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「は?避難民がロイドへ帰る準備をしている?明日迎えに来るとは如何言う事だ?」


「その・・・不満が溜まっていたのは承知していましたが、この雪の中で野宿をするのは無謀と思い止めたのですが、迎えが来るから大丈夫だの一点張りで言う事を聞かんのです。武器を向けて力で抑えては他の町民にも影響が出ますし如何したものかと・・・・・」


「クソッ!奴か!奴が裏で糸を引いてるのだな!!」


 領主館では兵士達から報告を受けた代官のセレスタさんが頭を抱えてます。そりゃそうだよな、レスティンさんを捕まえる理由が領民を蔑ろにした事なんだし、あの将軍さんから叱責されたら寿命が縮むだろ。


「それが・・・怪しい者の姿も確認出来ておりません。指揮を執っていた者はロイドの住民でしたし・・・不可解なのは毛布や薪だけに留まらず、馬車や荷車を如何やって手に入れたのかです。あれだけの物資を用意する資金は何処から出ているのでしょうか?」


 ロレンツさんがスラムから移住する人と一緒に塩とかも運んでるからね。流石裏稼業やってるだけあって足取りも追い難いみたいで助かるよ。


「至急閣下に連絡を・・・・・我々だけで引き留めるしかない。東門に兵を集めろ!迎えとやらを迎え撃つぞ!!」


「ハッ!」


「・・・・・申し訳ありません閣下・・・私の力が足りぬばかりにこのような事に・・・・・」


 部屋を出て行く兵士の背中にセレスタさんが悲痛な面持ちで呟いた。まぁ将軍さんもこんな事になるとは思ってなかっただろうし許してくれるんじゃないかな?


*


*


*


 明けて翌早朝。って言うかまだ真っ暗なのにガルさん達が集まって来て荷車に乗り込んだ。


「いや、まぁ俺は寝なくても大丈夫だから良いんだけどさ、どんだけやる気出してんのよ」


「うるせぇ!良いからとっとと出しやがれ!」


 ガルさんとそんなやり取りをしていたら続々と人が集まって来た。


「春になったらあたし等も行くから元気でね!」

「俺等が着いた時に家が足りなかったらぶん殴るからな!!」

「ブレッドさん!皆を宜しくね!!」

「皆頑張ってね!!」


「お、お前等・・・馬鹿野郎!見送りなんて恥ずかしいじゃねぇか!!ブレッド!とっとと出せ!!」


「はいはい。それじゃ行ってきます!!」


 恥ずかしそうに顔を伏せる鍛冶師や大工を乗せた荷車が雪山へと向かって走り出した。


*


*


*


 一方領都では東門前に集まった領民と兵士が睨み合っていた。


「お前達は魔王に騙されていると何度言ったら解るのだ!!」


「聞き捨てならねぇ事言うじゃねぇか!ブレッドは俺達にずっと旨い飯を無償で鱈腹食わしてくれたんだぞ!!」

「俺達の恩人になんて事言いやがる!てめぇ等なんかよりよっぽど信用出来るんだよ!!」

「魔王になったのだって魔族も助けるためだって聞いたぞ!彼より慈悲深い奴なんて居るもんか!!」


「だから、それはお前達を騙すためにだな・・・・・」


「良いからそこを退けってんだよ!!態々俺達のために街道の雪搔きまでしてくれてんだ!!せめて出迎え位しなきゃ申し訳がたたねぇんだよ!!」

「そうだそうだ!申し訳程度の食料しか出せねぇお前等なんかの言う事誰が聞くもんか!!早く退けやがれ!!」


 事前にザイツェンさんに言っておかなければ暴動が起こっていても不思議では無い程に領民達は殺気立っていた。


「隊長!街道を鎧姿の集団がこちらに向かって来ております!!」


「クッ!間に合わなかったか・・・総員防衛体制を取れ!!東門を死守するぞ!!」


「「「「「ハッ!」」」」」


「皆!ブレッドだ!!ブレッドが迎えに来てくれたぞ!!」

「てめぇ等のせいで出迎えられなかったじゃねぇか!!とっとと門を開けやがれ!!」

「お前達に俺達を止める権利なんてねぇんだよ!!」


「「「「「あっけっろ!!あっけっろ!!」」」」」


 ザイツェンさん、その調子でどんどん煽ってくれよ。民意が俺に付いていれば戦闘無しで門を開けさせる事が出来るかもしれないし。


「総員整列!!我々は、旧エステラン子爵領民から救援要請を受けて我等の領民として迎えるために来た!!こちらに戦闘の意思は無い!早急に門を開き、移住希望者を開放せよ!!」


 門前に五百人の甲冑姿の俺が五列縦隊で並ぶ様はさぞ壮観だろうな。なんて暢気な事を考えながら門の上から俺達を睨むセレスタさんの返答を待った。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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