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「先ずは実家に挨拶ですか?坊ちゃん」


「冗談はやめてくれ。父には勘当されているんだ、貴族街に入る事すら許されないだろう」


「でしょうな。では、何時ものようにギルド近くで宿でも取りますか」


「ああ、ギルド近くなら僕等が目立つ事も、見知った者に会う事も無いだろうしね」


「では、そのように」


「・・・グレイ、態とやってるね?言葉遣いも変えてくれよ」


「ハハハ!すまんすまん。王都に来たからつい、な」


「・・・三年振りか・・・・・宿に着いたら先ずは情報収集と作戦を練ろう」


 ヘルガさん達から遅れる事六日、アルバさん達が王都へ到着した。アルバさん達は冒険者ギルド近くに宿を取ると情報収集のために王都に散って行った。


「・・・・・全員の情報を纏めると、共通して言えるのはロイドへの派兵、ヘルガ様の帰還と出奔。そして庇護を得た喫茶店と問屋か・・・・・」


「これって全部ブレッド君関連じゃない?ヘルガ様との関係は定かじゃないけど、あの方を動かせる人なんて早々居ないし」


「俺もそう思う。その問屋が卸している安価な小麦粉ってのはブレッドが出した物なんじゃないか?」


「だろうね・・・だとすると王都に潜伏してるのは間違いない。ブレッド君、聞いているんだろう?」


『ええ、俺の方からも話があるんですけど、先ずはそちらの話を聞いてからと言う事で』


「単刀直入に言うよ。ヘルガ様に力を貸して貰いたいんだけれど、会わせて貰う事は可能かい?」


『可能か不可能かで言えば可能です。ですが、ヘルガさんは入れ違いで王都を出ました』


「そ、そうか・・・・・それじゃあ別の方法を探すしか―――」

『貴族街に入りたいんですよね?ロザンナさんを連れ出すために』


「・・・・・何故・・・いや、何処まで知っている?」


『大体の事は。貴方が身分を捨てて王都を出た理由もロザンナさんから聞きましたよ、ジルバード第三王子殿下』


「そうか、彼女から・・・なら、力を貸して欲しい。僕に出来る事なら何でもする。だから頼む!この通りだ!!」


 テーブルに付く程頭を下げて懇願するアルバさんに俺は問い掛けた。


『今の貴方は自分の事しか見えていませんよね?彼女を連れ出すと言う事が如何言う事か解っていますか?王族、しかも行く行くは王妃になる事がほぼ決まっている彼女に平民になれと?しかも逃亡生活を強いる事になる。彼女が今どんな気持ちか考えた事は有りますか?連れ出した後は何処に行くつもりです?今程とは言えなくても不自由な生活をさせないだけの明確な根拠は有りますか?』


 アルバさんと共に生きたいが、貴族として生きてきた自分が平民になる事に対して二の足を踏んでいるロザンナさんの不安を解消出来るだけの材料が欲しいと思い聞いてみたが、この問いにアルバさんはこう答えた。


「彼女と共にロイドへ行こうと思っている。そこでザイツェンさんの手伝いをと、王族として育った僕なら彼の役に立てると思うんだ。君には迷惑を掛けるとは思うが、僕を雇って貰えないだろうか」


『戦の結果次第では貴方達は『魔王に魂を売った男』として処刑される。それでも魔族側に付くと?』


「違う、魔族では無く君に付くんだブレッド君。別の国に逃げる事も考えたが、親父さんやザイツェンさんに冒険者の友人も沢山出来た。逃げ続けたこの三年間で手に入れた大切な物がロイドには有るんだ。だからこれからのロイドの・・・いや、新しく創る君の国のために働かせて欲しい」


 侯爵令嬢と駆け落ちした元第三王子を匿うなんて厄介極まりないけど、王族として育った彼と王族になるための教育を施された彼女の知識は俺達には喉から手が出る程に欲しい人材だ。それに・・・・・


『解りました。ロザンナさん次第ですが、なんとか連れ出して見せますから逃げる準備をして連絡を待っていて下さい』


「出来るのか?!いや、僕から言っておいてなんだけど、いいのかい?」


『今まで助けて貰った恩を返す良い機会ですからね。お二人には幸せになって欲しいんですよ』


「済まない・・・・・」


 再度頭を下げるアルバさんに、後日連絡するから準備を怠らないようにと念を押してロザンナさんと逃亡のための策を話し合った。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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