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まほー(物理)  作者: 林檎とエリンギ
10th Theory
423/476

Chapter 034_炎と海

「・・・アミちゃん唱えて!」

「えっ…」

「早くっ!!」


予期していたコト・・・



「セト!!」

『!!』


けれど、カエン様の力は

私の予想を大きく越えていた



「うきゃあ!?」

「きゃあっ!?」


漆黒の星が揺らいだ直後

あたりに紅蓮の炎が舞い踊り

玉座の間を煉獄に帰したのだった・・・



「アミちゃん!アミちゃんっ!!」

「マ、マズいですよ殿下」

「ウォ、ウォーターボール!!」


力王魔法(セト)】は【重力】を統べる魔法だ。

ガスやエアロゾルといった”軽い物質”には効果が薄く、

魔力や精霊、概念といった非物質の前では完全に無力となる・・・



「わ、わ!アミちゃん!ぜんぜん足りないよぉ!!」

「ウォ、ウォーターボールウォーターボールゥ!!」


・・・とはいえ。

セトに”現象そのもの”を統べる力がないのは確かだけど、

燃焼現象を引き起こす可燃物や(効率が悪い。とはいえ・・・)酸素分子を操るコトはできる。


今の、セトの重力圏内部には、物質が原子構造を維持できなくなるほどの・・・【事象の地平線】一歩手前くらいの・・・極めて高い重力がかかっているため、

酸素も炭素も素粒子にまで分解しており、【化学反応】が起こりえない。


故に、異世界地球で言うところの

【火】あるいは【炎】は発現できないのである。


今以上に重力を強めてしまうと

”事象の地平線”が生まれてセト内部の物質がドコカ・・・時空の狭間とでも言うべき・・・に”落ち”。

最悪、カエン様を消滅させてしまうかもしれない。

(注!:カエン様とアミちゃんの故郷は消滅しちゃっているらしい。このため、2人は復活できない<不死者は肉体が消滅すると”生まれ故郷”で復活する。でも、カエン様(と、アミちゃん)にはソレが無い。>可能性が高い!?とのこと!)



だから、ホントに限界ギリギリのラインで

“わたしが考えたサイキョーのローゴク”

を維持していたんだけど・・・



『ジジッ…ジ…』


でも・・・


リブラリアの魔法。(たぶん、魔”術”全般)には

”解釈の余地”

というモノが存在する。



“解釈の余地”は、“イマジネーションの自由度”と

言い換えるコトもできる。


魔術を行使しようとしている”意思あるモノ”が

具体的で合理的な確固たる意志を持ってイマジネートすれば

魔力を対価に、理を捻じ曲げるコトができる・・・

と、いう根本原理の。

その延長線上にある”応用力”のコトである。



「あっ、あつっ・・・!」

「お姉ちゃ!?…あぁ、もうっ!!できれば城を壊したくなかったけど…し、仕方ない!…ロンワン!ロンジェン!(アミちゃんが宿している水龍の(つがい)だよ!)出番だよっ!!」

『『ギュグルルルゥー!!!』』


けれど・・・果たして、

【火】あるいは【炎】は

異世界の人間が定義した物理的な燃焼現象”だけ”を指す言葉(ことのは)だろうか?


「火に油を注ぐ」という(ことわざ)は物理と無関係だし、


「核の炎」という出所不明の単語は

熱と光を伴う【酸化還元反応】を(直接的には)指していないから、

定義的には間違ってる。


「炎上」なんて言葉は

集団心理に関係があっても、熱統計力学の教科書には綴られていない。



「二輪とも!み…みずでっぽう!!」

『『ギュグーッ!!』』


私自身、

解釈を変えて魔法をアレンジしてきた 過去がある。


魔法。そして魔術に解釈の余地があるのは

疑いようもない事実だ。



「わきゃあーっ!?」

「あをぁっ!?お、お姉ちゃーん!?」


だから・・・

私が核融合反応を【火魔法】で

処理したのと同じように。


放射されたγ(ガンマ)線を

【炎】である

と解釈できるかもしれない。


セト中央に存在しているハズ(セトの重力が強すぎて光が(なかなか)逃げ出せないため、内部の様子を見るコトができない。)の【クォーク星】も


彼女の瞳には

【炎】に映るかもしれない・・・



「た、助けっ・・・」

『ぶしゃるるるぅ!!』

「・・・うわぷぅ!」


私達が知る【炎】とは全く異なるけれど・・・


クォーク星から発せられているγ線は超高エネルギーの光(電磁波)で。

物質に衝突すれば火花(プラズマ)を生み出す。


クォーク星は測定不能なレベルの超超高温状態にある。


ソレを【炎】と見るかどうか?という問いには、

解釈の余地がある・・・かも、しれない。



「ゲホッ!ゴホッ・・・」


・・・そもそもココはリブラリアであって地球じゃない。


地球における「物理現象の【定義】」に。いったい、

どれほどの意味があるというのか?


地球人と、リブラリア人


その瞳に映り・語られる

【炎】と【火】は果たして、


本当に同じモノに

見えて・綴られるだろうか・・・?



『りゃあ〜…』

「ケホッ・・・ヒュ、ヒュドラ・・・カエン様と戦っている間は気化させられて危ないって。言ったのに・・・」


・・・極めつけに、

γ線も

クォーク星も。



『『『りゅう…』』』

「・・・んふふっ。怒ってなんて、ないよ。助けてくれてありがとう。・・・いい子いい子・・・」

『『『りゃ〜///』』』


(もと)を正せば

魔王陛下の残り火だ。






「サ、サンクチュアリ!…お姉ちゃん!コッチへ!」

「ん!」


「ご、ごめんよ!姉様の炎が強すぎて…あ、あれくらいやらないと…」

「・・・んーん。大丈夫だし・・・分かってるから。」


セトから溢れ出した紅蓮の海は、一瞬で私とアミちゃんを飲み込んだけれど・・・



「そ、そう言ってもらえると。助かるよ…」


・・・スグに、

辺りは青い海へと(さま)変わりした。



「頑張りましたな!王子!」

「///…あ、ありがと。ルフ」


物量勝負なら、

溟海の王子様の方が上だ!



「”剣の彼”と狐ちゃんも巻き込んじゃったんだけど…ぶ、無事だよね?」

「・・・あの2人なら大丈夫よ。」


玉座の間に残された瓦礫を洗い流したアミちゃんは・・・それでも舞い踊る炎から私を守る為に【水面魔法(サンクチュアリ)】を発現してくれた。


カエン様の炎を完全にシャットアウト

してくれているのだ!



「ふふふ…信頼しているんだね?」


戦いが始まってからカエン様に集中していたから、

2人・・・ルクスとシュシュ・・・の様子は

確認できていない。


2人のコトは。

心配には心配だけど・・・



「・・・もちろん。だからドゥーチェちゃんをお願いしたんだし・・・」


・・・あの2人なら、きっと大丈夫!

だから今は、ソレを信じて・・・



『…!…!』

「・・・う!?セト!」


・・・そして、

紅蓮の海から帰還した



『…、』


帽子付きの星を



「・・・いい子いい子!よく、帰ってきたね・・・」

『…///』


胸に抱き・・・



「・・・アミちゃん。例の・・・ヤるよ?」

「え?あ…ぅ、うん…。ま、まぁ。他に手も無さそうだしね…」


隣の。

家族を想う小さな王子様と手をつなぎ



「…殿下。嬢。私に手伝える事は…」


アミちゃんに握られたランタン様に



「・・・じゃあ・・・【決戦の白】をお願いします。」

「頼んだよ!ルフ」

「サー、イエッサー!!」


最高の舞台を用意してもらって・・・



「すぅー…はぁ〜…」


息を整えた彼が・・・



「…『リブラリアの理第2原理 綴られし定理を今ここに』…」


・・・隣で綴りはじめた



「『海よ』」


深くて、広い。



「『そなた命の坩堝(るつぼ) せいの全てを育んで 死の(すべか)らくを受け止める』」


青色の理の唄を・・・



「『大樹を育み 大地を囲い (きん)を沈めて 風を受け止め 火を鎮める』」


・・・瞼を瞑って

耳を傾け・・・



「『巡り巡らせ青に帰す』」


・・・そして。



「…ジン。おいで!」

『キュクルルルルゥ!!』


その言葉と



「ん・・・」


共に・・・



『パッチィンッ!!』


青の魔法印より更に大きな!!



『…!!』


星色の魔法印を

カエン様の真”上”・・・上空に展開して!



「セト!」

『!』


自慢の我が子に



「・・・ソーラーシステム!発現!」


印を綴らせ!!



「アミちゃん!」

「うん…ジ、ジン!行くよ!!」

『キューイ…!』


「「せーのぉっ!」」


溟海の王…そして、大海の王と

共に!!



「「海王星(ネプチューン)!!」」


唱える!!

林檎です!


久々に活動報告書きました!!

よろしくねっ!

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