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争い

■ 本作について

本作は 世界観設定・アイディア構築・プロット立案をすべて著者自身が行っており、執筆の補助ツールとしてAIを活用しています。


■ 活用の具体的な範囲

自己規範にのっとり制作という一面はありつつも執筆であることは放棄しない方針です。

興味があればこちらをご覧ください→ChatGPT活用の具体的なイメージ[https://note.com/makenaiwanwan/n/nc92cf6121eb3]

■公開済エピソートのプロットを公開中

「主体性・創造性・発展性・連続性」を確保している事の査証が目的です。

https://editor.note.com/notes/n52fb6ef97d70/edit/


■ AI活用の目的とスタンス

本作は 「AIをどこまで活用できるか?」を模索する試み でもあります。

ただし、創作の主体はあくまで自分 であり、物語の本質やキャラクターの感情表現にはこだわりを持っています。

また、すべてを自身の手で執筆される方々を心から尊敬しており、競合するつもりはありません。

「随分と手こずっていましたね?」


 月乃がボスの背中越しに、世羅へと言葉を投げた。

 ボスとの距離はわずか数メートル。斬撃が届くほどではないが、踏み込みひとつで埋まる間合いだ。


「そう見えるか?」

「ええ……わたくし、ちゃんとみてました」


 工場内に設置された監視カメラ、敷地を漂うドローン群。

 それらはすべてソフィアの制御下にあり、決闘(デュエル)の行方をリアルタイムで見守っていた。

 その映像は、当然のように月乃にも共有されている。


「なら、見たままだな」

「世羅くん……わたくしが助けなければ負けていました。その場合、どう責任を取るつもりだったんですか?」


 クランマスターである世羅の敗北は、決闘(デュエル)の終わりを意味する。

 それは世羅ひとりの問題ではなく、配下である月乃にも同じ責が降りかかる。


「責めるなよ。そうなる前に召喚(よん)だだろう?」


 世羅の口調は軽い。だが、それは強がりだ。

 欲望強化(リビドーブースト)の出力はすでに落ちこみ、維持すらあやうい。

 反比例するように、折れた腕の痛みが鮮明になっていく。

 額を伝う汗も拭えず、ただ、ぎこちない笑みを浮かべた。


「ふぅ……」


 月乃は感情を押し殺すように息を吐いた。

 行き場を失った“怒り”が、額の角を赤熱させていく。

 熱にあおられた空気が、陽炎のように揺らめいた。


「……わたくしは氷室先生ほど、寛容ではありませぬ……」


 彼女の“憤怒”は力であり、悪癖でもある。

 そのことは、誰よりも彼女自身が理解していた。

 だからこそ、その感情を抑えようと言葉を研ぎ澄ます。

 それは理性の証でもあった。だが、その均衡を保ちきるには、まだ若すぎる。


「できれば優しくしてほしい。怪我人なんだ」


 世羅は目を細めて小首を傾げ、腫れた両腕を持ち上げてみせた。

 吹き出す脂汗が痛みを物語っている。

 そのすかした調子が、ただの強がりにすぎないことは明白だった。


「……介抱()て、労れとでも?」

「励ましても欲しい、優しくな?」

「これはまた、妙なことを……わたくしはいつもそうして差し上げておりまする――」


 言葉だけを拾えば素っ気ない返しに聞こえる。

 けれど、その響きには不思議な親密さがあった。

 傍から見れば、まるで長年連れ添った夫婦のようだ。


『おぉい! なんだオマエっ! なにその空気っ!!』


 実際に“傍”にたつ脇役が、黙っていられるはずもない。


「……?」


 月乃は眉をわずかにひそめた。


『なにか……? って顔すんなよっ! ふたりでイチャつくとかバカじゃないの!? てか、腕っ! ボクの腕ぇええっ!!』

「腕……? それが何か?」

『だ・か・ら! 何か? じゃ、ねーのっ! もうちょいでボクの生身まで逝ってたんだぞっ!』


 ボスは切り落とされた腕を拾い上げ、ブンブンと振り回しながら声を荒げた。

 口にしているとおり、生身までは届いていない。

 見た目の巨躯(きょく)は外装のせいであり、肉体そのものはその内側に収まっている。

 切り落とされたのは、あくまで(よろい)の部分。外殻だけだ。


 その事実を、月乃も理解していた。

 世羅とボスのやり取りを見ていれば、察するのは容易い。


「支障はないでございましょ? 狙ったのは(くび)でした。わたくしもまだまだ未熟者ということ……」


 そう取り繕ってはみせたが、実際には違う。

 生身に届かぬ位置を正確に選び、刃を寸分の狂いもなく通したのだ。

 (くび)を狙わなかったのは、人を斬る覚悟が、まだ足りなかったから。


『ざけんなっ、バカっ!!』


 一歩間違えれば死んでいたかもしれない。

 その事実が、ボスの真っすぐな罵倒を呼んだ。


「なんとまぁ……親御さんをお顔を一度拝見したく……子は鏡と申しますでしょ?」


 月乃の声は皮肉を帯びる。

 ふつふつと湧き上がる怒りを抑えるために、言葉だけは正しく整える。


『親は関係ないだろブスっ!』

「ブ……!? はぁあああっっ!?!?」


 言葉の火花が散る。


『ねぇ! 世羅くん! なにコイツ!? マジでなに!? 急に現れてさぁ! 彼女面!? マウント!?!?』


 怒鳴りざまにボスが振り返る。

 装甲に覆われた内側から熱気が漏れるはずもない。

 だが、鼻先を撫でるような圧を感じた。

 その巨体は、ふたりのあいだに立ちはだかり、まるで壁のようにそびえ立っている。

 世羅は反射的に身を引き、気圧されながらも口を開く。


「……彼女……? 何の話だ? ……月乃はウチのメンバーで――」


 世羅の言葉を、月乃が食い気味に遮った。


「貴方こそ何なんなんですか!? 無礼なっ!」

『ボクは世羅くんの理解者さっ! そして、ボクは今日、世羅くんのマスターになる!』


 ボスが胸を張る。


「理解者……? 何を馬鹿な……!? もう勝ったおつもりですか!?」

『おつもりだよ! てか、なんだその喋り方っ! 勝ってるだろ! 勝つしかないだろ! あと、バカっていうなヴァーカッ!』

「餓鬼ですかっ!? 世羅く……主どのっ! 貴方のせいで、こんな言いたい放題――」

『おい! 世羅くんは関係ないだろ! オマエとボクの問題だよ! このブスっ!』

「ブスではありませぬっ!」


 言い合いの熱が頂点に達する頃、世羅は静かに後方へさがっていった。

 ふたりの声が激しく交錯するなか、ソロリソロリとフェードアウト。

 すくなくともボスに気づかれることはなかった。


『家に鏡ないのかよっ!』

「ありますよ! あるに決まってますでしょっ! そちらこそ、用意がないのでは!? 顔も性根もブ……っ、達者でないご様子っ! だから、そんな甲冑が必要なんですね!?」

『誰がブスだっ! ボクは可愛いよっ! むしろ美少女寄りだがっ!? ぶっ殺すぞテメー!!』


 ボスが振り返り、世羅の名を呼ぶ。


『ねぇ! 世羅くん! こんなブスバカと付き合っちゃだめだよ! 世羅くんがダメになる! ボクがリセットしてあげるからね! ねぇ世羅くん!』


 返事はない。ボスの視線の先に、もう世羅の姿はなかった。


『あれぇ!? いないんだけどぉ!? 置いてかれたんだけど!?!?』


 月乃が静かにいった。


「主どのはもういませんよ」

『なんでだよ!』

「決まってますでしょ? わたくしひとりで十分だからです」

『はぁ?? 寝ぼけてんの!?』

「……目覚めてないのはどちらでしょうね」

「オマエだろ? 鏡みろって言ってんじゃん!」

『すぐに解ります』


 月乃が一歩踏み出す。踏みしめられた砂利が鳴る。

 体の正面に野太刀を構え、右足がまえ、左足をややうしろ――正眼の構え。


 空気が重く沈み、彼女の周辺に青い(もや)がゆらりと立ちのぼる。

 ボスと同じ輝き。“欲望(リビドー)”の具現化。


《“憤怒”トリガーによるカタリシス反応を感知……120%……140%……160%……》


 同時に月乃のもつR.I.N.G(リング)より機械音声が流れる。

 欲望強化(リビドーブースト)の出力が、急速に上昇していく。


「“殺す気”で行きますよ。そう、命じられておりますゆえ……」

『望むところだが? 死ぬのはオマエだが?』


 ボスも身構えた。

 構えなど知らない。これまで必要としたこともない。

 だが、目のまえの“ビッチ”をぶちのめすために――やれることはすべてやる、そう考えた。


 いま手にしているのは、切り落とされた自分の腕。

 それを肩口に構える。これは剣だ。

 根本から半分だけ残ったもう一方の腕は突き出し、盾にする。

 侍に立ち向かう剣士のように、構えを取った。


「それでしまいですか?」

『は?』

「もう言い残すことはないのかと聞いています」


 ボスは「ふぅ」とため息をひとつ。


『……身の程しれよ? おまえじゃ釣り合わないから?』

「釣り合わない……とは?」

『世羅くんに』


 月乃はわずかに目を伏せ、静かに言葉を落とした。


「それが、“貴女”の辞世の句になるでしょう……」


 彼女に与えられた使命は“決着”。

 クランマスターである世羅が、直々に場を整える。

 一対一の状況でボスを仕留める――それが、彼女の役割だ。


 相手が希種であるゴーレムだとは思いもしなかった。

 それはいい。“刃”が立たないということはない。

 斬れるなら、勝てるということだ。

 ただ、ここまで“争いの質”が変わるとは、さすがに想定外だった。


「兵法怒島流、朱角派宗家――怒島月乃。これより参る、いざ尋常に――」


 踏み込みひとつ。刃がはしる。


「――勝負っ!」


最後までお付き合いいただき、感謝です!


「いいね!」と思っていただけたら、高評価をいただけると嬉しいです!


今後の励みになりますので、もしよろしければ……!

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