て、

「ごめんね悠貴子ちゃん、嫌な思いさせて」と、九条が優しく微笑んだ。

「いえ、そんな……」

「許してあげてね」

「はい……」

 九条の前で俯いたままの悠貴子に、

「どうかしたの?」と、九条が心配そうに尋ねた。

「私……」

 悠貴子の悲しそうな顔を見て、

「辞める事なんて無いわよ」と、九条が悠貴子の肩にそっと手を置いた。

「先輩……」

 薄っすらと涙を浮かべた目で九条を見る悠貴子に、

「貴方には、それと東郷さんも、ちゃんと居場所が有るでしょ」と、言いながら九条は悠貴子の頬にそっと手を添えた。

「貴方達を理解してくれるお友達も居るのよ、辞める事なんて無いわ」

「でも……」

 悠貴子が九条から顔を逸らすと、九条は両手を悠貴子の頬に添えて自分の方へと向かせ、

「そんな弱気でどうするの?」と、少しきつい口調で言った。

「東郷さんもがんばってるんでしょ、貴方がそんな弱気だったら東郷さんだって頑張れないわよ」

「あっ……」

 悠貴子は部長に言われた事を思い出した。

 二人で支えあう。

「はい、そうですね……」

 悠貴子は微笑んで返事をした。

 自分が碧のお荷物に成っているなんて思う事自体、自分が碧に一方的に甘えている事になる。

 一緒歩いて行くために、支えあっていくために、自分は強くならないといけない。 

「ありがとうございます九条先輩、私、頑張ります」

 悠貴子が九条に頭を下げて礼を言うと、

「ええ、その気持ちを忘れちゃ駄目よ」と、九条は悠貴子の頭を優しく撫でた。

「はい」

 悠貴子は改めて頭を下げると、玲子達と教室に戻って行った。

ーーー◇ーーー

 夏休みに入って一週間が過ぎた。

 放って置けば何時まで経っても宿題に手を付けないであろう碧の事を考えて、悠貴子は強制的に一緒に宿題をする事を命じた。

 悠貴子としては、七月中にも大体の宿題を終わらせて、後は碧と夏を楽しみたかったのだ。

 そして、今日も碧は、悠貴子と会える事は楽しいのだが、渋々ながら悠貴子の家へとやって来た。

 二人の居るリビングに、エアコンの音だけが静かに流れていた。

 長椅子に座りハードカバーの新書を読んでいる悠貴子の膝の上で、碧は小さな寝息を立てていた。

 外の眩しい光をレースのカーテンが和らげ差し込んでいる部屋で、宿題を広げたテーブルに置いてあるアイスティーの氷が、カランッと小さな音と共に崩れる。

 静かで平和な時間。

 悠貴子がページを捲ると、碧がゆっくりと寝返りを打った。

 悠貴子は、そんな碧の横画を見て、くすりと小さく笑った。

 それに気付いたのか、

「あっ……」と、呟く様な声と共に碧が目を覚ました。

 微笑んでいる悠貴子の方を向いて、

「寝てた?」と、碧が尋ねた。

「ええ、十分程かしら」

「そっか……」

 まだ、はっきりと覚醒していない目で、微笑んでいる悠貴子を見詰める碧。

 碧は、ゆっくりと手を悠貴子の頬へと伸ばし、

「おはよう……」と、気だるそうに言って優しく撫でた。

「くすっ、馬鹿……」

「へへへ……」

 照れた様に笑った碧が、悠貴子の頬を撫でていた手を首へと回し、少し体を起こしながら悠貴子を引き寄せる。

 次第に近付く碧の顔を見て、悠貴子は本を閉じて目を瞑った。

 長い様な短い時間。

 永遠に続けば良いと願う時間。

 甘く溶け合う様な時間。 

 二人はお互いの鼓動を感じながら、静かに流れる時間に心を漂わせていた。

 二人がゆっくりと唇を離すと、碧は悠貴子の隣へと座りなおし悠貴子を抱き寄せる。

 碧の肩に頬を寄せて、

「私ね、考えているの……」と、悠貴子が小さな声で言った。

「えっ?」

「碧の為に何が出来るのかって」

 暫く、何の事か分からずに悠貴子を見詰めていた碧が、

「それって、お雪が私の為に何かしようと考えてるって事?」と、不思議そうな顔で尋ねた。

 少し間を置いて、

「うん……」と、悠貴子が頷いた。

「碧は、何時も私を守ってくれているのに、なのに私は……」

「ああ、面倒臭い」

「えっ?」

 言葉を遮られて悠貴子が驚いた様に碧の顔を見ると、

「もっと、肩の力を抜いてよ」と、碧が微笑んでいた。

「碧……」

「私の事を思ってくれているからだろうけど、それはそれで嬉しいよ、でもね、私達ちゃんと付き合いだしてもう直ぐ一年だよ」

「うん」

「だからね、もっと気楽にしても良いんじゃない?」

「でも……」

「ねぇ、覚えてる、あの日の事」

 真っ直ぐに見ている碧の目を見て、

「……告白した日?」と、悠貴子が聞き直した。

「そう……」

 碧は悠貴子を更に強く抱き寄せ、

「お互いの気持ちは何となく分かっていたけど、でも、不安で……」と、悠貴子の頭に頬を寄せた。

「やっぱり、女の子同士で愛しているなんて、言い出すのが怖くて、だから、不安で、怖くて……」

「ええ、お互いそうだったわね……」

「あの日、お雪が泣きながら「愛していますって」って告白してくれて、私、私、嬉しくて……嬉しくて……」

「碧……」

 悠貴子が言葉に詰まった碧の顔を見ると、頬に一筋の涙が流れて行った。

 悠貴子が碧の頭を抱き寄せて頬を寄せる。

「その後、碧の部屋で、二人で大きな声を上げて泣いちゃったわね」

「うん、嬉しくて、思い切り泣いちゃった……」

 寄り添う二人を優しい時が包んでいる。

「だからね、お雪は傍に居てくれるだけで嬉しいの」

「碧……」

「ずっと一緒に居て欲しいの」

 黙って見詰めている悠貴子に、

「居てくれないの?」と、碧は少し戯ける様に小首を傾げた。

「ううん、一緒に居たい」

 悠貴子の強く訴える目を見て、

「だったら、それで良いんじゃないの」と、碧が微笑んだ。

「初めてキスをした時、悠貴子は不安だって、何時か私が離れて行くかもって、不安がっていたけど、今はそうじゃないでしょ?」

「ええ……」

「私だって同じよ……」

 再び近付いて来る碧の顔を見て、悠貴子はそっと目を閉じた。

 唇から伝わる碧の心。

 悠貴子は碧を感じながら、ふと、部長の言葉を思い出した。

『ゆっくりと自分の役割を考えれば良い、それが愛を育てて行くと言うものではないかね』

 そう、何も焦る事は無い。

 今、自分の傍に碧が居て、自分は碧の傍に居る。

 だから、急ぐ必要なんて無いんだ。

 碧は唇を離して悠貴子を強く抱き締めた。

「今、私、とても、幸せだよ、お雪と居るだけで」

「うん、私も……」

 悠貴子も碧を抱き締めた。

 緩やかに幸せな時間が流れる中、グラスの氷が再びカランと音を立てた。

 悠貴子が碧から体を離し、

「ずっとこうして居たいけど、宿題がまだ残っているわよ」と、悪戯ぽい笑顔で言った。

「もう……」

 不機嫌そうに剥れる碧を見て、

「早く終わらせちゃいましょうねぇ」と、悠貴子が子供をあやす様に言った。

「そんなに急がなくていいじゃない」

 剥れて横を向いている碧の言葉を聞いて、悠貴子はくすっと笑ってから、

「だめです、8月に入ったら、海やプールに行くんでしょ、予定がいっぱいあるのよ、だから早く終わらせちゃいましょうよ」と、諭すように言った。

「一緒に居る事に変わりないじゃない……」

 碧は愚痴を呟いてから、

「わかりましたぁ」と、面倒臭そうに言ってテーブルに置いてあるノートに向かった。

 そんな碧を、悠貴子は微笑みながら見ていた。

最後まで読んで下さってありがとうございました。m(__)m

感想等いたたけましたら幸いです。

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