マイの誤魔化し大作戦!☆舞依視点
ガチャリと、玄関のドアの閉じる音が聞こえた。お兄ちゃんは、あっちの世界に行ったんだ。
「よしっ、それじゃ涼子ちゃん、なにする?」
「……………………」
「…………涼子」
「うん。こないだ言ってた漫画、読んでもいい?」
「あー! 『私とあなたと彼氏と愛人』!? いいよー、マイの部屋に全巻あるからっ!」
マイと涼子ちゃんは居間を出て、玄関の前を横切り2階の階段を上る。
「――舞依」
「んー?」
「お兄さん、どこ行ったの?」
「……………………」
やばいやばいやばいやばいやばい。異世界のことは2人だけの秘密ってお兄ちゃんと約束したもん。でも、どうしよう!?
涼子ちゃんに隠し事はすっごくしたくない。嘘をつくのはそもそも良くない。なんとか、当たり障りのないことを言って誤魔化すしかない!
ていうか何この不自然な間!? マイ何秒黙ってた?
「いっ…………いい感じの服っ、買いに行った……」
「買い物? にしては手ぶらだったけれど」
「……おっ、お兄ちゃん最近、電子マネー使ってて…………」
「それに、買い物に行くのに『頑張って』って、ちょっと変」
「……………………」
黙るなマイーーー! なにもやましいことはないんだから、堂々と適当なこと言えばいいのに!
大体、マイはこういうのめっちゃ苦手なんだもん! はぐらかすって動詞、どういう意味なのか分かんないもん!
それもこれもマイが3歳の時、お兄ちゃんが嘘は良くないって教えたのがいけないんだよ! その本人が嘘つくことを強いるのってズルくない!?
「――まあいっか」
「えっ?」
「漫画、読みたいな。舞依が言ってた面白いシーン、見てみたい」
「…………うんっ……うんうん、そうだよ! お兄ちゃんなんか放っといて、今日は涼子ちゃんとマイの2人で遊ぼうよ!」
「……………………」
「…………涼子」
ふう、危ない危ない。うまく誤魔化せたのかな。涼子ちゃんはもう、お兄ちゃんがどこに行ったか、興味なくしたみたい。
ふふん。マイの誤魔化し能力も、さすがに上がってきたかな。もうすぐ高校生だもん。涼子ちゃんに嘘つかずに、お兄ちゃんとの約束も果たせるもん。
完璧な演技だった。さすがマイ! よっ、中学3年生!
とにかく、これで涼子ちゃんも、お兄ちゃんがどこに行ったかなんて気にしないはず!




