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「何度も聞くが、本当に何も知らぬのだな?ロザンナはこの店に行くと言って連れ去られたのだ、嘘をついていた場合は如何なるのか解っているのだろうな」
「そ、そう言われましても・・・本当に何も知りませんし、お忍びとは言え侯爵家の御令嬢がいらっしゃるのでしたら事前に連絡も来るでしょうし、貸し切りにしておりました。実際、守備隊の方が来て初めて知ったのですよ?私共が関係していると言うのでしたら家宅捜索でも何でもして下さい。そうすれば疑いも晴れますから」
万策尽きたリュシアンさんが喫茶カレンにやって来てリゼルさんに何度も問い質していた。うん、本当に何も知らないんだ、ロレンツの部下で菓子職人役のルーメンでさえね。
「あんた等もしつこいねぇ、いい加減にしないと営業妨害って事であたい等が相手をする事になるけど良いのかい?」
今この店にはヘルガさんの派遣したお弟子さんが三名常駐しております。いずれもそれなりに名の知れた方達らしく、最初に来た守備隊の人達はかなりビビってたよ。それでリュシアンさんが来たんだけど、知らないもんは知らないから話しようがない。
「い、いや、ヘルガ様一門と事を構えるつもりはない。邪魔したな、お前達帰るぞ」
結局何の成果も得られないままリュシアンさん達守備隊は王都内を捜索し続けていた。兄のフィレインさんももう王都内にはいないだろう事は解っているが、それでも何か手掛かりは無いかと手を尽くしていた。
って言うか、出来るだけの事はしたっていう言い訳作りのために捜索は止められないんだよね。だって父親のフォスターさんに留守を任されたんだし、お任せ下さいとか言っちゃったしね。
遠征から帰ったフォスターさんがロザンナさんの家出を知った時、その怒りが何故か俺に向いたのは別の話だ。
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バルダークさんとケティさん達が鉱山都市に到着した。人族より身体の丈夫な魔族とは言え、年寄りや子供を含んだ大人数の山越えに不安は有ったが、体調を崩す者も無く無事に到着して一安心だ。
「それじゃ、俺達は戻りますから皆の案内はお願いします」
「あいよ、後の事はあたい等に任せな」
出迎えてくれた中の人族のお姉様達に後の事は任せて荷車を押して第二陣を迎えに戻った。手を振り礼を言う皆を背に、決戦前に到着してよかったと安堵の息を付いた。
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防壁西門前の広大な開けた土地に五千人の兵士達が陣を組み、拠点の設営をしていた。まぁそれ位は許してあげよう。そこから先に進むのは許さんけど。
「ここなら周囲を見渡せるし隠れる場所も無い。今夜はゆっくり眠れそうだな、セレスタ」
「だからと言って警戒を緩める訳にはいかん。こちらから見えると言う事は奴からも見られていると言う事だぞ、ケベック」
勿論見てるよ。って言うか、既にあんた等は数千の俺に包囲されてんだけどね。
「それはそうだが、森からこれだけ離れていれば―――」
「ケベック、お前はセレスタの慎重な所を見習った方が良い。館で初めて奴に有った時の事を思い出せ。奴は誰に見つかる事も無く館に侵入し潜伏していたのだぞ。その後も何処からともなくセレスタに声を掛けてきたのだ、突然陣地内から現れたとて不思議ではない。それ位の心構えで良いのだ、既に奴の領域内に居ると思え」
「ハッ!では、そのように全員に通達して参ります!」
セレスタさんとケベックさんの命令で兵士達が森との境目へと向かって行く。そんな遠くからやっても意味無いから。今夜はもっと派手にやるからね?
と言う訳で夜になったので行動を開始した。
『『『『『ハハハハハ!!』』』』』
『『『『『わああぁぁぁ!!』』』』』
『『『『『ドッカアアァァァン!!』』』』』
王国軍の陣地内の至る所から一斉に大声を上げた。馬車の下から、テントの陰から、俺を探し回る兵士達の死角となる場所から一晩中騒ぎ倒してやった。
「・・・・・済まんセレスタ、俺が間違っていた。閣下の言う通り既に奴の領域内だったとは思いもしなかった・・・・・」
「・・・いや、流石に私も奴の領域内と言うのは言い過ぎではないかと思っていた」
「お前達、兵士達の捜索を止めさせろ。眠れずとも体力を温存せねば明日が持たん」
「「ハッ!」」
諦め顔のフォスターさんに言われてセレスタさんとケベックさんが捜索に走り回る兵士達を止めに行った。
兵士達が俺を探すのを止めて各々のテントに入ってからも声を上げ続けて決戦前夜は終わりを告げた。朝日を浴びてこれ以上は見つかる恐れが有ると声を出すのを止めると兵士達が動き出した。急に静かになった事で逆に襲撃されるのではと言う恐怖にかられたのだろう。流石にちょっとやり過ぎたかな?
ここまで読んで頂き有難う御座います。




