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くっころの騎士団と枢軸の魔術師  作者: Tand0
Saga 5: くっころの騎士団と枢軸の魔術師
33/52

急転(なら/しが/ぎふ(中編

 女――くノ一の少女、シルバーナは目を覚ました。

 それは冷たい石の、要は床の上であった。


「なぜ、こんなところに……」


 起き上がろうとして、自分が起き上がれないことに気づく。

 足枷をされていたのだ。


(なぜ……)


 ぼけた意識がはっきりし出した時、シルバーナは唐突に、そして相当にマズイ状況に置かれていることに気づく。


(ここはおそらく鳳凰騎士団本部の地下牢獄)


(私、罠に掛かって捕まってたのか……)


 当時を思い出す。

 鳴子の罠に掛かりアラートが鳴り、逃げようとしたとき。

 鳳凰騎士団の老練な騎士に後頭部を殴られてそのまま……。


 すぐさま逃げようとするが足枷がそれを阻む。

 よく見ると周囲も鈍い光を放っているのが見える。それは魔方陣だ。

 体術だけでなく魔術的な手段も封じられているようだ。


 一体外ではどうなっているのか?

 今は何時なのか?


 暗い部屋の中ではそれが分からない。

 魔方陣が発する光は、あまり頼りにはならなかった。


 耳をすます。くノ一の聴力は非常に高い。

 しばらくするとなにも聞こえなかったが、誰かが地下に降りてくるだろう足音が聞こえた。

 足音は2人分。さらに男の会話する声が聞こえる。


「しかしあの女。かなりの上玉だよなぁ。身分を示すようなものは何か持っていたか?」

「一通り検分したが何もなかったな――」


 それは当然だとシリバーナは思う。

 このような諜報活動をするとき、薔薇騎士団に関連するような物を持つのであれば、それはそれ様の目的があるときだ。


「そりゃぁいい。十中八九、女は薔薇騎士団の忍者部隊なのだろうが、知らぬ存ぜぬを決め込めるわけだな」

「ふむ……。言われてみればそういうことだな」

「分かっているくせに。それで、薬は持ってきたのか?」

「あぁ、快楽に溺れ自分から求めるような強力なヤツだな」

「そして狂わせてからあらいざらい自白させるか。酷いなお前」

「お前もだと思うが……」


 そして男たちは目的地についたらしい。足音が止まる。つまり、ここだ。

 部屋の扉が開かれ、明かりが入ってくる。

 シルバーナの身体は伏したまま。足枷で動くことができない。


「おい、女。名前は?」

「ギン」


 男たちは普通に尋問してきた。

 適当な嘘でごまかす。

 先ほどの会話はわざと聞かせたのだろうか?

 シルバーナを恐怖に落とすために。


「それで? なぜキミはアーカンソー鳳凰騎士団の本部たるこの地に潜入したのかな? 目的はなんだね?」

「知っているくせに……」

「目的は?」


 再度聞いてくる男。


 それなりの身なりの男はやはり鳳凰騎士団の上位の者なのだろうか。

 シルバーナは機密に係わらない部分については話し、適当な嘘を混ぜてやり過ごす作戦を立てた。


「なにやら鳳凰騎士団は他の騎士団にちょっかいを出そうとしていた様子。それを探ろうと……」


 ちなみに、アーカンソーには鳳凰騎士団と薔薇騎士団以外にも、薔薇騎士団のような国王公認の騎士団には近衛騎士団、連合騎士団、民衆騎士団、南部騎士団の4つがある。が、女性を主力として使う騎士団は薔薇騎士団しか存在しない。


「で、あの会話は聞いたのかね――」

「――」


 押し黙る。それは鳳凰騎士団が薔薇騎士団に悪事を働いたという証拠だ。

 男はその様子に互いに話合う。


「さて、どうするね。こいつ」

「やっぱりバレたのであれば返すことはできないだろうな」

「やっぱりそうなるよな」

「ならば生きている間は楽しまないとな」

「こうなると当初の自白とかどうでもいいよな。薬とか強めに使っちまおうぜ」


 そして、男たちはシルバーナの上から下に食い入るように眺める。


「くぅ、たまんねぇなコレ。多少汗臭い感じはするが。そこらの春売りの女とは比較にならんくらい良いぞ」

「しかし薔薇騎士団って言うのは、皆こんな上玉ばかりなのか?」

「そりゃ、アーカンソー王国全土からきれいどころを集めているのだし……」


 ごくりと喉をならす2人。

 もう頭には女の身体のことしかない。

 シルバーナは、こんなところで花を散らしてなるものかと叫んだ。

 あのキーワードだ。


「くっ……、殺せ!」


 その言葉によりその場に妖狐が顕現し、しかし妖狐はその場に囚われた。

 突如、シルバーナの周囲にあった魔法陣の結界が強烈に反応し、強い光を放って2人を捕らえたのだ――

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