いーち
私の世界。
それは、すべて音が運んでくれる。
鳥の鳴き声、風の音、足音に呼吸音。
それが、目の見えない私の知っている“景色”。
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今日は休日。
前から約束をしていた友達と遊びに行く日だ。
「お母さん!友達と遊ぶからお小遣いちょうだい!5,000円ぐらい!」
「いつものお出掛け用ね。一応、お友達の名前聞いてていいかしら?」
「いつものメンバーだよ。優奈とか晴美たち!」
「わかったわ。気をつけて行ってくるのよ」
お母さんは、そう言ってお小遣いを手渡してくれた。
「ありがとう!行ってきまーす!」
盲目の美景は、白い杖を携えて家を後にした。
ガチャンーー
カンー カンー カンー ガッー カンー
白い杖からの音を頼りにバス停へ向かう。
通学でも使う慣れた道に、足取りも軽い。
バス停に着いた。既に並んでいるのか、数人の話し声が聞こえる。
フシュー
ブー ガャシャンッ
『●●モール方面行き。足元お気をつけてご乗車ください』
到着したバスに乗り込む。
『出発します。ご注意ください』
ブロローー
車内アナウンスとともに、エンジン音が聞こえ出す。
『●●モール前、●●モール前』
しばらくすると待ち合わせのバス停へ到着した。
席を立ち上がりバスを降りようとすると、後ろから声がした。
「手伝いましょうか?」
「ありがとうございます。助かります、お願いします。」
そう返事をすると、バスの降り口まで案内してくれた。
「降りれましたね!では!」
「ありがとうございました!」
美景は、お礼を言うと待ち合わせ場所のベンチを探し始めた。
「おまたせー!美景はやいね!あ、みんなも来たみたいだから行こっか!」
この声の明るさとテンションの高さは…
「晴美、おはよう!うん!行こ!」
晴美と共に歩きだした。
「2人ともおはよー!これでみんな揃ったね。どこから行こっか?」
「とりあえず、雑貨屋行こうよ。学校に持ってくペンとか見たい!」
「いいね!そうしよー」
他愛ない会話をしながら、買い物を楽しんだ。
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正午を過ぎ、フードコートで各々好きなものを食べる。
たくさんの話し声や子供の泣き声や笑い声。
「~じゃん?だから、美景はどうオもう?」
「え?ごめん、ちゃんと聞こえてなかった」
あれ?一瞬だけ周りの音が遠くなった気がした。
「だ~か~ら、クラスの悠真!絶対、美景のこと意識してると思ウんだヨねー!」
「いやいや!そんなことないでしょ!そりゃぁ、こんな私にも優しいし、いい声だなとは思うけどさ…」
「えー!そうなの!?今度、悠真くんに聞いテみよっかなー」
「絶対やめてー!」
この前、悠真のことが気になるって相談してから、ことあるごとに話題にされる。
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その後も買い物をしたりカフェに入ったりしながら過ごした。
「じゃ、ここで解散でいいかな?美景も送っていかなくて大丈夫?」
優奈が心配そうに聞いてくる。
「大丈夫だよ~。バスには慣れてるし!また学校でね~」
「そっか!じゃ、まタね!」
みんなと解散し、帰路に着く。




