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「おい、あれを見ろ」
「何だあれは?壁か?」
「一体何処まで・・・いや・・・何時の間にあんな物を・・・・・」
セレスタさんの放った偵察部隊が街道からそれた雑木林の中の茂みから様子を窺っている。人数は六人、一個小隊かな?
「見張りは居ないようだが・・・入り口はあそこだけか・・・・・」
「近付くのは止めておこう。魔王は妙な術を使うらしいからな」
未だに術だと思ってんだな・・・まぁ、術っちゃ術か?
「ああ・・・堀の深さも確認したかったが諦めて北側へ向かおう。迂回して鉱山都市へ入れるかもしれん」
「いや、それは無いな。鉱山都市が首都になると聞いた。警備も厳重だろうし、南へ迂回しよう」
「「「「「了解」」」」」
『『『『『そこまでにしておけ』』』』』
「・・・・・魔王か?」
彼等の隠れる雑木林のあちこちから同時に話し掛けると、南へ向かおうと言った隊長格の人が誰何の声を掛けてきた。
『『『『『そうだ。南に行っても同じだから教えてやる。ロイドの町を中心に歩いて二日程の距離を同じ壁と堀で囲んである。北側は山脈まで続いているから、軍隊で攻め込むなら山越えを覚悟するんだな。尤も・・・そこまで行かせるつもりは無いがな」
「それを信じろと?」
『『『『『好きにしたらいい。殺しはしないが身ぐるみ剥がされた状態で報告に戻れるなら、だがな』』』』』
「・・・・・解った。忠告に従おう。全員引き上げるぞ」
「いいのですか?」
「お前はここから領都まで装備も食料も無しで帰れるのか?私には無理だ」
「自分にも無理ですけど、はったりではありませんか?」
「不満なら一人で行け。確かに俺達の任務は偵察だが、そこには無事に帰還し、報告する事も含まれている事を忘れるな」
「はい・・・了解しました」
『『『『『お前達が帰る頃には王国軍も領都についている筈だ。フォスター将軍には可能ならば話し合いで解決したいとも伝えておいてくれ』』』』』
「確かに伝えておこう」
渋る隊員を諭して偵察部隊は引き上げて行った。勿論十分離れるまで監視は続けたけどね。
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「御無沙汰しております陛下」
俺達と別れた後、ヘルガさんは国王に呼び出されてお城の応接室で国王と会っていた。
「久しいなヘルガよ。そなたは何時も忙しく出掛けているようだが、少しは大人しく出来んのか?帰ってくる早々問題を起こしおって」
「あら?問題が有るのは私では無くて、商会と癒着して悪さをしていた者なのでは?白昼堂々人攫いだなんて、この国の貴族も落ちた物だわ」
「そう言うな。あれはあれでこの国の発展に多大な貢献をしているのだ」
「そう・・・貴方も加担しているのね・・・・・解りました、御師匠様が交わした先代との盟約は破棄されたとみなし、今後私と私の直弟子は国難に対し一切力を貸す事は御座いませんのでその御積もりで」
「構わん、好きにするが良い。たかだか十数人の剣士が居なくなった所でこの国が揺らぐ事等無い」
「序だから私も家を捨てるわ。これからは一平民として好きにやらせて貰うから。それじゃ」
ヘルガさんが席を立ち部屋を出て行く。国王はヘルガさんを蔑むような目付きで見送った。のを、俺はテーブルの上に置かれた皿の上で見ていた。
「馬鹿な人・・・既にここまで潜入されているのに気が付きもしない・・・そう言えば、進軍を止めるように忠告するのを忘れてしまったわね・・・フフフ・・・この先如何なるのか、本当に楽しみだわ・・・フフフフフ・・・・・」
怒りの混じった黒い笑みでヘルガさんが廊下を進む。何処に向かうのかは知らないが、まだ帰らないらしい・・・・・逃げて~!皆逃げてえええぇぇぇ~!!
ここまで読んで頂き有難う御座います。




