1-3 極悪魔法の完成
ティミィはタークスの声に反応して動き出した。この人形には命令できる人物が自動で設定され、それ以外の人物の命令を受け付けないようになっている。タークスは既に登録されている。
「その本をお貸しして頂けますか?スキャン開始します…この本に書かれているのは魔法陣と呼ばれるものです。256種類の魔法陣の組み合わせについて記載されています」
「魔法陣はどうやって使う物なの」
「魔石に刻み込むことで魔法を発動することができます。魔法陣に直接一定量の魔力を流し続ける事でも魔法が発動します」
ティミィに聞くことで本の中に書かれている内容がどういう物なのか理解することができた。魔法陣を組み合わせることで様々な複雑なことができるようだ。パズルの様で難解なため、魔法陣を作ることを専門に暮らしている人もいるとかいないとか。ティミィから基本的な魔法陣の書き方を教わった。
「魔法の正しい訓練の仕方は分かるかな?」
「いいえ、情報が不足している為何が正しい訓練方法か判断することはできません」
「じゃあ、この書斎にある本を全て読んでから、何をどうすれば効率よく訓練できるか再び聞くから考えておいて!」
「了解致しました」
僕は又揺り籠に戻り、長い眠りについた。僕はまだ長い間意識を保っていられない。その為に覚えた【夢魔法】も効果は定かではない。精々、『少し良い夢を見られる』位の効果しかないのが現状だ。
次に僕が目を覚ました時、辺りは真っ暗で何も見えなかった。夜に目を覚ましてしまったらしい。間違えて目が覚めてしまったようなのでもう一度目を瞑る。ティミィがまだ本を読んでいる音が聞こえる。本当にここに置いてあるすべての本を読んでいる様だ。全てを覚えられるとするのなら、随分高性能な人形であることは間違いない。質問の答えも期待できそうだ。
「正しい訓練方法は、分かったかな?」
「文献を参照した結果、数多くの訓練方法が記載されていました。それらを表示します」
ティミィの目が光り空中にディスプレイが表示される。キャプチャー画像の中に確かに魔力を高める訓練方法が書かれている。
「(要約すると瞑想と筋トレが主流なトレーニングのようだな)これらの記述は正しい?」
「データ不足の為、判断不能」
まぁ、瞑想何てそれほど難しいことでもない。日々繰り返して揺り籠の中でもトレーニングできる瞑想や筋トレを繰り返して効果が出るのか出ないのか、ティミィに記録してもらうことにした。
「現在の僕の筋力量と魔力量を記憶して、トレーニングの効果がどれくらい出たかデータとして記録することを命じるのです」
「了解。現在のタークスの魔力量は1筋力量は1です。記録完了」
僕の物語が本格的に始まるのは、もう少し一日の覚醒時間が長くなってからになる。今は眠ることが必要なので、どうしても話はあまり進まない。
長い日数を掛けて僕の魔力訓練は継続されていった。一月後には2、二月後には4まで成長していた。
「このままいけば、一年で4096倍まで増加するな。これがどれくらいの数値なのかは分からないが、僕はよりよく成長しているのだろうか」
「分かりませんが、他の人と比べてみてはどうでしょう」
「協力者がいないから…またの機会にする」
僕はそれ以降も瞑想と筋トレを欠かさず続けることにした。そして一年後、最初より随分長い間目を覚ましていられるようになった。
僕がベッドの中で、相変わらず目を瞑っていると、今日はメイドがやって来て僕の昼食を用意してくれた。今までは為されるがままミルクを飲み眠る毎日だったが、これからは少しずつ変わりそうな予感がする。今、僕は火魔法を完全に操れるようになった。
「外へ連れて行ってくれない…?お外で遊びたい」
「ママに聞いてきてあげる、貴方を外に連れ出していいかどうか」
シーチェルは執務室で限定的に外に連れて行く許可を取ってくれた。
「メイドのミッシェルです。私の目の届く範囲での外出が許可されています。くれぐれも遠くにはいかないように」
「お庭で遊ぶだけなのに、ママって心配症でしょ。早く行きましょ!」
姉は僕を乳母車に乗せて屋敷の外に連れ出してくれた。僕が外に出るのはこれが初めての経験だ。外は森に囲まれていた。少なくともここが領館だというのなら都会ではなさそうだ。僕は数年ぶりに日光浴を楽しんだ。
「私、何時もここで爆発魔法を練習しているの。タークスもやってみりゅ?」
「炎の魔法なら僕も使えるよ」
「タークス様すごいです。赤ん坊なのに流々とした言葉に魔法まで使えるなんて、素晴らしいです」
「じゃあ、その炎を的に向けて飛ばしてみるのです。ぶおーってするのです」
僕はどの程度の威力か全く知らないので、良い機会だと見て炎の魔法を妹専用の的に全力で打ち付けてみることに。
「【赤の炎、妹が普段使っている的に当たり燃え盛れ】」
タークスの炎が舞う。小さな炎が的を捉え心地よい爆発音を上げる。炎に耐性のある的も、一撃で灰になり、木片が飛び散る。
「お嬢様、危ないです。お怪我はありませんか?」
木片が当たる前に、ミッシェルがお嬢様をガードする。その動きは速すぎて目で殆ど捕らえることができなかった。
「タークス、私では決して壊すことができない的を爆破するなんて、やるわね!」
蹲りながら半場涙目になり姉はこちらを見ながら首を傾げた。僕のいる周りにはなんら爆発の影響がなかったからだ。
「どうしてそこだけ爆風の影響がないの?それもタークスの魔法の影響?」
「いいえ、あの乳母車は特別製なのですよ。あらゆる衝撃から身をもあ持ってくれる特別仕様なのです」
僕は魔力の使い過ぎで少し頭がぼうっとしていた。見かけは小さな炎なのに荒れ狂う暴力性を秘めていたなんて、予想できなかった。
ミッチェルが守ってくれなければ、シーチェルが怪我をしていたという事実が僕に恐怖を与え襲い掛かる。僕はその頃から炎に対する恐怖を抱くようになった。
「ティミィ、物が爆散して相手に当たってしまう時、どうすれば守ることができるんでしょうか?」
「庭であった爆発の件ですね?そうですね、もう一度炎魔法を放って相殺するのはどうでしょう?素早く的確に的に当てられれば、今回の爆発から防げたのではないでしょうか?」
そう言われてみればそうかも知れない。炎魔法にトラウマを持つかもしれない現状を翻えせる意見だ。的確に操作して対象に正確に当てる方法を身に着けていこう。
「他の方法は何かないかな?」
「予め防御魔法を張っておくのはどうでしょう。貴方のベビーカーについている機能は魔法で再現可能です」
庭の爆破事件は、例に漏れず姉が罪を被ってくれた。ミッチェルもその提案には賛同し共犯になってくれた。
「防御魔法の練習をしなきゃ…」
拳大の大きさの防御魔法を展開し、その中に小さな炎を点す。そんな練習が事件の後繰り返されることになった。的確に炎を当てるために、自由自在に炎を動かす訓練を繰り返す。
そんな訓練を繰り返していると、防御魔法の中で燃え続けていた炎が急に雷になり迸ることがあった。空気が燃えたことで炎が雷に変質したのだ。無意識的に防御魔法て包まれた空間が真空になってしまったのだろう…。僕は恐ろしく凶悪な魔法を発現してしまった様だ。
「もしこの魔法が解き放たれてしまったら、…大変な被害が出るかもしれない。姉さんにも…母さんにも…。対抗魔法を用意しておかなきゃ…危なくて使えない」
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