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まほー(物理)  作者: 林檎とエリンギ
11th Theory
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Chapter 016_深淵の底で

『ペシッ…ペシッ…』

「…」


どれだけ時間が経ったのだろう…



『ペシッ…ペシッ…』

「…」


どれだけ深い場所かも

分からない…



『るーぅ~…』

「…」


『ペシッ…ペシッ…』

「…」


『………ぶしゅるるるぅ…』


…光も。熱も。音も。魔力も。な〜んにもない

穴の”なかば”で…



「…み…」

『ブシュルゥ!?』

「…にぅ………」


…シュシュは目覚めた。

ホッペを『ペシペシ』と叩く冷たい感触に誘われて…



「うみゃあぁ〜………」


目覚めた…なにも見えないから。本当に自分が起きているのか分かんないけど…

と、とりあえず。


目覚めた”つもり”……



『ブシャルルゥ!!』

「…み………?」


体中が痛いし…

自由に動かすこともできない。



『ぐにゅぅ〜…』


っと、背伸びをしたけど、

手足が地面や天井に触れた感触が無い。


ついでに、体全体が『ぶ~らぶら』って

揺れ動いてる…



「もしかして…ご主人様のヘビ様…?」

『ブシャアッ!!』


たぶん…だけど、

シュシュの体は「(あみ)(ぶくろ)」みたいになったヘビ様にお包みされて

ぶら下がってるの…



「みゅ?にゅう??なんでぇ…」


ココはドコ?ご主人様は!?

なんで何も見えにゃいの!?!?


ビックリして

藻掻きそうになった…



『ぶしゃ!』


…シュシュを。



「…み?」


ヘビ様が…



『ぶしゃる!しゅるるるぅ…』

「み!?…そ、そいえば。そんなコトが……」


『シュル!ぶしゅるるる…』

「え…え、えへへへ…///そ、そっ…か…。ご主人様…シュシュの為に…///」


無限窟に落ちちゃった経緯と、ヘビ様がいる理由。



『ぶしゃっ!ルルルル!ブシュルゥ…』


そして、垂直の壁に杭を打って(シュシュは杭の柄の先に吊り

下げられているらしい…)無理矢理(とど)まっているコトを

教えてもらったシュシュは…



「み!?…は、はい!なのですよ…」


暴れるのを止めて…



『ブシュるるる…しゃるるぶ。ぶしゃあぁ…』


「上へ登るのは難しいから横穴を探そう…」…って、提案に



「…は、はいなのですよ!」


答えて…



『る〜…ブシャルルルゥ!』

「み…」


『シャルブブ。ぶしゃあぁ!』

「にゃ、にゃんですよ!…すー…」


息を吸って…



「…はぁー。」


…吐いて。



「…『灯火よ 静寂を穢す者』」


折れて、どっかへいっちゃったショーテルとナイフに代わり

発動子として、ヘビ様の尻尾をお借りして…



「スカルボ!」


発現!!



『る…』

「みゃっ…」


暗闇に光球を放つと、光に驚いたお目々が

『チカチカッ!』…って、なっちゃったけど…



『…』

「…」


…スグに慣れて。

”青い炎”で照らされた辺りを見回した。

すると…



『シャグルルルヴ…』


ヘビ様の言う通り…

ヘビ様が落ちるのを止める為に壁にえが)いた

上から続く“真っすぐの線”以外な〜んにもナイ


壁と闇ダケの空間が拡がっていた…



「み…」


ヘビ様によると、

シュシュたちは相当な時間(ヘビ様の体感(?)では数時間。もしかしたら、半日以上…さ、さすがに数”日”は経ってにゃいと…な、ないと。いいにゃぁ…)落ち続けていたから。“そーとー”深くまで落ちちゃった…との、コト。


ココに住んでいた”どわふぅ”も無限窟の底を

見たことが無かったって話だから…

ココが、あんまり深いトコロだとすると、

そもそも(”どわふぅ”が掘った)横穴なんて無いかもしれない。


それでも、

シュシュが背負っていたせいで一緒に落ちちゃった

”おっきなリュック”があるから。

食料と装備の心配はない。


ご主人様から簡単なオーキュー処置の方法も教えてもらったし、ヘビ様もいる。


時間をかければ、壁を登っていくコトだって…











「………近いのです。」


…でも。



『…る?ルルャシブ??』


ご主人様のトコロに戻る前に。

シュシュにはやらなきゃイケないコトが

あるみたい…



「穴に落ちる前に感じた…たぶん。ご主人様を攻撃した…【精霊】の気配が近いのです…」

『ブシュル!?…る?るる?』


ヘビ様は何も感じない…って、言ってるけど、

圧倒的な魔力とシュシュ…どころか、洞窟全体。お山全部を抱えて余りある迫力(プレッシャー)の正体は…



「…間違いありません。」

『…る………』


…あの時。

精霊の攻撃は”ご主人様”ただひとりを狙っていた…

つまり、精霊は【敵】である。


シュシュの仕事はご主人様の先を歩いて、

ご主人様が気づく前に御身(おんみ)に降りかかる火の粉を払うコト。

ご主人様の道を(ひら)くコトだ。


…物理的に離れちゃっても、

やるべき事は変わらない…



「うにゅにゅにゅにゅぅ…」


コレほどのプレッシャー…

シュシュひとりで、どうにかできる相手じゃないけど、

でも…



『ブシュルルルル…』


…シュシュはひとりじゃない。

綴られしのご主人様の…




「…ヘビ様。」


その星の一欠(ひとかけ)を…



『ル゛…』


…預かったんだ!



「…木魔法で壁に穴を開けて横穴を作りますです!」


シュシュのご主人様に



『ルッ!』


不可能は無いのです!






「んー…しょ!んしょ…」


リックから2丁のナイフを取り出して…



「…にゃっ!お待たせしたのですよ!」

『ブシュルル…』


“吊り下げ網袋”から…

シュシュが動き易いように”足場”になって壁に

張り付いてくれたヘビ様の上で



「すー…」


深呼吸を…



「…はぁ〜」


…ひとつ。


そして、



「うにゃっ!」


何処までも続く岩の壁に力いっぱい



『ガキンッ!!』


ナイフを突き立て!



「『芽の願い』」


唱える!!



「フェンス!」


まず、唱えたのは

柵魔法!



ナイフの先から『ぴょこっ』と顔を出した双葉は


『バキパキッ…』って、音を立てながら

岩の壁を突き進む!

やがて…




『ミシッ、ミッ…』


…って、くぐもった音が

聞こえ始めたら…



「…ヘビ様。壁から少し離れてもらっていいです?」


…お願いをして。



『りゃっす!』


壁の反対側に尻尾を突き刺し、

細長い橋みたいになったヘビ様の上を



「にゃっ!」


走って!

十分。離れてから…



「ヘビ様!」

『りゃっす!』


ヘビ様に

“さっきまでいた”側の壁から離れてもらって…



「すー…『炎よ 侵略者よ』」


…今度は!

火魔法を…



「ファイアーボール!」


…唱える!!


すると、



『ブワッ!』


…って、音を立てて

青い炎が魔法のツタを焼き始めた!



『るるぅ!ブシュルルゥ…』


「み?…ご、ご主人様が柵魔法を”コウやって”利用したコトがあるって。そう…教えてもらってたから真似したダケですよ!」


柵魔法で土の壁に根を張らせた後。蔦を”還して”空洞を開けてもいいんだけど…

ソレより最初から、燃えやすくて。空気が入り込む隙間がいっぱいある蔦を

生み出して、後か���燃やせば。周囲の岩も脆くなるんじゃないかにゃ〜…って…



『バシンッ!パチッ…』

結果は大成功!

生みだした蔦は火花を散らして激しく燃え上がり!

あっという間に壁の内側まで炎を伝え…



『…る?るるぅ?』

「は、はいです!もう、そろそろ…」


炎が消えて。

真っ黒に染まった壁から小さな煙が昇り始めた…



『ブシュルルルル…』


…始めたら!



『ブシャアァッ!!』


ヘビ様が!

シュシュを乗せたまま槍みたいに先端尖らせ!



「みゃっ!?」


黒く、ボロボロと崩れ始めた壁の穴目掛けて

ぶっ飛んだ!!!



『バコオォンッ!!』

「ふみゃっ!」


振り落とされないようにバランス取りながら

壁を見ると…



『バザザァー!』


…っと、音を立てて

壁を形作っていた岩は小石くらいに砕け、

灰と一緒に散らばり、穴の底へ落ちてった!



『ルルゥ、ルゥ!』


壁を砕いた場所に”隙間”が空くと、

ヘビ様がシュシュに「早く、行け!」と、言ってきた!?



「にゃんですよ!」


反射的にとび出すと…



『ルッ!』


ヘビ様も!?

『パチンッ!』と勢いよく飛び込んで!



『りゃ!』

「ひみゃあっ!?」


シュシュの背中にくっ付いた!?

…そのスグあと、



『…ボコンッ!』


入口近く…ヘビ様が取り付いていた壁が音を立てて崩れ

落ちて行った…



「み…」


…そっか。

だから、急いで…



「みゃっ!」


…そしてシュシュは



『ズザザザアァーッ!!』


脆くなった岩がパラパラと剥がれ落ちている

横穴に転ばず着地!



『ル!』

「にゃっ!…きょ、恐縮なのですよ…」


シュシュの背中から『シュルッ』と下りたヘビ様と、

開けたばかりの横穴を進むと…



『ルルゥ、る。ブシュゥ…』

「みー…」


スグに。行き止まりに…



『…ルル?』

「それは…もうちょっと。遠くだと思いますです…」


無理矢理開けた横穴だから…精霊がいる場所までは

まだ、ちょっと距離がある。



『ルー…ブシャァ?』

「みー…ご主人様みたいに上手にはできないですよ。ごめんなさいです…」


当たり前だけど…

獣人であるシュシュは人間様みたいに上手に魔法を使う事ができない。

同じコトを。もう何度か、繰り返さないといけない。


奥に進むと、今度は(穴が無いから)瓦礫の除去もしないといけない。

シュシュの適正属性は火と木だから。”そういう作業”には

向いてないんだけど…



『るりゃ!?ブシュシュ、ブシュルルルゥ…』


泣き言いってもいられない!



「がんばるですよ!」

林檎でーす!作者でーす!!



さてさて…

本小説も、いよいよ終わりが近づいて参りました!!


最終話まで、

あと、10話もありません。


ラストスパート!

頑張りマッスル!!


最後まで応援してね!

・・・よろしくね!!

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