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まほー(物理)  作者: 林檎とエリンギ
10th Theory
446/476

Chapter 055_淫靡な花

林檎です!


本話。

とっても短いのでご了承ください。


それと、

タイトルは「淫靡」→「いんび」と読みます!


・・・よろしくね。

毒と薬。

洗脳に暴力。

凌辱と拷問。

契約に隷属・・・



天使達の加護で廃人になるコトは無いと分かっていても

痛いモノは痛いし。恐いモノは恐い・・・



「…まったく。手間をかけさせおって…」


カエン様とドゥーチェちゃんが経験した悲惨な・・・ヒトの持つ

(むご)たらしさの極致のような・・・日々を知っていたから・・・


私は仲間たちが助けに来てくれるか、

ドウにかコウにか隙を見つけて逃げ出すその日を

期待しながら。


震える両手を強く。強く!

握り締めていた・・・



「・・・申し訳ございません・・・」


“仕込み”はできている。

けど、アレを発現するには物理的にティシアに近付く必要がある。


その為に、先ずは

ヤツらにある程度”信用”される必要がある・・・



「………早くしろ。」

「「「は、はい!」」」


・・・そう思って。私は。

ヤツらが何食わぬ顔で出したてきた”かなり強烈な”

幻覚薬と興奮剤と向精神薬・・・要するに、ドラッグ・・・を素直に飲んで

薬が効いている”フリ”をした。



『シュ…スルッ…』


そして・・・

別室で控えていた人間の女の子・・・私より小さいくらいの・・・

の手により薄着に着替えさせられた。



「・・・」


・・・ヤツらが飲ませた薬には”催淫効果”もあった。

目的は明らかだった・・・



「っ・・・」


隷属するでもなく、洗脳するでもなく

封印するでもなく、断罪するでもなく!

真っ先にスルのがコレだというの!?


ナニが賢者だ!

ナニが森の人だ!?


恥を知れ!!



「袖を…」

「・・・」

『シュルッ…』

「・・・・・・」


民族滅亡を前にしているというのに・・・毒花は

ドコまでも欲望に実直だった。


異世界地球の人間も、リブラリアのエルフも。

爛熟(らんじゅく)しきった社会の先に有るのは

欲望と腐敗に満ちた毒の森。


7,000年の時を経て腐りきった花は

切り刻んで畑に撒いても、土地を腐らす

毒にしかならないようだ。


この状況で希望を探せという方が、無茶な話。


サラちゃんが言った通り。

跡形もなく灼き尽くすのが最適解に違いない・・・



「・・・」


恐い・・・


妹の為になら”何でもやる”と瞳に誓ったけど、

いざ、前にすると恐くて仕方がない。


薬で狂うコトができていれば。

どんなに楽だったか・・・



「だいじょ…」

「ひゃっ!?」


震える私を案じたのか・・・



「っ…だ、大丈夫。大丈夫…」


世話をしてくれた3人の女の子の中でも、

年長っぽい子が近づいて・・・



「だいじょうぶよ…」


・・・天使の羽のような優しい腕で。

私を包みこみ・・・



「っっ・・・」


緊張と不安でいっぱいだった私を「優しさ」という劇薬でアッサリ負かし

ギリギリ堰き止めていた涙腺を崩壊させた・・・



「うぐっ!ひぐっ・・・」

「…」


ヤツレて・・・ガリガリのその身体にしがみつく私を

彼女は冷たい手で優しく。優しく。

(いた)わるように撫でてくれた・・・



「…大丈夫。」


・・・けど。



「恐いことなんて…ナニもナイわ…」



「イタイのは…最初だけ…」

「スグにヨくなる。」

「ラクになる…」




「ナニも考えコトはない…」

「…ただ。身を委ねればいい…」

「素直に求めに応えればイイ…」





「助けが来るなんて思っちゃダメ…」

「私たちは水で。肥料なの。」

「大きな花を咲かせるための…養分。」






「…さぁ。

「キレイな。」

「お花を。」


「「「咲かせましょう…」」」

「・・・・・・」


私が縋った”優しさ”は・・・毒の沼に咲いた一凛の花は

毒を吸って()(ただ)れ。骨の髄まで侵されて。


はく製のような笑顔で咲いていた・・・











「…終わったか?」

「「「ハイ…」」」


お父様。お母様・・・ごめんなさい。



「・・・」


強く。可愛く。

産んでくれたのに・・・ごめんなさい。



「・・・っ・・・・・・」


あの子を必ず

立派な大人にしてみせるから・・・





















「…来い。」


・・・だから、どうか。

許して下さい・・・

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