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まほー(物理)  作者: 林檎とエリンギ
10th Theory
441/476

Chapter 050_フォレストサバイブ③

林檎です。


本話、いつもよりちょっと短めです。

ご了承くださいませ…

『ブシュルルルゥ…』


…暗闇の中。

いつの間にか眠ってしまった私は

ヘビちゃんの声で覚醒し…



「…ぅ、ぅうん…」

『ブシャアァ!』 


…瞼を開けると。

ソコには…



「…あ。おはよ。ヘビちゃん…」

『りゃっす…』


…トグロを巻いて優しい銀で私を包み込む

笑顔(?)のヘビちゃん。


そして…



「おはようございますご令妹様!」

「おはようございます!」

「お、おはようございます…」

「…おはようございます。リゾルートさん。ザイロフォンさん。グリッサンドさんも…」


焚き火を前にしたリゾルートさんが

お肉…ウサギ?トリ?…を串に刺して炙り。


その隣でザイロフォンさんは矢を弓に番えて警戒し。そして、

少し離れた場所ではグリッサンドさんが油断のない瞳を巡らせていたのだった…



「…スグに朝食ができますからね!」


料理をしていたリゾルートさんは

火の前に掲げた串をクルクル回して。


私に優しい笑顔を向けた



「…う?う、うん…」


まだまだ『ポケッ…』っとしちゃってる頭を

(とりあえず)縦に下ろすと…



『るー。るるぅ、るう。ぶしゃあぁ〜…』


…今度は。ヘビちゃんが“コップ”になった尻尾を

近づけて…



『るるぅる…』


と…



「…う、うん。…そ、そう…だね。…『湧き水よ』 スプリング。…んっく、んっく。んっく…」

『ぶしゅるるぅ…』

「ぷはーっ…。ん。…ありがと。ヘビちゃん…」

『りゅりゅー!』


…その後。お肉(お姉様じゃぁ、あるまいし…。朝からお肉なんて重たいなぁ…

と、思ってたけど贅沢言っていられないし。慣れてきちゃったの…)

を食べながら…



『りゅ〜…。ぶしゅりゅぅ…』


椅子とテーブルとコップとお皿を兼ねるヘビちゃん。

そして…



「は、ははは…そ、そう言って頂けるなんて。光栄でございます…」

「…昨夜は肝が冷えましたね。まさか、老枯蛇(エルダーウィズナーガ)(?)に追われるなんて…」

「里から遠ざかってしまったのは確かですが…。に、逃げ切れただけでも良かったと思わないといけませんね…」


…エルフ3人。



「…また。里から遠ざかっちゃったの?」


迷子5日目の朝は“いつも通り”の朝だった。


仄暗い森と小さな焚火。

ささやかで油断ならない小休止…そんな。いつも通りの朝だった…



「も、申しわけございません。ご令妹様…」

「追跡から逃れるために街道を外れて進んでいますので…せ、精馬も。大きいため喚び出すことができず…」

「今の装備と人数では逃げるのが精一杯で。とても…」

「…う、うん。そ、そうだよね!…ま、守ってもらっているのに我儘言っちゃって。ごめんね…」


ふかふかベッドも豪華なご飯も。

楽しい昼間も安全な夜も

ココには無いけど…



「そ、そんな!」

「ご不便をおかけして申しわけ…」

「…っ!だ、だからぁ!」


…”あの時”と違って。

今の私には、仲間がいる!



「いいってばぁ!も、もう…このお話しはお終いっ!それより先を目指そうよ!ご馳走さまでした!!」


率先して前に出てくれるグリッサンドさん。

道を切り開いてくれるザイロフォンさん。

スグ側にいてくれるリゾルートさん。


そして…



「…ほ、ほら!ヘビちゃんも立っちだよ!しゅぱーつ!…だよ!」

『るるる…』


…ね様が。その魔力(けはい)が。

私を包んでくれている…



「そ…そ!そうですね!」

「さ、先程は里から遠ざかった…と、言いましたが。大した距離ではございません!」

「そ、そうそう!明日のゆう…い、いえ!お昼には辿り着けるかと!」

「ホント!?あと、ちょっとだね!!」


…こんな心強いコトはない。



「それじゃあ、みんな!しゅっぱーつ!!」

「「「おー!」」」

『ブシュルゥ!』



………

……






















「はぁ、はぁ、はぁ〜…」


時間は過ぎて…



「いっ、今です!」


暗ぁ〜い森の黄昏れ時…



「ご令妹様!!」


アレから私達の旅は…



「ハ…ハウル!!」


ぜっ、

ぜんぜん順調じゃなかった!!



『バガアァン!!』


エルフ3人によると、

里に近づけば近づくほど魔物の数が減るはず!

…って、話だったの。


でも実際は…



「やった!」


「うまい!!」

「さすがでございます!!」

「さ、さぁ!今のうちに…はっ、早く!!木の上へ…!」



…逆で!?

進めば進むほど魔物の数が増えてきて!


あまりの魔物の数に、

大慌てで樹上に逃れるコトにした!



「う、うん!」


土属性第3階位の築壁魔法(ハウル)

高い壁を造った私は



「…お、お願いねヘビちゃん!」


壁の上によじ登って!



『ブシャア!!』


”ヘビちゃん階段”を頼りに



「さ、さぁ!お手を〜…」


樹上で待つリゾルートさんの…



「うんっ!」


…その。伸ばされた腕に

しがみつこうと



「えぃっ!」


最後の一段を踏み込んだ…








…その瞬間!?



『…パシャッ』


水音と…



「う………?」


『スッ…』と。空中に抜けた足。

『フワッ…』と。全身を包んだ浮遊感。

そして…



「「「ご令妹様ー!!」」」


悲鳴にも似た3人の叫び…



「…、」


私…ひょっとして…



「ッ!?」


落ちてる!?



「どっ、」


足下に見える太い幹。

真正面に見える枝の茂る景色。

そして、背中に感じる重力から


覚った私は



「『泥よ立て』!」


無意識に…

コレまでで、いちばん速く!



「『(いしづえ)をなせ』!」


エルフの3人に作ってもらった

石のナイフ ”の柄” を



「…『積み上がれ』!」


見えない真下に向けてっ!!



「ハウルゥ!!」


唱える!!!



『ズガンッ!』…と、

さっき造った土の壁から伸びた石の壁は



『ゴッ!』

「ぐゅびっ!」


私の背中を叩きながら

さらに伸び!!



「い〜っ!」


痛みを堪えながら



「ご令妹様!?」


リゾルートさんに…



「捕まえてぇ!!」

「!」


腕を伸ばす!!

そして、



『パシッ!』


っと、体勢を崩しながらもリゾルートさんは

私の手首を捕まえてくれた!


けどっ!



「ひぃっ!?」


…次の瞬間!?

生み出した壁は魔物の濁流に押し流され

支えを失った体は腕一本で

ぶら下がる形になって…



「ぐっ…いぎゅ…」


…叩かれた背中と

引っ張られる手首の痛みに…



「がっ、頑張れぇ〜!」


耐えている…



「ご令妹様!」


…と!?



「もう反対の手を…さぁ!」


枝の上から、もう一本…



「…早くっ!!」


ザイロフォンさんの…腕が!!



「うっ、ぐうぅ…」


痛みと恐怖に抗いながら



「うっ…んんぅ!」


発動子…石のナイフ…を捨てて。

差し出された腕に…



「ぎゆっ…」


腕を伸ばした…



「よしっ!!」


その途端!



「いいぞっ!」


2つ目のお手々に『ギュッ』っとされた瞬間!?



「わぅ!?」


重力に逆らって

体が『グワッ』っと持ち上がり!?



「せー」「のぉー!!」


2人の掛け声を間近に感じ…



「きゃあ!?!?」


『ガシッ!』っと掴まれた腕が

とびきり傷んだあと、



「ぅ…」


一瞬の浮遊感…

そして、



「…あわっ、あわわわ!?」


空中で…



「…と!」


『ガシッ!』っと、

ザイロフォンさんに抱えられ…



「ふ、ふぅ~…」

「やりました!」

「あ、危なかったですね…」


「…わ…わわわ。わ…」


コトなきを得たのだった………





















「………ビ…ビックリ。したの…」

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