Chapter 003_カッコウ
「・・・み、みんなに・・・。言っておきたいコトが。あるの・・・」
・・・天使に。
両肩を支えてもらった私は
「「「「…」」」」
みんなと・・・
『『『『るるるる…』』』』』
・・・そして。
「ゅ〜…」
・・・ヒュドラによって両手両足を縛られ。
口枷まで施した・・・ソレをやったのが私だから大人しくしているケド、
当然の事ながら不服そうな・・・ローズさんを前に
「・・・」
『トクトク』鳴る胸に手を置き・・・
「・・・すー」
「はぁ〜・・・」
深呼吸・・・
そして
「…み?」
小首をかしげるシュシュと
「…」
黙って見つめるルクスと
「…なんだろ?」
「しー…」
召喚獣に注意される
フルートと
「…うぅ〜…?」
ゲオ様に凭れる眠気まなこの妹と
「…」
ソレを支えるゲオ様と
「「「…」」」
妹の護衛をお願いする事になった
エルフの3人と。
最後に・・・
「…ふしゅ〜…」
・・・私を。ひとりの”女”として愛してくれている
最愛の薔薇を前に・・・
「・・・」
息を止めて
・・・
・・
・
・・・1秒後
「・・・赤ちゃんができた。」
・・・自分でも。
びっくりするほど簡単に・・・まるで、息をするかのように唱えた
まほーの言葉は・・・
「み?」
「…は?」
「あか…ちゃ!?」
「…赤ちゃ…う?」
「ほぉ…」
1秒もせずに顕現し、
「お、」
「「おめでとうございます!!」」
みんなの耳を駆け抜けて。
そして・・・
「…」
誰よりも・・・ティシアよりも・・・
長い時を私に捧げてくれた
「っ…っ、っ…」
・・・彼女は。
「…っ…ひゅ…まっ…」
大粒の涙を流しながら・・・
「…ロー…」
「ヒュドラ!とってあげて・・・」
『『『『『りゅりゅー…』』』』』
拘束が解けた彼女は
「おりょぉひゃぁまあぁ〜!!」
泣きながら。叫びながら
私に縋り付き。そして・・・
「おめれろぉ〜ござゃひまふぅ〜!!!」
・・・そんな彼女に
「っ・・・」
私は・・・
「ん・・・んっ!ありがとぅ・・・あ、ありがとうローズさんっ・・・」
「はいっ…はいぃっ…お、おれれろぉごじゃはまっ…ふー!!」
「んっ・・・んっ・・・。。。」
・・・それから暫く。
私と彼女は抱き合い泣きつづけた。
「うっ、うえぇぇ〜…」
「んぅっ・・・んうっ!!っ・・・〜。。。」
・・・お互い。
いろんな感情を混ぜながら・・・
・・・
・・
・
「…ね様。お母様になるのね!?」
・・・私とローズさんが落ち着くのを待って、
最初に声をかけてきたのは妹だった・・・
「・・・っ・・・ん、んぅ!そうよ・・・」
涙を拭いて同意した私に
「スゴーイ!」
彼女は間髪入れずに声と両手を上げ。
更に・・・
「んふふっ!…私。お姉ちゃんになるんだ!」
お姉ちゃんというか、伯母だけど・・・なんて
無粋な指摘は置いてけぼりにして
「・・・そうよ。仲良くしてあげてね?」
「もぉっちろぉん!」
すると・・・
「…ね!ね様。」
笑顔のティシアは
抱き合う私とローズさんの間に手を突っ込んで。
私のお腹を撫でながら・・・
「…この子のおとーさまは!?」
・・・と。
無邪気な笑顔で聞いてきた、
その言葉に・・・
「・・・」
・・・私は。
「…」
「…」
・・・”なぜか”。
青くなっている2人を
瞳に入れて・・・
「・・・さぁ?」
「「…」」
スグそばから発せられる
強烈な殺意を肌で感じながら
「・・・”誰”。かしらね・・・」
「「………」」
努めて冷静に・・・魔女らしく・・・答えてから
「…う?」
首を傾げた妹に
「・・・んふふふ・・・」
“含んだ”笑顔で答えた。
「ふふふふ…?」
「・・・んふふふ・・・」
「…う?…どーしてヒミツにするの…?」
「・・・んふふふふふ・・・」
「ううぅ〜…???」
笑顔でやりとり
していると・・・
「…フォニ。」
「・・・ゲオ様・・・」
ティシアから解放されたゲオ様は。
そばにやって来ると・・・
「…先ずは。おめでとう…」
「・・・ありがとうございます。」
・・・そう、前置きしてから・・・
「しかし…そういう事であれば。道を戻るようだな?」
・・・と、告げた。
「・・・いえ。」
けれど・・・
「・・・このまま向かいましょう。」
「…は?何故だ?」
私達が向かっているのは古代に滅びたドワーフの坑道
【天空回路】だ。
坑道がどうなっているのかも、
何が在る(居る)のかも分からない。
ゲオ様の心配も・・・ま、まぁ。
当然のコトだろう。でも・・・
「・・・私は自己診断のおかげで、かなり早期に妊娠を自覚できました。普通なら、まだソレと気づかない程の時期です。ツワリも始まっていません。だから・・・そうなる前に下馬できれば。後はセトの力で浮かび上がって・・・」
「…いや、ダメだろう。妊娠中は魔法を使うべきでないと言われているだろうが…。…フォニ、お前がソレを知らないわけではないだろう…?」
「・・・」
くっ・・・さすが、ゲオ様。
「妊娠中は魔法を使うべきでない(使えないワケじゃない)」
という”謂われ”があるのを知っていたか・・・
「…この謂われが正しいのかどうか…俺には分からん。が、しかし。無理をするべきでないのは間違いない。ナニが居るか分からない…向こうの大陸に通じているという確証さえ無い。太古の昔に崩壊した古代遺跡に入るコトが無理でなくて、何だというんだ?」
「・・・むぎゅぅ・・・」
むぐぐ・・・は、反論できない。
で、でも・・・
「無理は承知で・・・」
ここで引き返すわけには・・・
「…戻るぞ」
・・・いかない!
「ヤです!」
声を強めて
「・・・この子を狙うモノがある場所で出産なんて、できるハズありません!」
胸の内を語ると、
ゲオ様は
「…」
目を閉じ・・・けれど、すぐに開け。
まだ何か言いたそうな顔をした。
ソコで私は・・・
「それに・・・」
・・・下腹部に手を当て。
瞼をちょっと下げて。
伏し目にしながら・・・
「・・・、」
「…え?あ。え…と……」
「・・・・・・」
「え〜…とぉ…」
フルートと・・・
「・・・」
「…」
「・・・じぃ〜・・・」
「、…」
・・・ルクスを。
瞳に落としてから・・・
「・・・」
・・・再び。
ゲオ様に視線を上げて
「・・・責任を取ってくれると言っていましたから。」
「ぶふぉっ!?」「ぐっ…」
横から聞こえた声(嘆き?)
を、無視して
「・・・ですから。その言葉を信じてこのまま進みたいのです。・・・きっと、私と”自身の半身”であるこの子を”責任を持って”故郷に送り届けてくれる・・・と。そう、信じて・・・」
更に続けて
「・・・それに・・・こんな。裏切り者しかいない灰の大地じゃなくて。金色に染まる暖かな故郷で産んであげたい・・・」
そう言うと・・・
「…はて?緑豊かな森を灰に変えたのは誰だったか…」
ゲオ様は…そんな嫌味を言いつつも、
最後は
「はぁ~…」
・・・と。
“ため息”という名の合意を唱え。
そして・・・
「…」
「え?」
「…」
「…っ。たくっ…」
フルートとルクスを無言で『キッ』っと・・・
「…」
「「…、」」
・・・鋭い瞳で見つめ。
それから・・・
「…テー。」
「…う?ぅ、ぅん…」
呼ばれてそばにやって来た
「…う?」
ティシアの両肩に手を乗せ・・・
「…」
・・・そして。
「・・・う?」
“私”に向かって・・・
「…”今度は”必ず守ってみせる。」
強い瞳を向けて・・・
「・・・ゲオ様・・・」
「…もう。あんな醜態は見せないと、この心臓にかけて誓おう。だから…フォニ。お前はお前と、お前の子供の事だけ考えるんだ。」
さらにゲオ様は
「いちど失敗した俺が言うもの難だが…頼む。」
「っ・・・!」
あ、頭を下げて!?
「…信じてくれ。」
・・・そう、唱えたのだった。
「…」
そんなゲオ様と
「…ね、ね様…」
不安げな顔のティシアを前に
「・・・」
私は・・・
「・・・はい。妹を・・・お願いします。ゲオルグ様・・・」
・・・すると?
「…わ、私だって…」
ローズさんも立ち上がり。
「今度…こそは!必ずお役に立ってみせます!」
ティシアの隣で
涙の残る頬を紅く強く染めて唱えた・・・
「・・・・・・お願いね。
私の薔薇・・・」
Rぃー、うぃ~ん、GooOー!! です!
早いもので2024年も残すとこ、あとわずか!!
今年も沢山の方にご覧いただく事ができ、感無量です!
本当にありがとうございました!!
この物語は・・・来年も、もちろん続きますし!
その先も・・・ふふふふ!ご期待ください!!
よろしくね!
それでは皆様!
良いお年を― ; )




