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 正面には五百名の兵士、背後には殺気立つ二百名近い領民に挟まれたセレスタさんは今どんな心境かね?さっさと門を開けた方が楽になれるけど、はいそうですかとはいかないだろうな、面子とか有るだろうし。


 まぁ、のんびり待つ気も時間も無いから追い込むとしますかね。


「今から十数えるまでに返答が無い場合は門を破壊させて貰う!!・・・十!・・・九!・・・八!・・・七!・・・六!・・・五!・・・」


「ま、待て!!貴様等は自分達が何をしているか解っているのか!!」


「時間稼ぎのつもりか?返答後に門が開かれなければ攻撃を開始する!我等の王は言った筈だ!!『あんた等が俺以上にロイドの住人を護り、養っていける訳が無い』とな!!実際に貴様等はロイドの民だけでなく領都の民ですら満足に養っていけていないではないか!!故に我等の王が手を差し伸べたに過ぎん!!それとも貴様等は全ての民に今直ぐ十分な援助を行えると言うのか!!」


「そ、それは・・・・・」


「なんだ?前領主のせいだとでも言うつもりか?他の町や村では違うと?ふざけるな!!見苦しい言い訳なんぞ聞きたくも無い!!が、一つだけ譲歩してやるからよく聞け!今現在ロイドに住む者達にも春までに我々に付くか王国に付くかの選択をさせている。今、門の向こうに居る移住希望者も同様に王国に帰りたいと言うのであれば春に送り届けよう」


「・・・・・冬の間だけ預かると言う事か?それを信用しろと?」


「帰すのは王国に帰りたいと言う者だけだ。開戦前にそちらが使者を立てるのであれば移住者全員の話を直接聞く機会を設けよう。譲歩出来るのはここまでだ!返答はいかに!!」


「・・・・・・・・・・」


 のんびり考える暇なんか与えねぇよ?


「総員構え!!目標!エステラン領都東門!!」

「待った!!・・・解った・・・今、門を開ける・・・・・」


「「「「「隊長!!」」」」」


「全ての責任は私が取る!門を開けろ!!」


 プレッシャーに負けたな。お陰で手の内を見せずに済んで助かったわ。


 門が開いて行く。先ずは兵士が出て門の横に武器を構えて並び、その後からぞろぞろと領民が出て来た。先頭はザイツェンさんだ。


「よお、中々堂に入った交渉っぷりだったぜ、ブレッド」


「アルファだ。ザイツェン殿の事は主から聞き及んでいる。移住者の纏め役ご苦労であった」


「いや、如何聞いてもその声はブレッドだろ」


「アルファだ。総員二列縦隊!これより領民の警護をしつつロイドへと帰還する!!」


「「「「「ハッ!」」」」」


「お、おい!ちょっと待てって、ブレッド!」


 街道の両脇を領民を挟む形で東へと向かった。ザイツェンさんは空気を読んで俺に馴れ馴れしく話し掛けないように。


*


*


*


 おそらくは王都に着いたんだと思う。今は馬車から降ろされて、一箱は厨房へと運び込まれ、もう一箱はメイドのお姉さんの部屋に運ばれた・・・・・同僚に配ったりしないのかね?独り占めは良くないなぁ。


 相変わらず蓋を閉められたままなので外の様子は解らないが、一度だけ料理長らしき男に食べられた時に周囲を見る機会が有ったが・・・・・まぁ厨房だし、特に何か変わった物とか情報が手に入った訳じゃない。夜になって寝静まったら行動を開始するかな。先ずは服が欲しい所だ。


 メイドのお姉さんの部屋は六畳間位でベッドとテーブルとクローゼットが有った。領主館で見た使用人の部屋から推測するに、それなりに地位の高いメイドだと思う。普通はクローゼットなんて無くて、服は木箱に入れてたし。


 こっちの俺は出歩けそうにないな。夜中に女性の部屋に全裸で出る気は無いし。


 何にしても動くのは夜中だな。ここが王都かは解らないけど、将軍さんの家なのは間違いないだろう。先ずは屋敷中に潜伏して情報を集めようと、夜になるのを待った。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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