お弁当
■ 本作について
本作は 世界観設定・アイディア構築・プロット立案をすべて著者自身が行っており、執筆の補助ツールとしてChatGPTを活用しています。
■ 活用の具体的な範囲
・ 世界観・キャラクター・ストーリーの基盤は完全オリジナル(整理や補助を行ってもらうことはあります)
・ プロットは自身で立案(ストーリー展開、キャラの行動、テーマ性などを自分で組み立てています)
・ 重要なセリフ・行動・心情変化はすべて文章で指示(キャラクターの一貫性を重視)
・ プロットをもとに叩き台の原稿を出力 → 30%以上の加筆修正(表現のブラッシュアップ・個性の強化)
・ 執筆の過程で違和感のチェック・校正を補助的に利用(つなぎの違和感や文章の整理)
■ AI活用の目的とスタンス
本作は 「ChatGPTをどこまで活用できるか?」を模索する試み でもあります。
ただし、創作の主体はあくまで自分 であり、物語の本質やキャラクターの感情表現にはこだわりを持っています。
また、すべてを自身の手で執筆される方々を心から尊敬しており、競合するつもりはありません。
店内の巡回を終えたドローンが、異常なしを報告すると、世羅は小さく息をついた。
(やっと終わったな)
「ほいほい、終わりっしょ? じゃ、いっこー!」
シフト終了の報告をし終わると同時に、ヤミ子が世羅の腕を引く。
「……どこ行く気だ」
「外!」
世羅は半目でヤミ子を見つめる。
「わざわざ外で食う必要ないだろ」
「いや~、コンビニの中って、無機質すぎて落ち着かないんだよねー?」
ヤミ子は軽く肩をすくめ、レジ奥の休憩スペースをちらりと見やる。
そこにあるのは無機質なカウンター席と、背もたれのないスツール。
「ほら、ここってさ、なんか"作業場"って感じするじゃん? あーし、もっと気楽に食べたいんだけど?」
確かに、休憩スペースというより、短時間の軽食用の設備という印象が強い。
「それに、マスターとふたりっきりで食べるのに、こんな場所じゃ、ムードもへったくれもないっしょ?」
(ムード? なんの?)
世羅が無言でヤミ子を見つめると、彼女はにやりと笑う。
「ま、文句言ってないで行くよっ!」
そう言うなり、ヤミ子は世羅の腕を引いた。
抵抗する間もなく、世羅はコンビニの裏手へと連れ出される。
「……もうちょいゆっくり食わせろよ」
「んなこと言ってたら、冷めるっしょ? てか、そもそもマスターって、ご飯ちゃんと食べてんの?」
「グリーンペーストで済ませてる」
ヤミ子は 「うわぁ……」 と、あからさまに顔をしかめた。
「いや、出たよ! 味気ない未来の完全食!」
世羅が普段の食事として口にしているのは、"グリーンペースト"と呼ばれる栄養補助食品だった。
食物繊維・タンパク質・ビタミン類をバランスよく配合したペースト状の食品で、"手軽に一食を済ませられる"ことから、一部の層には人気がある。
だが、味は限りなく"無"。カロリーも必要最低限。
お世辞にも"食事を楽しむもの"とは言えない代物だった。
「いや、マジでさぁ……あーしならいいけど?」
ヤミ子は自分の"胎"を指さす。
「あーしは精気で生きてるから別にいいのよ? でも、マスターはちゃんとした食事取んなきゃダメっしょ!」
「食事に時間をかける余裕はないからな」
世羅はそう言って、手元のR.I.N.Gを軽くタップする。
ホロパネルには、クランの維持費がリアルタイムで表示されていた。
住居費、食費、装備のメンテナンス、活動費――。
戦うだけでは終わらない。"養う"こともまた、世羅の仕事だった。
「少しでも余計な出費は減らす。時間も、スコアも」
「……だから、グリーンペースト?」
「栄養価は十分。コストも安い。調理も不要」
「いや、それさー」
ヤミ子は腕を組みながら、世羅のホロパネルをちらりと覗き込む。
「クランの維持が最優先なのはわかる。でもさ、"生きる"ためにやってんのに、"生きてる"感じなくね?」
世羅は黙ってヤミ子を見る。
「まっいいや! せっかく作ったんだから食べな! お弁当!」
強引に押し付けられたランチボックスを開けると、そこには見た目にもこだわった、彩りの良いおかずが並んでいた。
(……意外にちゃんとしてるな)
「ほれほれ、味わって食べなよー」
ヤミ子がニヤニヤしながら、世羅の口元にフォークを差しだす。
「お前は食わないんだよな?」
「んー、あーしは別にいらないし?」
ヤミ子は軽く肩をすくめる。
「淫魔は普通のご飯食べなくても平気なんだわー」
「そうだよな」
「そ! 精気がごはんみたいなもんだし?」
ヤミ子は堂々と胸を張る。
「じゃあ、味見とかは?」
世羅は弁当を見ながら、少し眉をひそめる。
「してないよ?」
ヤミ子はあっさりと答えた。
「……してないのか」
「でも、これ入れてるから大丈夫っしょ!」
ヤミ子は小さなボトルを取り出し、軽く振る。無色透明に近い液体が中でゆらぐ。
「……なんだそれは」
「んー? マスター専用のスペシャル調味料?」
ヤミ子は悪びられる様子もなく、自分の膝の上にボトルを置いた。
「これをちょびっと混ぜるだけで、めちゃくちゃ美味しくなるんだよね♪」
世羅はボトルをじっと見つめる。見た目は水にしか見えない。
「そんなものを入れて、大丈夫なのか?」
「なに言ってんの?」
ヤミ子は世羅の肩に肘を乗せ、ニヤリと笑う。
「あーし、ギャルだよ? 見た目、整えるの得意じゃね?」
自信満々に胸を張るヤミ子。
「質問の答えになってないぞ」
「まぁ、食べてみ? ね?」
「まて……飲み物を用意するのを忘れたな」
「ひゅ~~~♪」
ヤミ子は鳴らない口笛を鳴らし、ボトルを軽く振る。
「スペシャルドリンク! マスター専用!」
「調味料だろ?」
「えーっと……そうだっけ? ドリンクにもなるし? ねー……精気たっぷり、超濃縮よ?」
「……精気?」
「ん? なーんも言ってないけどー?」
ヤミ子はとぼけた顔でボトルを突き出す。
世羅は軽く眉をひそめたが、そのまま受け取った。
「……まぁ、いいか」
ボトルの蓋を開けると、ほんのり甘い香りが漂う。
だが、不思議なことに、見た目はまるで水のように透明だった。
一口含むと――。
「……うまい」
思わず世羅はそう漏らした。
甘さは控えめなのに、喉を通るたびに体がじんわりと温まり、力が満ちていくような感覚。
口当たりは滑らかで、後味もすっきりしている。
「でしょ~?」
ヤミ子は満足げに笑い、世羅は黙ってもう一口飲んだ。
ふと、目の前の弁当に視線を落とす。
色とりどりの具材がバランスよく詰め込まれ、見た目は完璧に仕上がっている。
米粒ひとつ乱れず、卵焼きは黄金色に焼かれ、野菜の彩りも鮮やかだった。
黒ギャルのセンスとは思えないほど、ちゃんとしている。
「ほらほら、味わって食べなよ~♪」
ヤミ子がニヤニヤしながら、世羅の前に弁当を押し出す。
「あーしがお弁当つくるのなんて、マスターにだけだよ?」
「ん? そうなのか?」
世羅はフォークを手に取りながら、弁当を見つめた。
「だーかーらー! さっきマスター専用の調味料って言ったっしょ?」
ヤミ子は得意げに小さなボトルを振る。
中で無色透明の液体がわずかに揺れる。
「これ入れたら、味バッチリになるんだから♪」
「つまり、それを入れないとまずいってことか?」
世羅がじっとボトルを見つめると、ヤミ子は一瞬だけ口をつぐんだ。
だが、すぐに悪びられた様子もなく、ニヤリと笑う。
「ん~~? まぁ~? そうなのかも? ちゃんと噛んで? ゆっくり味わって? えらいね~(はぁと)」
まるで子供に食べさせるかのような甘やかしボイス。
世羅は無言で頭をなでるヤミ子の手を払いのけた。
「やかましい」
「あれぇ? マスターってば、おこちゃまなのぉ?」
ヤミ子はわざと大げさに目を丸くし、ひらひらと手を振る。
「も~、ちゃんと栄養とらないと大きくなれないよぉ?」
「これ以上、どこを育てる気だ」
「ん~、たとえば……身長?」
ヤミ子はニヤリと笑いながら、スッと立ち上がり、世羅の前に立つ。
「マスターちょっと立ってみ♪」
言われるままに立ち上がる世羅。
ヤミ子はまっすぐ世羅の顔を見上げ――ふむ、と顎に指を当てた。
「……やっぱ負けてんね~」
「当たり前だろ」
「ん~? でも、ここでこうやって……ほらっ!」
ヤミ子は世羅の肩に手を添え、背伸びをしてみせる。
ぐっと伸び上がり、身長差を埋めるように――。
「おおっ、今ならマスターより上かも?」
「……それで?」
「うーん、あともうちょっと足りないかな~?」
ヤミ子は背伸びしたまま、世羅の目をじっと見つめる。
甘えたような仕草で、ゆっくりと首をかしげた。
「ん~、マスターの背、ちょっと借りていい?」
背伸びしたまま、ヤミ子は軽く世羅に寄りかかる。
そんな二人のやり取りを、陰からじっと見つめる視線があった。
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