22:55 カエナ、
3回目の夜空は、以前よりも少し曇っている気がした。
不安と緊張で肺が潰れそうだ。先生に呼び出されて職員室の扉を叩くときのように――。いまだに次の日の朝を見ることができないナミダ。だが、次の日を知らないのはカエナ、ハツミ含め3人とも一緒だ。
「……くん、タナトスくん?」
ナミダ、ハツミに挟まれる話の中心にいつもいるカエナ。彼女に肩を揺さぶられてようやく声を掛けられていたことに気づいて、慌てて「ああ、今日食べたチキンうまかったな」と返す。
「ちょっとちょっと、アタシいつから食いしん坊キャラになったのー? 男の子だったらあれくらい普通でしょ?」
「はい出た~今のご時世それ、セクハラになるから気を付けなよ」
「んなぁっ!? アタシべつにそういうつもりで言ったんじゃないってー!」
許してよぉ、と狼狽するカエナを横目に、ナミダは少し気分が軽くなった。
こうしてまた――
「こうしてまた、3人で並んで座って星を見上げたい。そうでしょ、カエナ」
ナミダが言う前に、ハツミが口を開いた。
「今日は曇りだから。明日はもっときれいな星空だったらいいのに」
「ハツミン!」
「ん?」
「だいすきっ!!!」
カエナはハツミの身体を抱きしめた。おなかと背中がぺちゃんこになるレベルで強く――
「ぐ、ぐるじい」
丸まって夜風を感じていたルルゥもあくびして、「カエナのハグはうっとうしいからなぁ」と馬鹿にした。
どっと笑いがこみ上げる。
明日を見るため、だけじゃない。3人でもう一度綺麗な夜空を見上げる度に、ナミダたちは明日への一歩を踏み出す。そのためには――
突如、旋風が巻き起こる。光に包まれ――そして、ナミダたちは広場へと転移した。




