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切り札

■ 本作について

本作は 世界観設定・アイディア構築・プロット立案をすべて著者自身が行っており、執筆の補助ツールとしてAIを活用しています。


■ 活用の具体的な範囲

自己規範にのっとり制作という一面はありつつも執筆であることは放棄しない方針です。

興味があればこちらをご覧ください→ChatGPT活用の具体的なイメージ[https://note.com/makenaiwanwan/n/nc92cf6121eb3]

■公開済エピソートのプロットを公開中

「主体性・創造性・発展性・連続性」を確保している事の査証が目的です。

https://editor.note.com/notes/n52fb6ef97d70/edit/


■ AI活用の目的とスタンス

本作は 「AIをどこまで活用できるか?」を模索する試み でもあります。

ただし、創作の主体はあくまで自分 であり、物語の本質やキャラクターの感情表現にはこだわりを持っています。

また、すべてを自身の手で執筆される方々を心から尊敬しており、競合するつもりはありません。

「……ぐううぅ……」


 うめき声をあげても、痛みは薄れない。

 意思に関係なく、喉の奥から漏れでるだけだった。


『どうしたの!? はやく投了(サレンダー)しなよ世羅くんっ! しゃべれないの!? 意地はってるの!? 世羅くぅん!?!?』


 くぐもった声が、やけに耳に響いた。

 返事などしたくない。いや、それどころではない。

 意地を張っているわけでもなかった。


 負けを認める。その発想がないだけだ。

 失ってなお生きながらえることに意味などない。彼は――世羅は、ただそう考えていた。


投了(サレンダー)しなって! ボクを困らせるなよっ! キミが負けを認めないと! キミが大変なことになるんだよ!?』


 つい先刻、世羅は決着を急ぎすぎた。

 その報いが、いまのこの状況だというのなら、皮肉な話だ。


 だが、彼はまだ出し切ってなどいない。

 戦いの流れのなかで押し込まれているワンシーン。ただ、それだけのこと。

 勝負は続いており、決着はまだついていないのだ。


『世羅ぁ! 負けを認めろよぉ!! キミはっ! キミだけは悪いようにしないからっ!! 信じてよっ! だってボクは――』


 ボスの叫びは届かない。

 聞こえてはいる。意味もわかる――意図はわからない。

 いずれにせよ、考慮の余地はない。


『――もうっ! なんで? どうして!? なんで諦めないの!?』


 初対面の相手に、なぜそこまで執着するのか。

 その疑問が脳裏を過ぎるが。いまはどうでもいい。


 繰り返す。世羅に“負けを認める”という発想は、ない。


「……て……」


 唇が震える。しぼり出す声はか細い。


『えっ?』


 脈は激しく打ち、瞳孔は開いていた。

 痛みが限界を越え、止めようのない涙が(ほほ)を伝う。


「……手放すかよ」


 それでも、彼の目は死んでいない。


 瞳の奥に、青い光がともる。

 その光は血流にのって全身をめぐり、皮膚の下で脈打つように広がっていった。


「“アイツラ”は俺の“独占(モノ)”だ……」


 青い光は、やがて彼の全身を包み込む。

 それは、欲望(リビドー)の光――命の輝きだった。


『何言ってんの!? ボクが欲しいのはキミだけ――』


 世羅とボス。ふたりの“欲”が混じり合い、ひとつの奔流となる。

 それは脈動するように空間を震わせ、ふたりの肉体を包み込んでいった。


《“独占”トリガーによるカタリシス反応を感知……120%……130%……》


 手を離せば、二度と戻らない。

 虚無だったあの日々に、逆戻りしてしまう。


 それを受け入れることは、できない。


 折れた両腕が、ゆっくりと持ち上がる。

 小刻みに震え、骨は(きし)んだ。

 だが、砕けた骨が再生し、失われていた力が指先に戻っていく。

 世羅はその手で、その意思で、ボスの鉄腕をつかんだ。


『……えっ? 腕、折れてるのに……!?』

「くあぁあああっ!!」


 欲望強化(リビドーブースト)治療因子(ヒーリングファクター)が呼応する。

 それはゆるやかな治癒ではない。半ば強引な復元――再構成に近い。

 細胞を繋ぎ、肉を縫い、骨を継ぐたび、回復の痛みが全身を駆け抜けた。


『何? 世羅くんが光ってる……?』


 ボスの声が揺れた。

 視線の先では、世羅が青いオーラに包まれていた。


『……きれい……』


 その光景に、思わず見入ってしまう。


《……140%……》


 機械音声が淡々と告げる。

 無機質な響きが、現実へと引き戻した。


『……はっ!? MONOLITHっ! 何を言ってるの!? これは何っ!? 何なんだよぉ!?』


 同時に、得体の知れない圧を感じ取っていた。

 その圧を振り払うように、ボスは腕に力を込めた。

 世羅の体が()じれ、青白い粒子が空間に飛散する。


《回答します。欲望強化(リビドーブースト)です。欲しなさい、力を授けます》

『……欲望強化(リビドーブースト)……? これが、そうなの……?』


 その言葉を口にした瞬間、ボスは気づいた。

 (みなぎ)る力の正体。揺るぎなき自我の源泉。

 自身の装甲の隙間からも、同じ色の光が漏れている。

 金属の継ぎ目を脈打つように走り、世羅の青白い輝きと共鳴して震えていた。


「くっ……! おおお……!」


 世羅の喉から、獣のようなうめき声が漏れた。

 オーラの強度が増し、空気が震える。


 再生を続ける腕に力がこもり、拘束をこじ開けようとする。

 金属が鳴り、装甲の継ぎ目がわずかにたわむ。

 それでもボスの腕は動かない。押し返すように力を込め、世羅を捻じ伏せた。


『世羅くん! 無理をするなってばっ……もうっ! 違うっ! そんなこと言ってる場合じゃない!』


 ボスが叫ぶ。声は焦りに満ちている。

 だが、世羅を押さえつける力は変わらない。

 駄々をこねる子どもを咎めるように、力づくで黙らせようとしていた。


『終わらせるよ世羅くん! 大丈夫っ! このまま締め上げてあげる! キミの為なんだからっ!』


 この言葉は本心だ。

 例え、骨を砕き、肉を引き裂いたあとでさえ、本心なのだ。

 気を失わせればそれで終わる。無駄に傷つけることはない。


「MONOLITHッ! 俺の数値はいくつだっ!」

《……140%です……》

「くそっ! この期に及んでもかっ!」


 ボスは200%。明確な出力差がある。


『諦めなよ世羅くん! ボクの方がつよいんだからっ!』


 交じり合うオーラが熱を帯びる。

 皮膚が(くすぶ)り、呼吸のたびに肺がこげるようだった。

 意識を緩めれば、内側から燃え尽きそうになるほどの“熱情”。


 欲望強化(リビドーブースト)の数値が、勝利を保証するわけではない。

 だが、ボスから(あふ)れでる圧力。想い、気持ち、我儘(わがまま)


 世羅の“失いたくない”を、ボスの“所有(ほしい)”が――その純度が塗りつぶす。


「ぐぁああっ!」


 全身の筋肉が(きし)み、癒着しかけた骨と骨が悲鳴をあげ、再び離れた。

 痛みに視界が白く染まる。

 それでも力を抜くことはできない。

 締め上げる剛腕に抗い続けなければ、意識ごと握り潰される。


『ごめんね! すこしだけの我慢だよっ!』

「……おおおっ!!」


 鼻につく鉄の匂い。舌に感じる血の味が、敗北を予感させた。


《……140%……》


 出力が上がらない。ここまで追い込まれても、まだ絶体絶命ではないからだ。

 彼にはまだ“手札(カード)”が残っている。

 その事実が“甘え”になっていた。


『抵抗するなってば! 諦めなって! 世羅くんは頑張ったよ! もう何もできないんだ! コレからはボクが守ってあげるからっ!』


 ボスの言葉には、妙な湿り気がある。

 それでいて、気遣いと支配が、同じ温度で並んでいた。

 守る? 何を? 何からだ? 奪おうとしながら?

 何を言っているのか、世羅には理解できない。

 だが、それこそが決闘(デュエル)の本質だった。


 あらゆる理屈も、事情も、信念すらもねじ曲げて――強い者が奪う。

 弱肉強食を制度化した、純粋なる闘争。


「おいっ!」


 世羅が口を開いた。乱暴な呼びかけだった。

 次の一手のために、確かめておきたいことがある。

 優しく呼びかける余裕などない。


『はいっ!』


 戦闘の最中とは思えないほど素直な返事だった。

 だが、仮面の奥に潜む従順さを、いまの世羅が感じ取れるはずもない。


「オマエはまだ何か隠しているか!?」

『はいぃ!?』

「何か手札(カード)を残しているか……ぐううああぁ! ……き、聞いている!」


 締め上げられながらも、強引に問いを放つ。

 本来は戦いの流れのなかで、自然かつスマートに確認しておくつもりだった。

 そうしたかった。だが、もうそんな余裕は残っていない。


 確認したければ、素直にきくしかない。

 答えてくれるかどうかは、相手次第だ。


『ないよそんなの! そんなもの必要ない! ボクは君よりつよいからっ!』

「そうかっ! だったら頃合い……だっ!」


 真偽を確かめる術もなく、時間も残っていない。

 いまはただ、その言葉が嘘でないことを祈るまでだ。


『何がだよ!』

「言っただろっ! オマエはふたつ間違えてると! お、俺は……まだ……っ!」

『なに……?』


 世羅は奥歯をギリギリと噛み締める。

 短い沈黙が、ふたりの間を裂いた。


「……切り札(カード)を切っていない……」


 苦痛に顔を歪めながらも、世羅はニヤリと笑った。


 他の男がそうしたなら、ボスは意に介さなかっただろう。

 気が触れたのかと、笑い飛ばすかもしれない。

 だが、相手は世羅(ファントム)なのだ。

 古今東西、亡霊(ファントム)の笑みは破滅を連れてくる。


『えっ……? あっ……』


 麻痺(まひ)していたはずの恐怖が、ぬるりと湧き上がるのを感じた。

 それを理解するよりも早く、体が動いた。

 背筋を走ったつめたい感覚を振り払うように、

 世羅の胴を締め上げていた腕が、片方だけ解き放たれた。


 その一撃に、躊躇(とまど)いも、手心も、何もなかった。

 なるようになれと、ただ叩き込む。必殺の拳だった。


 ――刹那。


召喚(こい)っ! 月乃ぉぉおおっ!!」


 世羅の叫びが、戦場に響いた。


 ――ギャリィンッ!


 剣閃が弧を描いた。

 鉄と鉄が弾ける音がした。鋼を切り裂く、乾いた音だ。

 その余波のように、一陣の疾風(かぜ)が世羅とボスの間を吹き抜けていった。


『……えっ? 何? 腕……ボクの腕が……』


 利き腕の半ばからの先が、地面に落ちていた。

 金属の断面が磨かれたように艶めき、鉄の焦げた匂いが立ちのぼる。


 ボスは硬直したまま、駆け抜けていった人影を目で追った。


「……」


 その影はすぐに言葉を発さなかった。

 背を向けたままだ。だが、一分の隙もない。

 ただ、長いポニーテールとスカートが風に揺れていた。


 張りつめた静寂の中、凛とした声が静かに怒気を孕む。


「世羅くん……わたくしは怒っています……」


 抜き身の刀を振り払った姿勢のまま、怒島月乃(いかしまつきの)はそこにいた。


 月乃は刃を返し、ゆるやかに立ち上がる。

 肩に背負う動きに合わせて、「チャキン」と短い音が鳴った。


 身の丈に合わぬ四尺四寸――野太刀に分類される戦場の刃。

 その巨大な刀を、少女は片手で扱ってみせた。


 ゆっくりと振り返る。額に一本だけ覗く角が、赤く()けるように光った。


「いつまで待たせるつもりだったんですか……? 決闘(デュエル)は、遊びじゃないんですよ?」


 鬼姫の声が、屋内の空気を震わせ、静寂ごと支配する。


 ボスは動けない。理解が追いつかない。

 気配すら感じなかった。だが、いつの間にかそこにいるのだ。


『……だれ? この女……また、女……?』

最後までお付き合いいただき、感謝です!


「いいね!」と思っていただけたら、高評価をいただけると嬉しいです!


今後の励みになりますので、もしよろしければ……!

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