Chapter 017_水晶トンネル
林檎です!
本話。短いので・・・ご了承ください。
よろしくね・・・
「はうわぁ~…」
「・・・すごい・・・」
天空回廊は全行程がほぼ洞窟内にあるんだけど、
数百メートルだけ”地上”を通行する
「はえ〜…コレは確かに…」
「…ヤベーな。」
地上・・・と、言っても”屋外”ではない。
谷の合間に剥き出しになった”水晶の中”を通り抜けているのだ!
(ちなみに、この水晶トンネルの標高はかなり高い。異世界極東島国イチ高い山より、さらに高いところから生えている山と山の間の谷間に尋常じゃ無い大きさの水晶の塊がある・・・と、考えれば正解。相変わらず、リブラリアはスケールがオカシイ・・)
「このような構造物が7,000年以上も保つものなのか…?」
「それだけ【峰のドワー】フの技術力が高かった…と、いうコトではないでしょうか…?」
出発前に読んだ記録によると、
水晶自体は”もともと”ココにあった”天然”物だそうだ。それを、
ドワーフは数百年をかけて内部をくり抜き。最終的にトロッコ道(線路)
を敷いたんだって。
水晶は硬度が高いうえ簡単に脆性破壊するから物凄く・・・現代異世界の技術力をもってしても・・・加工が難しいハズなんだけど・・・
リブラリアのドワーフがもし、異世界にいたら・・・
Xなプロジェクトで挑戦者たちな特集を組まれていただろうね・・・
「なんという…」
「話には聞いていましたが…まさか。コレほどだったとは…」
「晴れていれば、さぞキレイだったでしょうね…」
ここの水晶は不純物が少ないようで、(ほんのり紫色に色付いているものの)外の景色が見える程に透明。
晴れていれば水晶が日光や雪の反射光を屈折・反射・回折させて複雑に光が射し込む、幻想的な光景が見れたそうだ。
今は吹雪いているから。真っ白だけどね・・・
「お天気は悪いけど…でも、キラキラしててキレイね!ね様!」
「・・・ん!」
薄暗いし外の景色も見えないけれど・・・それでも、
雲と雪とを透過した光に包まれ、薄紫色に染まるトンネルは美しかった。
吹雪いていても、本が読める程度に明るいのだから。
太陽の光は偉大だ・・・
「…しかし、このトンネルが無事でよかったな。」
「・・・ん。ホントに。」
「もし、エントランスのように崩れていたら…極寒なのは勿論だけど。深さ数十メートルの雪道を歩くハメになっていただろうからね…」
「ルクスお兄ちゃん!剣で突いたりしちゃ、メだからね!!」
「はあっ!?…なぜ、ボクがそんなことすると思った?」
時刻は昼前・・・
『クキュルルルゥ〜…』
「///・・・お、おなかへた・・・」
「…ふふふっ。お嬢様も赤ちゃんも元気な証拠ですね!…お嬢様。軽食に”おにぎり”はいかがですか?」
「・・・たべる・・・」
・・・もちろん。油断なんてしていないけど、
”アレ”以来いちども襲われずにここまで来られた私たちの旅は
順調そのものだった。
正直、もう
魔物や精霊に襲われるコトなんて
無いんじゃないかなって・・・
「…?…と、止まって!止まって下さい!!」
・・・そう。
「・・・う?」
思っていた・・・
「…ナニカいます!」
…現状。
このパーティーでいちばん気配察知に優れているグリッサンドさんのその言葉に
「「「「!!!!」」」」」
和やかな雰囲気は消し飛んだ。
まるで、極寒の颶風に翻弄される雪の結晶のように・・・
「場所は!?」
「外です!」
「距離は?」
「わ、分かりません!」
「数はっ!?」
「おそらく1体!!」
皆の反応は速かった
グリッサンドさんにゲオ様、そしてザイロフォンさんが
発動子を前に立ちはだかり
「…ちっ!」「マシェリィ!」
「ん、んぅ!」
「ご令妹様…」「コチラへ!」
「うんっ!」
私は、ルクスとフルートに。
ティシアは、ローズさんとリゾルートさんに
庇われ後退った・・・
『…ピシッ』
つ、次の瞬間!?!?
『バギイィィンッッッ!!』
7,000年もの永きにわたり
風と雪と時の流れからドワーフの遺跡を守り続けてきた水晶トンネルが・・・
あ、あっさりと!?
「「「「「っ!!!」」」」」
砕け散り!!
『ズズウゥンッ!!』
次いで、雪と風を纏い
『ギギュワアァァーーッッ!!』
坑道を揺らし、姿を現したのは・・・
「なっ…」
雪と水晶が混じってキラキラと光る地面を
巨大な足で踏みしめ
「なんだとっ!?」
雪と氷の鎧を揺らし
「こ、こんなのがいるなんて…き、聞いてないよ!?」
体中から冷気を振り撒く
一柱の・・・
「龍っ・・・!?」
雪山の主が
ソコにいた・・・




