第陸話 新たな日常 ②
その夜
私は自宅にて、父と夕食を共にしていた
「ソフィア、学校はどうだ?」
「はい。毎日楽しくやっていますわ。それに今日、また新しい友人が3人も出来ました。」
「そうか。三人も。それはどんな子たちなんだ?」
「今日から転校していらしたようです。一人は普通の男の子で、あとの二人は女の子なのですが、とても奇抜な髪色や目の色をしていましたので最初は少し戸惑いましたが、二人とてもとても良いお方です。」
私がそう言うと、何故かお父様は少し表情を曇らせた。
「転校生が三人も…。あの高校にしては珍しいな。名前は何という?」
「ええと。キョウヤくんと、アオイちゃんとユカリちゃん、です…が。どうして?」
今まで、お父様と友人の話をする時、お父様はこのように名前まで聞かれたことはなかった。だから、私は少しお父様の反応に違和感を覚えた。
「いや、なんでもないよ。さて、私はそろそろ仕事に戻る。」
そういってお父様は席を立ち、お手伝いさんに車を玄関まで回すように言った。
「はい、気を付けて。お父様も少しは休んでくださいね。」
お父様は政治家で、毎日忙しく、家にいることがほとんどない。お母様も仕事が忙しく、長期的に地球にいる。この通り私は、小さいころから両親とあまり接する機会がなく、話すことはもちろん、褒めてもらうことも、叱ってもらうこともなかった。でも、ヴァイオリンを弾くときだけは私のことを見てくれた。私がヴァイオリンのコンクールに出場すれば両親は身に来てくれたし、賞を取れば褒めてくれた。だから私はヴァイオリンを弾き続けた。
「…フィア…ソフィア聞こえているのか。」
まだお父様は仕事に行っていなかったようだ。
「すみません、考え事をしていました。」
「食事中に考え事はあまりよくないな。まあそれは今はいい。ソフィア、半年後のツアーコンサートは私もリリアも見に行けそうだ。練習は怠るな。期待しているぞ。」
「お母様も帰って来られるのですね。はい。練習はわかっています。」
「では、またな。」
「はい。」
お父様はそう言ってリビングから出ていった。
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プルルルル
電話だ。
アオイたちならエアーのシステムを使って部屋に直接呼びかけてくる。わざわざこんな時間に電話をかけてくるなんて誰だろうと思いながら僕は出た。
「もしもし?」
「お前!今どこにいんだよ!急に学校からいなくなっちまってびっくりしたじゃねぇか!」
いきなり大声で叫ばれる。
「っは…?どちら様で…。」
「どちら様ってお前、俺の番号登録してなかったのかよ!俺だよリュウジ!」
「リュウジか!ごめんよ!登録してなかったみたいだ!」
「おいおい!ってまあそんなことは今どうでもいいよ!お前なんで急に学校から消えたんだよ?」
ここ数日いろんなことがありすぎて、もうリュウジのことが懐かしくも思える。
「あぁー、その…まあかくかくしかじかで…。何というか…その…。」
だめだ、言い訳が見つからない。
「なんだよ、そんなに言えないことなのかよ。」
「まあ、うん…。ごめん…。」
なんだかほんとに申し訳ない気持ちになる。
「はあ~そっか。なんか特殊な事情とかそんなことだろうとは思ったけどよ。で?今どこにいるんだ?」
「月…だけど…。」
「月ぃ!?おま、まじか!」
「あっ、そうか。リュウジは月にあこがれてたよね…そっか…なんか…さらに…ごめん。」
「いや別に誤ってほしいわけじゃねぇよ!俺でもそんなことで嫉妬しねぇよ!てか、お前相変わらずヘコヘコしてんのな。」
「そ、そうかなあ…?」
「ああ、してるよ。ハハハ。」
なんていう会話をしばらくリュウジとしていた。リュウジとの会話はなぜか落ち着く。
「じゃあな、まあ何があったかは知らねえけど、そっちでも頑張れよ。あ、あと俺の番号ちゃんと登録しとけよ!」
「うん。ありがとう。わかってるよ!」
「またかけるからな!あ、もし今度かけた時にキョウヤが都会に染まってたら俺は許さんからな!」
「どういうこと!?大丈夫だよ!」
電話は切れた
少しだけど、元気をもらった気がする。明日からもここで、頑張ろう。
僕はベッドに寝転び、瞼を閉じた。




