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vagrancy
どこか
わたしでない
わたしを
持て余していて
痛みが
さざなみのように
光を散らしてゆく
口から溢れる刃が
血塗れにした手
透明な毒が
鮮やかに色付いて
臓腑を灼いていく
伸ばした指先から
外れた糸
ざぶんと
沈みこむ
影の海
体から外へ
外から中へ
回遊する文字が
傷痕を廻って
連れていく
水
“泡沫なら、
ことりと
石が落ちて
幻が満ちる
月という月を
かき抱いて
眠り
そして
■☆■☆■☆■☆■☆■☆■
守れないものを
守ろうとして
取り落とした
過去
うずく縫い目から
さらさらと抜けていく
銀の砂
ぱちりと弾ける火
誰のものだっただろう
ーーカーテンを引いた