表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
まほー(物理)  作者: 林檎とエリンギ
10th Theory
427/476

Chapter 037_櫻散らす剣の風

『グギュオ゙オ゙オ゙オ゙オ゙ォ゙ォ゙ォ゙ッッッ!!!』


…コレは。

戦いが終わってから気付いたコトだけど…



「あちっ、あちちいっ!」

「キツネ!逃げ…くそっ!!」


…お姉ちゃんの。燃えてる”メラメラ竜”が戦いの途中で居なくなったのは。

ドレーの剣が”床を斬り続けて”。

竜が”落ち続けて”いたのが理由なんだと思うの…



『グルルルゥ!』


…だからあの時。ドレーが…う、うぅん。

もっと…前に。


シュシュがヒュドラを倒しきれなかったコトが…シュシュの失敗が…



「あんにゃあー!!」


…こうなっちゃった。

原因…





















『ギュオ゙オ゙オ゙オ゙オ゙ォ゙ォ゙ォ゙ッッッ!!!』


メラメラ竜にたべられちゃう!


大急ぎで逃げて、お城から飛び出したのに

竜の牙が追ってきて!?



「っ…」


いよいよ迫りっ、

瞼を『ギュッ』と瞑ったその時!



「ギロチン…」


シュシュの耳に届いたのは、遠くのドレーの…




「…”距離”を斬れ」


…マホーの言葉



「・・・!」

『グヲッ!?』


シュシュには一瞬、

何が起きたのか分からなかった



「み…?」


最初に、

ご主人様の(にほ)いを抱いたドレーの(にを)いを

間近に感じ



「…ギロチン!」


次いで。

シュシュのお耳が騒音(ノイズ)を捉え



「”熱”を斬れ!」


ご主人様が撫でてくれる大事な毛並みを台無しにする

熱い空気が消え去っ…



「みぃ…?」


…異変に気付き。

瞼を…



「…キツネ」


…開くと。


炎を背に。剣を手に。

シュシュを振り返った…



「ド、ドレェ…」


“ご主人様のモノ”の…そして



「…ふんっ!」


次の瞬間!?



『ドガッ!』

「あぎにゃっ!?」


蹴っ飛ばされた!?



「にゃー…ん………」


地面へ向かって加速するシュシュには、


目もくれず!?



「…ギロチン!」


シュシュを踏み台にして!?


ドレーは空中で『クルンッ!』して、

竜に向かってジャンプ!!



(やかま)しい竜を…」


剣に…




「…斬れ!」


唱えた!

そして、



『ッ!』


と、

静かな一閃が振り下ろされ



『ぷしゅ…』


3つの炎が。その首が…



『ズズズッ…』


大地へ…



『ッ…』


…一瞬遅れて。

羽ばたきを止めた巨大な赤が

3つの穴から赤いドロドロと共に…



『ヒュゥー…………』











「みー…」


一方の、

シュシュはというと!?



「あにゃー…」


ドレーに蹴っ飛ばされ、

お城の縁から落ちちゃった!


このまんまじゃ、

硬い地面に衝突しちゃう!



「う…にゃぁ…」


ちゃ、ちゃんと着地しないと!

でも、時間がにゃ…



『ビニョーン!』


…い…?



「…にゅ!?」


『ビニョーン!』


「…あにゃ!?」


『ビニョーン!』


「にゃーん…??」



…なんかよく分かんないけど。

地面は思ったより柔らかくて…



「みゃ~ぁ~…???」


シュシュの体は痛くならなかった。


たぶん…ポニポニするナニカが地面に落ちてて

ソレが衝撃を和らげてくれているのだと思う…



「に…」


何度か跳ねたあと、



「にゃっ!」


と、

勢いをつけて



『クルクルッ』


と、空中で姿勢を整え



「にゃ!」


『タッ!』と着地!

振り返って…



「あにゃあっ!?」


びっくり!



「も、門番さん!?」


ソコには、お城の門の前で倒れ伏す

門番さんの巨体が…!


で、で…もぉ…



「にゅう…」


門番さんはこの島にいた…”敵”の…悪魔さんだけど

ご主人様の”ナデナデ魔法”にかかって心を入れ替えたので。


今は味方だ。



ご主人様が、お姉ちゃん達を治癒している間

もし、他の人がお城に近づいたら


追い返してくれるって言ってた!

だから…



「…ごめんなさいです。シュシュには。してあげられるコトが無くて………た、戦いが終わったらきっと!ヒナ様…ご、ご主人様が!」



…門番さんは。


ほぼ全身に耳長の矢を受けていて。

耳長の剣と槍でアチコチ切り刻まれていて。


血まみれで…



「…弔ってくれる。ですよ…」


地面に横たわっていたのだった…



「…シュシュを守ってくれて。あり…」


…そう言った、次の瞬間



『ュ…ッ!!!』


空から落ちてきたのは、



『ドグヲオォン!!』


大火の赤!!



「はんにゃーっ!!」


今のは…メ、メラメラ竜!?


地面に落ちた瞬間

大爆発したメラメラ竜(の体)はあっちゃこっちゃに

飛び散り。

周囲のモノ…シュシュの体も…吹き飛ばし…



『ボフゥンッ!』


…ながら!?

火の粉となって周囲に飛び散り!?



「あぢっ、あぢぢぃー!?」


シュシュに火傷を負わせて…



「あぁっ!?も、門番さん…」


…門番さんの亡骸にまで!?

火をつけて…



「みー…」


シュシュは…爆発の勢いで

湖の上まで飛ばされながらも…



「…ありがと。」


その姿を…



「でした…」


…瞳に刻み



「すー!」


大きく息を吸って!!



「『芽の願い』フェンス!!」


唱える!!



『バジュ!』 と、


『バッチィ』湖面から勢いよく飛び出した

魔法の蔦に!



「ぎにゃっ…」


空飛ぶ体を掴まえさせて!!



「にゃっ!」


柵の上に飛び乗って!



「せー…」


脚に力を!技を!!

そして魔力を!



「…にょーっ!!」


お城に向かって飛び上がる!!



『ギンッ!ガシュ!!』

と、刃の交わる音を頼りに



「見つけた!」


壁を登って!

柱を蹴って!!



『キンッ!』


2人の鳴刀に隠れて



「『炎よ』」


魔女様とリリさんに

教えてもらった


スベテを



「『侵略者なり』!!」


込めて!!



「にっ…」


魔力切れで…一瞬

『フワッ』となった頭を



「…ふるるるぅっ!!」


っと振って!



「っ・・・!」


ようやく、シュシュに気付いたお姉ちゃんに!

紙上(しじょー)最強の魔女様直伝の



「ファイヤーボール!!」


炎を!!



「いっけぇー!!」


お見舞いだーっ!!



「くっ・・・」


射線から逃れようとしたお姉ちゃんだけど



「…バーカ。」


ドレーが



「行かせるかよ!」

「むぅっ!」


退路を絶って!

その隙に!



「み…」


姿勢を下げて、気配を殺して…


でも、



「にゃっ!!」


炎より、

速く!!!!



「・・・っ!?!?」


お姉ちゃんの足を



「っ!!!・・・っきゃーあっ!!」


ナイフで!

地面と縫い止めて!!



「やー!」


シュシュに向けられた刀は



「ふんっ!」


ドレーが



『ガギィンッ!!』


掬い上げるように

受け止めて!



「せー!」


体をひにぇって!



「にょー!!」


ドレーの剣の衝撃で止まった、

刀を握るそのお手々に



『ズシュッ!』


と、


「っ、きゃーあぁぁーー!!」


ショーテルを!



「お!」

「に!」


ドレーと視線を交わして



『バッ!』


と、飛び退()く!!



『ッ!』


その瞬間!!



『バアァンッ!!』と、



「きゃああぁぁーーー!!」


お姉ちゃんに…



「あづっ!あづぅーっ!!」


…炎が……


………

……





















「っ、ふにゃーっ………」



息を止め…

その様子を眺めること。4.02秒…



「…おい。」

「みぃ…?」


…息を整え。


火球が鎮まった事を確認してから

振り返ると…



「…やり過ぎじゃねーのか?」


ドレーが(お姉ちゃんを見つつ)近づき。

話しかけてきたのだった…



「…ちゃんと。心臓動いてるですよ…」

「…なら、いいが…」


「・・・できれば。殺さないでほしい・・・」

と、いうのは、他でもない。

ご主人様のマホーの言葉だ。


だから…



「シュシュがそんなヘマするわけないじゃないですか!」


ほっぺを『プクッ!』として。

ドレーに言い返すと…



「…ふっ…」


…てっきり。

バカにされると思っていたのに…



「…そうだな。」

「み、」

「…()()魔女”の”。だもんな…」


そう言って…


「…」

「…」


剣をほっぽり投げて。

頭の後ろで腕を組んだドレーの…



「…ヤレ、ヤレ。だ…」

「…みゃ!」


その視線を追うと…



「ご主人様の!」


海の星が…

海より広い夜の海に浮かんでいるではないか!



「にゅふふふっ!さすがご主人様なのです!!」


お城よりも、島より、湖よりも大きなお星様…

アミちゃんの。大っきなお魚を包み込んでお空に浮かぶ

まん丸の【海】が!


シュシュを『ぽかぽか』にする

フワフワで

ぷにぷにで

ツヤツヤな

“あの唇”から生み出されたと思うと…



「ゆ…」


憧れの…

…手を伸ばしても届かないのに。

いつも気付くと与えられている…



『…』


無限の重力に。



「///」


どこまでも…どこまでも。


この身の全てを

全ての時間を


引っ張られていたい…



「//////」


『トロン…』としながら…

そんなふうに願っていると?



「…ったく。」


余計な騒音が

口を開き…



「…コレだから。魔力お化けは…」


…なんて。



「にゅうっ!?…褒めるならまだしも、”お化け”なんて…。ドレーのクセにナマイキなのです!」

「…テメーも相当。生意気だけどな…」

「にーっ!!」


話しながらも…



「よっ…」


()()()()優しく



「…っと…」


焦げたお姉ちゃんを抱き上げた



「…おい。」


ドレーは…



「…行くぞ。」


徐々に強くなる重力に

柔らかく。


従いながら…



「み?」


シュシュのことなんて、

イチベツもしないクセに…



「…」


…その背中で



「み…」


シュシュのことを。



「…さっさとしないと…」


ちゃんと、



「…溺れるぞ。」


待って。

くれていて………








「にゃん。ですよ…」

シュシュたん…


速い上にタフで。

ちゃんと連携もできて。

魔法まで使えて!?

そして可愛いとな!?!?


チィ~トォ…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ