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 ヘルガさんの来襲から三日。ロザンナさんは部屋を一歩も出る事無く物思いに耽っていた。


「お嬢様・・・何をお悩みかは存じ上げませんが、食事位はお摂りになりませんと御身体に障ります。こちらにお嬢様の御好きなイチゴの味のする変わったお菓子を置いておきますので、少しでも良いので召し上がって下さい」


「・・・後で食べるから置いておいて・・・・・」


「・・・・・お嬢様、私で良ければ何時でもお話して下さいね。人に話す事で気分が晴れる事も有りますから・・・・・失礼します」


 メイドさんがお茶と一緒に皿に乗ったロールケーキの俺をテーブルの上において部屋を出て行った。周囲を見渡して隠れられそうな場所を幾つか見つけて隙を伺い、ロールパンの俺を出してテーブルの上を転がって床に落ちた。ロザンナは窓の近くの椅子に座ってずっと外を眺めていたので、人型になって移動しても全く気が付く事は無かった。


 女性の近くで全裸で登場とか気が引けたけど仕方ない。警備の厳重なこの家でこのチャンスを逃がす訳にはいかなかった。


『『『『『ジルバードに会いたいか?』』』』』


「・・・・・誰?」


 ヘルガさんも心配してたし、心当たりが有ったので思い切って声を掛けてみたけど、騒ぎ出さなくて良かった。


『『『『『俺が誰かなんて、今は如何でも良い事だろう?』』』』』


「・・・・・そうね・・・会いたいわ・・・・・ジルバード様が何処に居らっしゃるか知っているの?」


『『『『『ああ・・・もう直ぐ王都に着く。帰って来た目的は君だと言ったら如何する?』』』』』


 キョロキョロと部屋を見渡していたロザンナが俺の問い掛けで俯き顔を伏せた。


「・・・嬉しい、わ・・・・・けど・・・私はもう・・・・・」


『『『『『今在る全てを捨てて彼と逃げる覚悟があるなら協力しよう。選ぶといい、王子と結婚して王族としての人生を歩むか、それとも平民として彼と共に暮らすのかをだ』』』』』


 何は無くとも、先ずは本人の意思が重要だしな。


「全てを捨てて平民として・・・少し考えさせて・・・・・」


『『『『『警備の厳重なこの家から君が出ない限り彼と会う事は叶わないだろう。余り時間が無い、彼が強硬策に出る前に決めるんだ』』』』』


「解ったわ・・・・・」


『『『『『君が一人の時に返事を聞きに来る。それまで出来る限り普通に生活するんだ。特に食事は摂るように。逃げるなら体力は必要だし、何より身体に悪い』』』』』


「クスクスクス・・・そうね、有難う・・・・・」


 笑顔を見せたロザンナが立ち上がり、部屋の中央のテーブルに着くとロールケーキの俺を少しづつだが食べてくれた。


*


*


*


「漸く見えてきたぜ。あの壁の向こうにロイドの町が有るんだよな?」


「ああ、ブレッドさんの話だとそうらしい・・・つーかあの壁、鉱山都市の向こうの山脈まで続いてるって話だぜ」


「ほんとかよ?!一冬であんなもん作っちまうなんて流石だよなぁ」


 いやいや、数千人規模で寝ないでやったら出来るって。そう言や最近じゃ増減が多過ぎて全員の数が把握出来なくなってるんだよな・・・自分の事なのに。


「何にしても後二日か三日だ。ロイドに着いたら少しのんびりしようぜ」


「だなぁ・・・お頭も言って・・・じゃなかった、商会長だっけか?新しい呼び方」


「そうそう。人前では聞こえが悪いから商会長に替えろってブレッドさんが言ってた」


「めんどくせぇけど、確かにその通りだな。俺達も真っ当な仕事してんだし、そう言う所も変えて行かねぇとな」


「だな」


 物資を乗せた馬車が南回りでロイドを目指いしていた。勿論乗っているのはロレンツの部下達だ。冬の間に稼いだお金で塩と布を中心に買い集めた物資も鉱石と同様に役場で買い取ってから各小売店へと卸される事になっている。鉱山で岩塩も取れたらいいのになぁ・・・・・

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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