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まほー(物理)  作者: 林檎とエリンギ
10th Theory
440/476

Chapter 049_フォレストサバイブ②

林檎です。


本話、ちょっと短めです。ちょ~、っと、ダケ!短めです。


・・・よろしくね。

迷子初日のお昼過ぎ…


「…行ったぞグリッサンド!!」

「おねがーい!」


「はい!…ソレッ!!」

『バシュゥンッ!!』



昨夜からナニも食べていないし、水も飲んでいない…

というエルフの皆に魔法の水を唱え。

ヘビちゃんから受け取った魔法鞄の中身を配ったから。

ごはんが無くなっちゃった私たち…



「や、やりました!!」

「ふおぉ~…しゅごい!!あんなに”しばしっこい”ウサギ(に似た魔物…)を。こんな簡単な道具で…」



けど、心配なんていらなかった!


【森人】…とも呼ばれるエルフの3人は

即席の弓矢と槍。そして罠を駆使して、あっという間に

獲物を捕まえてくれたのである!


すごいすごい!



「…ふふふ。ありがとうございます。ですが…」

「…この。ラットラビットは数も多く。頑丈な牙ダケが取り柄の…この森では最弱の…魔物でして。」

花の(フラゥル)エルフであれば。子供が”遊び”で捕まえるような獲物なのです…」


3人とも。

ケンソンしているけど…そんなコト、ないよ!



「ソレでも、魔法無しで捕まえちゃうなんてスゴイよ3人とも!!」


「えっと…」

「きょ、恐縮です…」

「ふふふっ…」


ルボワに住んでいながら

1度も森に入ったコトなかった私とは大違い!!



『ジュルルルヴ…』


そんな3人に感心していると…ヘビちゃんが

低く唸ったのだった



「も〜…ヘビちゃん!シツコイよ!」


まだ3人を認めていないヘビちゃんは

私にピッタリとくっつき



『る〜ぅ〜…』


「だってぇ〜…」と、言いながら。

私達のやり取りを不満そうに見ているの…



「…さて。問題は…」


ヘビちゃんの態度に苦笑いしながらザイロフォンさんは腕を組み。

リゾルートさんとグリッサンドさんに振り返った。



「はい…」「えぇ…」


ソレを受けた2人は

獲物に視線を落として言葉を続け…



「さ、さすがに。木や石の(やじり)でコレを捌くのは…」

「う?できないの?」


「できないワケではありませんが…」

「…う?」


首を傾げた私に



「斬れ味が悪いので時間がかかります。それに、仕上がりも…」

「う〜…しょっかぁ…。…鉄片のひとつでもあれば【鋭利化魔法(シャープネス)】で研いであげられたのにねぇ…」


ヘビちゃんの首を見上げた私が



「…ねぇ。ヘビちゃん。尻尾の先っちょダケでいいから…お願い!」


…そう、

お願いすると…




「る゛ぅ゙…」


…と。

不精不精(ブショーぶしょ〜)な声を上げつつも…



「…あ…」


平たい石の上に獲物を置いて悩んでいたリゾルートさんの前に

尻尾を『ヒュンッ!』と。


そして…



『…』


…鋭いナイフに(尻尾だけ)”とらんすふぉ〜む”

してくれた!



「わぉ!」

「おぉ!」

「わー!」


驚く3人と



「さすがヘビちゃん!ありがと!」


私の声に…



『ゅ…』


…そっぽ向きながらも。キチンと反応してくれた

ヘビちゃんは…



「そ、それじゃあ…失礼して…」


その尻尾を掴もうと伸ばされた

リゾルートさんの手を…



『ルッ!』

「わっ!」


すり抜けて!?



「ちょっ!?…ちょっとヘビちゃん!!」


『ブシャア!ブシュルルルゥ!』

「うわあっ!?」


リゾルートさんの目の前で鋭い尻尾(ナイフ)

『ヒュンッ、ヒュンッ!』と動かし



『ブシヤアァッ!!』

「も、もぉっ!?危ないよぉ!!」


注意すると



『るぅーるぅ~!!』

「…う?」


私に見えるように…

ヘビ肌のお腹に銀色の文字を浮かばせて…?



「も、もお!ワガママだよ!!」

『シャッ!』


「んもぉーっ!!ケチ!ケチヘビッ!」

『…』


「ね様に言いつけてやる!」

『ブシャ!?…シュ、シュるるる…』


「むーっ!!!」


…なんて。

やり取りしていると…



『るるぅ…』

「…う?」


自身の文字盤に

「耳長に…」と、綴り始めたヘビちゃんは…



「…獲物を押さえつけるように言って。僕が切るから…」


…と。綴ったの。



「…ぅ〜…」


でも…



「…ヤ。」


そう言った私に



『ブシャ!?』


狼狽(うろた)えるヘビちゃんと



「ご令妹さま…」

「い、いったい…」

「…何がナニやら…」


状況が分からない(ヘビちゃんの文字盤は私にしか見えない位置にあるの)

エルフの3人…



「だって…」


…私は、

みんなにも聞こえるように。



「…私。魔物の解体のやり方知りたいんだもん。」

『ブ、ブシュルゥ!?』


「ヘビちゃんのやり方は真似できないでしょ!…ヒトの手でどーやるのか知りたいの!だからリゾルートさんに任せなさい!」

『シャ、シャアァ…ブシュr…』


「そーゆぅ〜問題じゃ、ないの!故郷の…冒険者の街である…ルボワに戻ったら必要だから。だから知っておきたいの!!」

『ルーゥ〜…ブシャ…』


「むー!!…ガンコ者!!ね様そっくり!!」

『るるぅ〜…』


…なんて。

ヘビちゃんと言い争っていると…



「で…でしたらご令妹様!」


リゾルートさんが



「…う?」『る?』


声を上げ…



「…お、恐れ多くも(わたくし)めがご指導させて頂きますので!ご令妹様(おん)(みずか)ら!蛇様のナイフで解体する…と、いうのは如何でしょうか!?」


その提案に



「…」『…』


『チロッ』っと舌を出したヘビちゃんを

正面に見て…



「そするー!」


唱える!!



………

……





















「…う…」


ごはん()()

ソレナリに活躍できたと思うよ…


お肉を(さば)いたのも、火を(おこ)したのも。

お水で獲物を洗ったのも、串を作ったのも

私だった。



『タタタタタッ…』


けど…











……

………



…ソレは。

串に挿したお肉がそろそろ食べ頃!


と、いうタイミングでやって来た。



見つけたのはグリッサンドさんで。

告げた彼女は足を止めずに立ち木に跳び移り

暗い森へと消えてしまった…


報せを聞いたザイロフォンさんは

食べ頃お肉に…かまどもろとも…躊躇(ちゅうちょ)なく土を被せ。弓を取り。

リゾルートさんとアイコンタクト。


そしてそのまま

森の奥へと走り去っていった…



「きゃっ!?」


リゾルートさんは私を抱き上げ、

茂みの奥へ…もっと奥へと駆けだした



『シャ…!』


そして、遅れてやって来たヘビちゃん(ヘビちゃんはご飯を食べる私のために。椅子の姿に”とらんすふぉーむ”してくれてた…)は…



「ふをぉっ!?」


リゾルートさんに跳び付き、這いずり



「わきゃっ!?」


私の首に『グリン』っと巻き付き…



『シュルルルゥ…』


…油断の無い。

金の瞳を睨ませた…



「へ、ヘビちゃ…」


急にヒドイよ!

そう言おうと思った私の口を…



「もぎゅ!?」


…『ペチッ』っと。

尻尾で押さえたヘビちゃんは、



『シュル…』

「…」


…一瞬。

済まなそうな瞳を私に向けてて舌を出した。

その様子に…



「…」


ナニか…あったの?

まさか魔物!?


そんな私の心の声に応えてくれたのは…



「…ご令妹さまっ」


…私を抱きしめ。走るリゾルートさんで…



「…同氏です。どうか。お静かに…」

「!」


同氏…つまり。

花のエルフ!?


私達を…探しに来た?



「…やはり。街道沿いは危険ですね。遠回りになっても森の奥を進むしかないようです…」

『コ…コクッ、コク…』

「先ほどのキャンプは”野営地”で行ったので。問題ないハズ…ですが。念には念を入れましょう…」


攫われる…



「……っ…んっ…」


”あの時”を思い出しちゃって…。



「っ…っっ…!」


強くしがみ付いた私に…



「ご令妹…様?」


リゾルートさんは…



「…大丈夫。先に行った兄様…ザイロフォン…は、すぐに合流します。偵察に行ったグリッサンドも安全の確認ができれば戻って来ます。私はご令妹様の傍を離れません。何より…」


…私を抱きしめる力を強め。

木々を縫い駆ける脚を速め…



「…心強い精霊様…魔女様の御使(おつか)い様…お姉様が。付いているでは、ありませんか…」

『ブシュルゥ!』


唱えたの………

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