Chapter 007_無限窟②
・・・本話。ほーんのチョットだけ、短めです。
ご了承くださいませ。
『ビュオォッ!!!!』
無限に続くの暗がりから・・・
風切り音!?
「アレは…!?」
「…や、槍か!?」
私達めがけて突き上げられたのは・・・
・・・や、槍!?
しかも、岩でできている!?!?
「こぞ…」
フルートが叫ぶより先に
「みぃーっ!!」
シュシュが飛び!
「うおぉぉぉーーーっ!!」
ルクスがボロボロの剣を
前へ!!
「マシェリィ!!」「きゃっ!?」
私は
フルートに包まれ!
「はあっ!!」
更に!
エウロスの風がみんなを包み!
「手伝え!!」
ゲオ様が
ルクスの左に立って叫び!
「にゃん!」「は、はいっ!!」
ナイフを取り出したシュシュと
剣に持ち替えたザイロフォンさんが
右に立ち!!
「槍を斬れえぇぇ!!!」
その瞬間!!
『キインッ!!』
ルクスのギロチンと飛来した槍の穂先が
火花を上げ!!
『ガギギギギイイィィ!!!』
ま、摩擦音!?
何でも斬れるルクスのギロチンに・・・て、抵抗が!?
「くぅ…っそがあぁっ!!」
飛来した槍は火花を散らしてはいるけれど・・・
穂先から真っ二つに解離していく!
「うをおおぉぉ!!!」
「ぎにににぃーー!!」「をおおおおぉぉーーっ!!」
ゲオ様と、シュシュとザイロフォンさんは
斬られてなお私達を狙う2つの穂先を剣の腹で受け
無理やり進路を曲げている!!
「「「「きゃーっ!!」」」」
火花が舞い。
手を伸ばせば届く距離で轟音を上げながら
高速で過ぎ去る石の帯に恐れ慄く私達の悲鳴が響き・・・
「エゥ…」
「やってる!!」
音を、火花を、熱を
少しでも和らげようとエウロスが嵐を強めた!
そして・・・
「っ…はっ!!」
・・・ようやく!
ルクスが!
「くっ…」
「はうんにゃあぁあぁ…」
「う、腕が痺れ…」
そして皆が!
槍の猛襲を凌ぎきり・・・
「おい!」
・・・と!
次の瞬間!!
「休んでる場合じゃないよ!」
私を抱いたままのフルートが4人に振り返り・・・
「次が来るまえに進もう!!」
その言葉に!
「・・・ヒュドラ!!」
『『『るるるるぅ!!』』』
“3頭”のヒュドラに命じて
「・・・お願い!昇降機の代わりに橋を渡して!!」
ここより上・・・10mくらいだろうか・・・に見えるトロッコ路の
入口(と、思われる装飾のある横穴)目がけて
『『『ブシュルルルゥ!!』』』
ひと1人が渡れるくらいの細長い
斜めの橋を立て掛けた!!
「・・・ご、ごめんね!今後も考えるとコレくらいしか・・・」
もっと立派な橋をかけてあげたかったんだけど・・・
時間と。ヒュドラに預けている魔力量から導き出した
”最適解”である。頼りない橋を詫びた私に
「上等おぉ!!」
ゲオ様が叫び!
「うにゃー!!」
最初にシュシュが!
迷いなく駈け出し!!
「…おい!」
「マシェ…」
「ん、んぅ!」
次は私が!
「…よっ!」
・・・って!?
「ひゃあ!?フ、フル・・・」
私を抱き寄せていたフルートは腕を通して
『ヒョイ』と抱き上げて・・・
「ほらっ!しっかり捕まって!!」
「ん、んぅ・・・」
・・・だ、抱きかかえられながら
「…ちっ。行くぞ!!」
「アイアイ!!」
「・・・///」
ルクスの先導で先を目指し!
「テー!侍女!!エルフ達もだ!行くぞ!」
「ん、んぅ!」
「はい!」
「「「はい!!!」」」
最後に
ザイロフォンさんを殿に
皆が駆け出した!!
「っ!!」
けど、次の瞬間!?
「来ますです!!」
既に横穴に着いていた
シュシュが叫び!!
「うぅ!?」
驚く私をよそに
「「「「走れっ!!!」」」」
ルクス・フルート・ゲオ様・ザイロフォンさんが
叫び!!!
「チビ!」
たどり着いたルクスは振り返り!
「小僧!!」
・・・フルートは
私のお腹を労りながら強く強く抱き締めながら
橋を駆け抜け!!
「来いよヲらぁぁっ!!」
剣を!下へ!!
構えたルクスが
「ギロチン!!」
愛刀に
「槍をき…」
叫んだ!!
『ヒュオンッ!!』
その。瞬間・・・
「…なっ!?」
ルクスの。驚い声と
「…っっっ!!」
フルートの。全力の抱擁に
「フォニ!!」
「ね様っ!!」
「お嬢様あぁぁぁーーー!!!」
「「「ご主人様あぁー!」」」
みんなの叫びに
私の瞳は・・・
「・・・ぅ・・・・・・」
『シュッ…」・・・っと、極太の槍の先が突然
ムチのように撓って向きを変え。
「・・・っ」
私を・・・
・・
・
「うんにゃああぁぁぁーーーっっっ!!!!!!!」
・・・正直。
『ギュッ』っと目を瞑っていた私はその時。
何が起きたのか分からなかった。
だからコレは、後になって。
フルートとルクスから聞いた話だ。
『ボギュッ!!』
誰よりも何よりも速く動いたシュシュは
「ゃああぁぁーーーっ…」
ナイフとショーテルと自身を犠牲に。
ほんの僅か。
撓る穂先の軌道を変えた!!!
『パキィンッ…』
岩の穂先は私・・・じゃ、なくて。
頭の先の”光”を砕き!?
煌めく粒子を散りばめて・・・
『ボゴンッ!!!』
・・・黒い布を巻き込みながら
私のすぐ上・・・横穴の天井に深々と
突き刺さった!?!?
『『『ブシュルルルゥ!!!!』』』
「うをおぉぉ!?」
「「「「きゃーっ!!!」」」」
「ぐわぁっ!!」
危険を察知したのか?
槍に巻き込まれたのか分からないけれど・・・
橋に成っていたヒュドラは形態変化をいったん、解いて。
ゲオ様・ティシア・ローズさん・ザイロフォンさん・リゾルートさん・グリッサンドさんを銀色ボールで包み直して。
下へ下へと落ちていき・・・
「…ゃふ…っ………」
武器を砕かれ怪我を負い。意識を失ったシュシュは・・・
『りゃぁーっ!』
・・・全員守れ!
そう、伝えてあった忠実な水星に追われながら
深淵の闇に溶け消えて・・・
「うをおぉっ!?」
バランスを崩して。横穴から落ちそうになった
ルクスは・・・
「こぞっ!?…あぁ、もう!…マシェリィ!ちょっと待っていてね!」
・・・フルートに引き上げられ。
そして・・・
「・・・・・・う・・・」
横穴の床に置かれ。
『ペタン』としてた私は・・・
「・・・う、う・・・そ・・・・・・」
槍に貫かれた天井の暗い穴。
貫かれた魔女帽子。
そして・・・
『チチッ…チッ…』
帽子の先に”ある”・・・”あった”・・・
「・・・そ・・・ん。な・・・」
・・・光の粒を。
眺めていた・・・
「・・・どうして。どうして・・・・・・」
星・・・【力場の王 セト】には”実体”が無い。
セトは、”場”・・・”空間”と言ってもいい・・・”そのもの”と
いえる存在だ。
質量も体積も持たない故に、通常の物理攻撃で破壊することは不可能だ。
(※顕現すると本体内部に”空気”を内包してしまうから、そういう意味では質量も体積も”持っている”ように見えるかもしれない。でも、それは、”肺に取り込んだ空気”も”生体の一部である。”と、言っているのと同義であり、正しくない。)
さらに・・・
「・・・この。光の粒子は・・・何だというの?」
・・・魔力は“見えない”ハズだ・・・少なくとも、人間には。
人間に許されているのは、その気配を曖昧な”雰囲気”として
感じ取る事だけであり・・・
「・・・どうして?どうして魔力を・・・感じるの?・・・”コレ”が。理を失い行き場を無くして霧散していく私の魔力である。という確信は・・・どこから来ている?」
・・・魔力が。”星屑のように舞い散る”などという話は、
これまで一度も読んだことが無い・・・
「・・・そんな。ハズは・・・ない。」




