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まほー(物理)  作者: 林檎とエリンギ
11th Theory
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Chapter 013_瓦礫の王国③

林檎です!

前回後書きで「書けるか分かんなーい!」って、弱音吐きましたが…


無事に!


むぁあに、あったよー!



どうぞどうぞ!

↓↓読んで読んで↓↓


・・・よろしくね!!

『ドオォンッ!!』


安心したのも束の間…



『ギヴヴヴヴアァッー!!』


遅れてお城から現れた巨大な”その魔物”は


おーっきな!金色の!?

棍棒を手に


落とし穴のすぐ横に飛び降りて

耳を突く咆哮を上げたの…



「くっ…。…どうやら。王の登場のようだな…」


お、王様…?

ゲオ様が”そう”表現した”その魔物”は…は、肌の色と目付きや耳の形は一緒だけど…他のゴブリンより十倍くらい大きくて、角が4本もついていた。

そして、大きな頭に似合わない。小さな…けれど豪華な王冠を…



「進化個体…【ゴブリンキング】と、いったところでしょうか…?」

「…おそらくな。」


魔物の進化については、ね様とゲオ様から聞いていた。

たしか、進化個体の魔物は元の魔物より強いって…



「…いっちょ前に王冠なんぞ被りおって…」

「棍棒にマント。指輪に腕輪まで…全てドワーフの遺産ですね…」


…そ、そういえば!進化すると頭も良くなるって話だったね。

普通の魔物なら、さすがに着飾ったりしないもんね…



『ギヴヴゥ…』


地面に着地した”その魔物”…ゴブリンキング?…はグルリと周囲を見回し…



『ヴヴ…』


…倒れ伏す同族の姿を

瞳に映すと…



『ギッ!』


鋭い眼差しを



「「「「「!!?」」」」」


私達に向け…



『ドンッ!!』


…と、いう音を置き去りにして跳び出した!

狙いは…



「!?」


…テ、私!?!?

察知はできたけど…か、体が追いつかないよ!?



「っ!!」


…せ、せめて防御しようと…短剣を前に出して受け身を取ろうとした…



『ブシュル…』


次の瞬間!!



「ゃっ!!」


突然!

視界が”銀色”で覆われて!

体が浮遊感に包まれて…



『ドゴオォンッ!!』


か、”風切り音”とは思えない…

轟音を立てて振り切られた金色の棍棒が…



『ッパアァンッ!!』


『トプトプ』とした銀色ボールを四散させ…



『ギギュルルゥ…』

「っ…」


ゴブリンキングは邪悪な横目に私を映し…



『グッ…』


地に着けた足の筋を再び絞り!?



「っ!!』


…も、もっかい!?



『…ッスタァーンッ!!』

「!?」


けど!?

私が思ったような展開はなかった!


棍棒を振り切った隙を突いて射られた正確無比の致命の一矢(たぶん、グリッサンドさんの攻撃…)が



『グギュガアァァ!!!?』


ゴブリンキングの右目に命中!!



「はあぁーっ!」

「おぉぉー!!」


さらに続けて!



「はっ!」


ゲオ様の剣が



『ギャッ!!』


大木のように太いゴブリンキングの左足に

深い傷を負わせ!



「はあっ!!」

『バシュゥンッ!』


膝をついたゴブリンキングに向けて

ザイロフォンさんが矢を放ち



『…ッダアァンッ!!』


小さな一矢はゴブリンキングの大きな瞳…痛みに濡れた左目…に突き刺さり…



『ッッッ…ギャオォォーーッ!!』


ゴブリンキングの”咆哮”…ぅ、ぅうん。”悲鳴”を

響かせたのだった…



『ギュオォォーーーッ!!』


突然、現れた侵入者に仲間を奪われ…



『オオッ…オオオオォォォーー!!』


敵に囲まれ

光を奪われ

痛みに苛まれ…



『オッ、オオッ…ギギャオォォーー!!』


…恐怖に打ち震え。

血と涙を流す巨体を目にした…



「っ…」


…私。は…






「ふぅー…よくやったグリッサンド。それとザイロフォン。」

「あ、危ないところでした。」

「間に合ってよかったです…」


「…ね、ね。ゲオ…様…」

「…なんだ?テー。」


「そ、その…ゴ、ゴブリンキング。ど、どう…する、の…?」

「………どう。だと…?」

「…やっぱり。殺しちゃうの…?」


「…そうだ。」

「…」


「…」

「…」


「…」

「…」


「………で…」


…すると。



「…ならん。」


「言わせない」とばかりにゲオ様は言葉を割り込み



「で!」

「テー!」

「っ…」


反論のひとつも許してくれず…



「…いいか!魔物は敵だ。生きる為なら何でも…隙を見て逃げるコトも。人質や囮を取るコトも。同情を買うコトも。不意を突くコトも。魔術で魅力するコトさえある!魔物がヒトをぎょしたという話はゴマンと聞くが、逆は…お前の姉のように。契約した場合を除き…ただの1度も。綴られたコトがない…」


ゲオ様には…筒抜け。みたいだ…



「…」


下を向いていた私にゲオ様は



「…いいな?」

「っ」


…今度は。

うって変わって優しい声で…











「「「「…危ない!!」」」」


その瞬間だった!



「「!?」」


魔ノ物(ゴブリンキング)がデタラメに振り回した棍棒が…



「せいっ」『バシュンッ!』

「はあっ!」『ッタアァーン!!』


グリッサンドさんとザイロフォンさんの矢襲(やしゅう)をモノともせずに

ゲオ様と私目がけて!?



「くそっ!」

「きゃっ!」


私はゲオ様に。庇うように抱き上げられ…



「くっ…」


…力いっぱい抱き締められた。



「っ」


その瞬間…











「『泥よ立て』」


自分でも驚くほどに…



「『礎をなせ 積み上がれ』」


速く。

的確に。

“歌う”ように…



「ハウル!!」


金色の棍棒がゲオ様の背中にぶつかる直前…

1秒に満たない時間で



「うをっ!?」


足下に築かれた土の壁は

ゲオ様とその腕に抱かれた私を持ち上げた!



『ダガアァンッ!!』

「くっ!」


さらに!

衝撃を受け止めた壁が弾け飛び。

それに反応したゲオ様が跳び上がった…



「すー…」


…その。

腕の中で



「『岩よ』」


…自分が。

自分じゃないみたいな…不思議な


浮遊感と

高揚感と

全能感を


全身に感じながら…



「『誰が為に(そび)える』」


見えなくとも視える



「『天を犯せし尖塔(せんとう)を』」


撃つべき獲物(てき)を瞳に(とら)



「『高く高くと突き立てろ』」

「「「「ご令妹様!?!?」」」」」


みんなの声も…



「『貫け』」

「…いける…のか?」


…ゲオ様の声すら気に留めず



「っ…」


魔法と

大地と

理と…


難しい理論なんて気にしなくて良くて。

ただ、自分の瞳と喉だけを信じて!!



「…オベリスク!!!!!」


…ね様の真似して。

背伸びして嵌めていたブカブカの指輪を発動子にして



『ダガア゙ア゙ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ーーンッッ!!!!!』


…見えなくても、分かるの。



『グギャアァァーーー!!!』


…寸分違わず。唱えた通りに。

獲物(ゴブリンキング)の腕を穿(うが)ち!


太い腕を!握り絞められた棍棒ごと!!

天へ!!!



『ドオォォーーーンッ!!』


獲物は!その衝撃で、背中から!!

大地へ!!!



「はあぁっ!」

「せいっ!!」

「やーっ!」


グリッサンドさんと、

ザイロフォンさんと、

ローズさんも加わって


畳み掛けられたゴブリンキングは



『グギャアァァァッ!!』


綴られたことも無いような酷い声で

唸り鳴き!!



「…待っていろ。」

「う…」


地面に下り立ち、

私を解放したゲオ様が…



「…ふんっ」


…剣を手に。

絶え絶えの呼吸を”かろうじて”している

ゴブリンキングの…



『チャキッ…』


…極太の首に。

刃を当てて………



『ブシュッ…』


………

……





















「…よくやった。テー。」


魔法の水で剣に着いて緑がかった黒い血を洗い流して拭き取って。

丁寧に納刀して。

お手手も洗って。

ローズさんから受け取ったキレイなタオルで拭いて・


それから…



「…ぅ、ぅ。ん…」


魔法の反動…理とひとつとなった感動と衝撃から戻って来れずに

『ボー…』っとしていた私の頭を大きなお手手で



「…」

「ふゎ…ふぅ~…」


優しく撫でてくれた………



「さすがご令妹様です!」

「土魔法をアレほどのスピードで…アレほど正確に!」

「行使できるなど聞いたことがありません!」

「もう、一流の魔女様ですね!」


…続けて放たれた

みんなの褒め言葉に…



「…ぅ………う、ぅん…」


ようやく…脈も下がって。

冷静さを取り戻した私は…



「…あ、ありが。と…///」


嬉しさと、興奮していたことへの恥ずかしさに

顔を赤くし、下を向き…



「…っ///」


両手を…その手に光る指輪を見つめ。

コーフンの残り香を堪能していた…



「…威力。発現速度。タイミング…どれをとっても申し分なかった。強くなったな…」


指輪を発動子にしたのも、(ね様に教えてもらっていた…とは、いえ。)

王級魔法を(本番で)唱えたのもコレが初めてだった。


でも、不思議と

「絶対に唱えた通りになる!」っていう確信があった。


きっとアレが「魔法に飲まれる」ってコトなんだ。

唱えた通りに物語を綴る…”筆を手にした”というコトなんだ…



「ぇ、えへへ…褒められちゃった…///」


きっと…ね様はいつも

こんな気持ちを味わっているんだ…



「…ふふふっ。良かったですね?ご令妹様!」

「んぅ!」


第5階位の魔法で”アレほどの感動”を味わえるんだから。

もっと上級の…もっと強力で大規模な…魔法なら、

きっと”とんでもない”コトになっちゃうだろう。



『ギッ!?』

「「「「「!?」」」」」


でも…



『『『『『ギギャギャギャーッ』』』』』

「ゲオルグ様!」

「魔物たちが…」


(ヌシ)を倒され怖気付いたのだろう。散る分には放っておいていいだろう…」

「はい…」


騒ぎに目覚め。惨状を目の当たりにして一斉に逃げ惑う魔物たちと…



『ズジュッ…』…と、崩れ。

『ベチャッ…』と、地面に落ちる肉片を


前に…



「………」


私。は………






「…ね?ゲオ様。」

「…なんだ?」


…私は。

私は”そんな風”に思う事が出来ない。

この心は”それほどの激情”に耐えられない。



「魔法って…”魔法に飲まれる”って…恐い。ね………」


…私は。

ね様のようには。決して成れない…



「…そう。だな…」


…そう。

思い知らされたの…

作者注: 作中に出てくるティシアの「指輪」は・・・

焔山でナミちゃんにもらった”石ころ(フォニアの物に劣るものの、それでも大きなルビー入り)”です。この指輪は、焔の(フレイム)ドワーフ王位継承権第1位の証であり、王女様の婿殿に与えられるハズだった国宝です。

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