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キャンディボーグ ボクと美少女機械生命体  作者: 田山人由自
第1章 ヤバイ2度目の14歳
2/7

2 白い美少女プロテクター

 

「ボクよりは強いようだけど、このままじゃ2人とも食べられちゃうんじゃないの?」


 少年は恥ずかしい気持ちもあったが、ゴスロリ魔獣美少女がスーを見ずに、自分の裸体から目を離さないので股座を両手で隠していた。日頃食べていた生き物の気持ちが分かった気がして、相手の食欲から身を守るために少しでも見られる面積を減らしたかったのだ。


「食べられちゃうのはオジサマだけです!スーは美味しくないですもん」


 スーは、動かない敵に注意を払いながら背後の少年に言った。


「そうは見えないけど。――さっきからオジサマってボクを呼ぶけど、ボクが何歳か知ってるの?」


「オジサマは、コーフ・ナボー24歳。異世界潜入捜査官です」


「24歳!?――ボクはかなりの小柄なんだね」


「今は異空間転送の影響で10歳ほどマイナスになっちゃってますけど、同じ14歳の男子と比べても小さい方だと思います」


「でも、オジサマって呼ばれる年じゃないよね!」


「その異世界の生物を先に見つけたのは、このアイディーン様なのよ。人形娘、ダーリンをこちらに渡しな」


 ゴスロリ魔獣美少女アイディーンはそう言うと舌舐めずりした。


「オジサマ探しはゲームじゃないのよ!諦めて、グロリータに帰りなさい!」


「こんな時に悪いんだけど。このままだと心細いんで、何か着たいんだけど、何も持ってないよね?」


「あ、ああ!ごめんなさい。そういえば、異空間転送されたんで裸でしたね!背中のランドセルに、オジサマ用のこの世界の服が入ってます」


「それ早く出してよ。あと、オジサマはやめてくれる。まだ24歳なんだからさ!」


「分りました!それじゃあ、この世界用に名前をコーフ・ナボーから奈坊光歩(なぼうこうふ)とさせてもらいます。光歩の上司が決めたことなので」


「自分の名前って感じがしないけど、いきなり呼び捨てなの!」


「――怪獣さんが、こっちが動くのを待ってる状況では、服なんて意味ありません!スーは平気ですけど、光歩を守り切れる確率が低すぎます」


「ボクに服を着せないつもり!?」


「違いますよお!最大の防御は攻撃ですから、スーを着てもらいます!」


「何でもいいから早く着せてよ!――んっ?スー、ツじゃなくて?」


「人形娘、アタシとお前の能力では遙かにアタシの方が上だよ。ダーリンを見つけ出す時間の差が、全ての能力の差なのさ。分かるだろ?」


「――ランドセルマシン、行ってらっしゃい!」


 赤いランドセルの肩ベルトがガシャッ!と収納されて、スーの背中からズビユーン!と夜空に向って発射される。


「そんなハッタリ、アタシには効かないよ!」


 アイディーンの両腕が外れて襲って来ると――10本指の両手が鋭い目で牙を剝いた魔獣の顔になる。

 スーは逃さず左右の手で両腕の魔獣をガッシリ!と捕まえて、自分が着用しているコスチュームが消えると同時に、全身が白く美しい陶磁器みたいな姿にモーフィング・チェンジすると、身体が分離した。


「何のまやかしだ!?お前は、下っ端のキャンディボーグなんだろう?」


 アイディーンは急下降して来たランドセルマシンに気づいてサッ!と避ける。


「やはり、分かり合えるのは生物同士というもの。ダーリンよ、アタシの胃袋に収まり、良き栄養となってアタシを支えておくれよ」


 ランドセルマシンが急上昇すると、地面にアイディーンの両腕が捨てられた。

 アイディーンの前方には、白い陶磁器のような美しいプロテクターを装着した少年・奈坊光歩の姿があった。全身の各部には露出した箇所があったが、美しい裸身を美しく武装した聖なる戦士が誕生したかに見えた。その各部をよく見ていくと、頭部を保護しているヘッドパーツには長い白銀髪だけでなくデザイン化された目や鼻、口が施されており、胸部を守る武装としてかわいいバストが、臀部を守る武装としてかわいいヒップが、光歩の股座はスーの美術的なデリケートゾーンに守られて、彼の四肢もスーの四肢が芸術的に保護していた。光歩は美少女を模した白いプロテクターを纏って立っている。


「スーだっけ!?君って、人間じゃないんだ!!――だから人形娘か!」


 光歩は自分の身体を見て驚愕する。


 アイディーンの両腕が胴体に戻って、


「フッ、フフ――ア~ハハハハハハァ~!嘘なんだよね?ただの衣装にしかなれない人形娘が、あのキャンディボーグなわけないよ」


「――怪獣さんも、スーと同じで新米さんなのね!」


 光歩の頭部を保護するスーのヘッドパーツの目が点滅して喋った。


「ダーリンのスケスケ衣装のくせして、明日には洗濯でもしてもらいな!」


「光歩、スーソードでやっちゃいましょう!」


「スーソードって!?――あれ?手が勝手に」


 白い美少女プロテクターの光歩は、後ろに伸びる白銀髪の中から剣の柄だけを握って取り出す。


「これ投げつけてやっつけるの!?無理でしょう!」


「ロボリータは、アタシたちにやられ過ぎたのね。こんな雑魚で張り合おうなんて!」


 アイディーンは顔面を真っ二つにガバッ!と開いてジャンプした。

 すると、光歩の右手にある剣の柄の上に収まったパーツが離れ、回転する薄い多数の歯車で構成された刃がギュィィィィィィン!と伸びて、アイディーンの首をバシュン!とぶった斬った。


「ぐべっ!!」


 白い美少女プロテクターの光歩は、アイディーンのゴドォン!と地面に落ちた首を見た。


「やっちゃったあ!」


 直ぐに、アイディーンの生首からバキバキッ!バキバキッ!と蜘蛛の脚らしきものが生える。

 そして、頭部がない黒いゴスロリの腹部から――瞳と唇が黒い美少女の顔が現れた。

 アイディーンの生首は赤いツインテールの縦ロールを引きずって、シャカシャカシャカシャカと歩いて逃げて行く。


「アイディーンは自信家だけど、ちょっと打たれ弱いのよね。アタシは、コイディーン。帰ったら怒られちゃうけど。また遊びましょ、お二人さん」


 そう言うと、頭部がないゴスロリ美少女はアイディーンを追って行ってしまう。


「グロリポップノイドって、もっと強いはずなんですけど。スーにやられて、ショックだったのかな?それとも、スーと光歩のコンビがすっごく強いと勘違いしたのかも?怪獣さんも、新米さんだったみたいだし」


 白い美少女プロテクターになったスーは目を点滅させて喋った。


「相手がベテランじゃなくて助かったってわけ?ボクって、そんなに重要じゃないってこと?」


「グロリータの美少女魔獣物体って、ロボリータのお姉ちゃんたち以外にはとっても偉そうなの!光歩のことも、ただの食べ物くらいにしか思ってないかもです」


「グロリータ?――ロボリータ?何それ?」





読んで下さって、ありがとうございました。


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