Chapter 011_瓦礫の王国①
林檎です!
…ア、アップしてから気付いたのですが!?
なぜか文字化けしてましたね!失礼しました…
直しておきました(2025/02/23 16:30)
・・・よろしくね!
「!?ゲ、ゲオさ…」
「しぃーっ…」
「っ…」
カレント2,187年 風雨の月 26日
「静かに!」
「声を上げると敵に気付かれてしまいます」
「こ、『こくこく…』」
ね様の事は勿論心配だったけど…
でも、私たちは私たちでピンチに陥っていた
「…まさか”これほど”だったとはな…」
進むに連れてドワーフの遺構…朽ち果てた掘削道具や小さな洞窟…休憩するトコ(?)…が現れ始め。同時に魔物…ゴブリン…に襲われるコトも多く・激しくなっていった。
最初は数匹の群れだったのに…最後の方は十数匹の群れに襲われるようになっちゃたのよ!
しかも、
「取りこぼすと仲間を呼ばれるかもしれん」…と
ゲオ様が懸念したから。道中の敵は全部…1匹残らず…倒してきた。
倒した敵の数は…数えてないから。正確じゃないケド…100匹以上だと、思う…
「ただいま戻りました …」
「!…ゲオルグ様。偵察に行っていたグリッサンドが戻りました。」
「…おかえりなさいなの。」
「ただいまです。ご令妹様」
…ゲオ様の話では。接敵する回数と数からして
【天空回路】…もはや、ダンジョンと言っていい…には
ゴブリンの【巣】があるのは”ほぼ”確実とのこと。
巣の規模は…コレまでの状況からして…数万匹(以上)とのこと。
最強のね様も、無敵のルクスお兄ちゃんも、万能なフルート君もいない今の”私達”が巣に近づくのは…
“あまりに無謀”だって。さ…
「で…」
ゴブリンは魔物としては強く”は”ないそうだ。
体は小さいし力も弱い。
武器の扱いも”いいかげん”。
群れで現れた時は(多少)連携して襲って来るから
ちょっとダケ怖いけど…冷静に対処すれば問題無い…
…らしい。
「…はい。偵察の結果………残念ながら。」
「「「「「…」」」」」
“強くはない”…ソ、ソレはね、ソレは!
強い”みんな”の意見だよ!
私が戦えるのは”みんな”が守ってくれてるからだよ!
特級冒険者のゲオ様。
魔女様の後ろを守るローズさん。
チューリップの里の精鋭である花のエルフの3人…
…そんな。
“ただの農家の娘"から見れば
お伽噺の登場人物みたいな”みんな”が
“魔女様の妹”だから………って、ソレだけの理由で
私を守ってくれてるからだよ…
「そうか…」
「…ど、どうしま…」
「どうするも何も。行くしかないだろう…」
「「「「「っ…」」」」」
…【無限窟】から伸びる道を進むとその先で
広い空間に行き着いた。
バラバラに砕かれていたけれど…遺された壁や柱に施された精巧な意匠や文字(ね様に、ちょっとダケ教えてもらった【古代ドワーフ語】…)からして。
ソコは【峰のドワーフ】にとって”大事な場所”に違いなかった。
「…し、しかし」
「あの数ですよ!?」
「見つからずに進むなんて。とても…」
柱や壁…至る所に灯りが灯されていた。
…たぶん。魔道具なんだと思う。
もしかしたら…と、いうか。たぶん、間違いなく…ドワーフが作ったモノなんだろう…壁や柱の姿が見えたのも、ソレのお陰。
数え切れないほどのゴブリン…小さい(子供?)のや、シワだらけ(老人?)…が居るって分かったのも。ソレのお陰。
ドワーフの営みがあったハズのこの場所が今や
魔物の【巣】と化している…と、分かったのも。
ソレのお陰。
広場の中央に瓦礫を積み上げて造られた
”お城のようなナニカ”がある…と分かったのも。
遺産のお陰………
「…知っての通りフォニ”の”ヒュドラが倒された可能性が高い。急いだ方がいい…」
「「「「「っ…」」」」」
ゲオ様の見立てでは…
いち、敵の数は(最低)3万
にー、”確実に”ボス個体が存在する
さん、ドワーフの遺産を(ある程度)使いこなしている
よん、万が一見つかり包囲されれば。さすがに…
「…グリッサンド。道は見つけられたのか?」
「は、はい!古代ドワーフ語が読めるか心配でしたが…ご、ご令妹様のメモと同じ文字が刻まれた標識のある通路を見つけました!」
「「「さすがご令妹様です!」」」
「テ、私は…ね、ね様のお陰だし…」
「…よし。向かう先は決まったな。」
「で、ですが…」
「…なんだ?」
「…そ、その。その通路の場所が…」
「…?」
「…ちょうど一直線上なのです。あの【瓦礫の王城】の。その先…」
「「「「「…」」」」」
広場にはいくつか横穴があるし、至る所に大小の瓦礫が転がっていた。
隠れて進むことも不可能じゃ無かった。でも…
「…リゾルート。眠森魔法は…」
「や、宿していますが…し、しかし!コレほどの規模はとても…」
…でも、広場がとても広かった(グリッサンドさんですら、偵察するのに丸1日かかったの!)し、至る所で魔物が固まって騒いでいた(理由は分からないけど『ぎゃあぎゃあ』と騒いでいた。…お祭り?)の。
グリッサンドさんが偵察に行ってる間。物陰に隠れて観察してたけど…ゴブリンという魔物は(ここが洞窟の中で。太陽が無いせいか…)デタラメな時間に起きて寝る(しかも地べたに!)みたいなの。
…だから。”とある”ゴブリンが寝ていても、他のゴブリンが起きているから…
隙を見て通り抜ける…と、いうのは難しそうなの…
「…ザイロフォン。お前の突風魔法でリゾルートの眠森魔法を”飛ばす”コトはできそうか?」
「!…ち、直線的になら。恐らく…」
「…まさか、兵士気取りの魔物蔓延る”瓦礫の山”を通る気か?…外周部を回り込むぞ。壁面も利用して突風を”曲げろ”」
「まっ、まげっ!?」
「…やれ。」
「っ…。は、はい…」
「…眠森魔法と突風魔法のコンボを定期的に…効果的に…放つんだ。…いいか?敵の大多数を抑えるのはお前たち2人だ。失敗は許されない。…任せたぞ。」
「「イ…イ、イエッサー…。ま、任されました………」」
ね様達”ほど”…では無いのかもしれないケド、でも
とっても強い5人が難しい作戦を練る程だ。
「ゲオルグ様。森から持ってきた”眠り薬”と”痺れ薬”がありますので。私はコレを鏃に塗って…」
「…なに?グリッサンドお前。そんなモノを…」
「…た、ただし!ひと瓶ずつしか残っていないうえ。いちど開けてしまうと、もう…」
「…ふむ。そうか…効果的に使ってくれ。お前は…遊撃で。頼んだぞ。」
「イエッサ!頼まれました!」
「…グリッサンドさん。その薬…よければ少しだけ小瓶に分けて。私に下さりませんか…?」
「ローズ様?え、えぇと。この薬は劇薬なので術者の傍…け、剣に塗って使うには向いておりません。”投げ物”でないと…」
「水玉魔法に混ぜて放ったり。投げナイフ…シュシュちゃんの予備なのですが…に塗って使おうかな。と…」
「そ、それでしたら!…ぜ、ぜひご活用下さい!」
「ありがとうございます。…ゲオルグ様。私はご令妹様の後ろ…で。いいですよね?」
「…あぁ。頼んだぞ。」
「頼まれました…が。言われるまでもありません…」
「ふっ…。そうだったな…」
…もちろん恐いよ。不安だよ。
…こわくて。足がすくんで。ガクガクぶるぶるだよ。
でも…
「ゲオ様、ゲオ様。私は…」
でも、私には仲間がいる
「…テー。今回は、お前にも戦ってもらうことになる…」
私の喉を”数に入れて”くれる仲間がいる!
「んぅ!もちろんだよ!!」
考えてみれば私は…捕まった時でさえ…
ひとりじゃ無かった。
だから…きっと、絶対、、
大丈夫!
「私、グリッサンドは少し距離を置いて戦うことになりますし…」
「私とリゾルートは魔法にかかりきりになります。敵が接近した時は…」
「頼りにしております!」
「ん、んぅ!頼まれた!」
そして…
『るるぅ、りゅう!』
「うぅっ!?…だ、大丈夫だよ!」
『ぅ…ブシュルルゥ…るぅ…』
「もちろん!…ね、願われたよ!」
…”ね様の”蛇ちゃんとは連絡できなくなっちゃったケド
”私の”蛇ちゃんは健在だ。
ね様にナニカあったのかもしれない…でも、
ね様は間違いなく!無事だ!!
「…正面はオレが。背後は侍女が守る。側面に接近した敵は…テー。任せたぞ。」
ね様…待っててね!
「まっかされよー!」
いま、行くよ!!




