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まほー(物理)  作者: 林檎とエリンギ
10th Theory
420/476

Chapter 031_4振りの刃

林檎です!



スピーディーな戦いですので、

瞬き厳禁!ハイスピードカメラ・ステンバイですよっ!


では、どうぞっ ↓

ドゥーチェちゃん…



『ガギィンッ!』


…ご主人様がそう呼ぶ。お人形さんのようなお姉ちゃんとの戦いは

とにかく気が抜けなかったの…



「にゃあんっ!」

『…ュンッ!』


緩く反り返った…初めて目にする…身の丈ほどの

1本の剣(かたにゃ?)から繰り出される剣撃は

光のように速くて。水のように滑らかで。夜のように静かだった…



『ブシュルルルゥ!!』

「ひにゃっ!?」


そして、あいま合間に襲ってくる蛇の奇襲と重なり

隙が無かった。


この人の戦い方は、

ご主人様とは勿論違うし、

シュシュや…ドレーのとも違うモノだった。



「ちぃっ!!伏せろキツネ!!」

「あぃにゃん!」

「ギロチン、ヘビを切れ!」


スピード”だけ”なら、シュシュの方が上だ。

鋭さなら、たぶん。ドレーの方が上。

魔法だけなら、ご主人様の方が断然うえ!



『シャ…』

「くっ!」


なのに…



「にゃーん!」

「む・・・っ、」

「はみゃっ!?ひ、引いちゃうですか…!?」


…このお姉ちゃんに

シュシュの剣は届かず。ドレーの剣は受け流された…



「うにゅ〜…絶対。追ってくると思ったのにぃ~」

「…ずいぶん(いさぎ)良いじゃねーか…ったく!めんどくせーな!!」


水のように…止めどなく流れる…その剣に

シュシュもドレーも手こずっていた。



「・・・、」


流れて、跳ねて、

迫って、離れて…



『ヒュンッ!』

「あにゃあぁ…」


届きそうで、届かなくて…



『カチンッ…』

「あぁ、クソッ!また振らされた…」


もし、届いても

軽く受け流されて、距離を取られちゃう…




「ふにゅー…」

「…ったく!」


疲れちゃったワケじゃないけど…



「・・・」


このままじゃ、イケない。

任せてくれたご主人様に顔向けできない!



「み…」


ナンとかしなくちゃ…



「ド、ドレー…」


…そー思ったシュシュが。

瞳をお姉ちゃんに向けたままドレーに話しかけた…



「合わせろ!」


その瞬間!!



「『リブラリアの理第6原理』」


大きく後退したドレーが

剣を手に、呪文を唱え始めた!?



「『綴られし定理を今ここに』」

「みゅう!?め、メーレーするなですよ!」


…とは、

言ったものの…



「『大気に群れる軽銀の』」


ドレーの魔法の腕は…



「・・・、」

「みゃん!行かせにゃいですよ!」


…悔しいケド。ご主人様も認めるホドだ。



「『瞬き鋭く天を見る』」


ドレーの【礬鯱魔法(このマホー)】が



「・・・」

「ぎにににぃ…い、行かせにゃ…」


ど、どれホド通用するか分からない。

ケド…



「『背ビレは速く風を斬り』」


か、完成させられれ…ば!



『ブシャルルルゥ!!』

「ふにゃあぁ!?」


少なくともっ!



「えいっ!えいっ!!」

『ルルル…』


邪魔な蛇くらいは…



「『牙は(はげ)しく大樹を食らう』」


…ハズ!



「、、、・・・!」

『キンッ!』


って!!



「うにゃん!?」


ドレーの魔法が、もう少しで完成!というタイミングで

お姉ちゃんが斬り込んできた!?



「くっ・・・」


ソレまでとは違う、

重く滑らかな斬撃は



「ぐにににぃ…」


まっ…まるでっ、

“おっきな水玉”にのしかかられたみたいで。

とってもツラくて…



『ブシャア!!』


しかもっ!?



「あにゃんっ!!」


ヒュドラまで!?



「『空を泳ぎて(もてあそ)ぶ』」


は、速く速く!

早く唱えろ!ドレー!!



『カキンッ!!』

「うみゃん!」


な、長くは…



『ブシュルルルゥ!!』

「はにゃん!!」


保たにゃいよぉー!!



「『狩れ』アルム・オルカ!!」


お姉ちゃんとヒュドラを”片腕づつ”で相手にしていた

シュシュの背中から



「ふせっ!!」


聞こえたドレーの「伏せろ!」という声に



「ゃん!」


シュシュはワザと刃を引いて!!

『バッ!』と、背中から倒れ込んだ!



「!」『ブシャッ!?』


すると!


対峙していたお姉ちゃんとヒュドラは

”前のめり”にバランスを崩し…



『『ヒュ、ヒュン!!』』


その瞬間!!

2筋の鋭銀…2匹の”金属のお魚”…が



『バチィン!!』


お姉ちゃんが手にした剣に

体当たり!



「ぐうっ!?」


そのまま、

お姉ちゃんを運び去り、

 

同時に、もう1匹のお魚が

『バシャアァン!!』と、

ヒュドラの体をはじき飛ばした!!



「おい!」

「み!」


言われなくても分かってるよ!!



「『(かまど)よ 時を包みし (おわり)衰火(すいか)』!」


こんなチャンス、



「ファイヤーウォール!!」


見逃せないよ!!



『ブシャ!?』


飛び散り、また、まとまり始めた

ヒュドラの体全部を火の壁で覆って!



「『芽の願い』フェンス!『芽の願い』フェンス!!『芽の願い』フェンスゥ!!!」


柵魔法を連唄(れんしょう)!!



『ブシャッ!?』『シャルル!?』『ブシュルルルゥ!!?』『ルルッ!!』『シャァー!!』


主人(おねえちゃん)と離れたうえ、

全方位から迫る火の壁と、炎を助長する枝に驚いたヒュドラはパニックを起こし

悶え始めた!



「にゅふふふふ!!」


ご主人様によると…

ヒュドラは火に炙られるとスグに毒ガスになっちゃう。

近くにいると危険だけど…



「よし!いいぞキツ…」


…でも、ソレは。

裏を返せば”炎に弱い”というコト!


ヒュドラを完全に炎で包み。

毒ガスもろとも。焼き尽くしてしまえばいい!!



「キツネ言うなですよ!」


ご主人様が教えてくれた、

シュシュでもできるヒュドラ攻略の方法は


①まず、ヒュドラを炎で覆うこと、

②火魔法を重ね掛けして、木魔法も唱えて。とにかく火力を上げること!



「『炎よ 侵略者なり』ファイヤーボール!」


③ヒュドラを火で覆い、全方向から満遍なく炙るコト。

④この時、地面と火の壁の間に少し隙間を空けると、そこから入った空気が中を通って。温められながら上空へ駆け抜け。蒸発した水銀を運び去ってくれるから合理的!



『ブシュ、スュ…』

「みぃ!?逃さないですよ!!『炎よ 侵略者なり』ファイヤーボール!!」


⑤ただし!隙間からヒュドラが逃げ出す可能性があるから要注意!!

⑥術者の意思ではなく、強制的に蒸発させられたヒュドラはダメージを負ってしまう。全身を完全に気化されれば、いくらヒュドラといえど・・・



『シュ…ュ…』


始めは悶えていたヒュドラもシュシュの攻撃で

どんどん蒸発して小さくなり。

今は、炎の中で力ない悲鳴を上げるダケだ!



「っ・・・あ、『雨よ』・・・」


もちろん。”この”ヒュドラの主である

お姉ちゃんはシュシュの邪魔をしようとした



「させるかっ!」


ケド…



『バシュンッ!!』

「くっ・・・」


2匹の金属のお魚と



「…っらあ!」

『ガキィン!!』


ドレーに阻まれ

叶わない!



「『炎よ 侵略者なり』ファイヤーボール!!」


(かまど)の中で悲鳴を上げるヒュドラに向かって!



「ファイヤーボール!!」


さらに更に!

遠慮なく炎を追加してい…



「っ!?」


その時だった!



「!?キツネ!!」


ドレーが叫ぶより先に反応したシュシュは



「みゃんっ!」


ジャンプして!



『グギョオォォーーッ!!』


床を溶かして現れた、

3つ頭の炎竜の上にあった…



「うんにゃあっ!?」


…ん。だけど!?

眼下に迫った竜の猛烈な熱で

次の動作に移るタイミングを外しちゃった!?



『グヲオォォー!!』


そんなシュシュを

3つ頭の炎竜は大きな口を開いて待ちかまぇ…



「乗れっ!」


お口が『バクンッ!』となる直前!!



「うみゃあっ!!」


飛び込んできたドレーの魚に

ナイフを突き刺して!


魚に引っ張られる形で難を逃れ!!



「アチッ、あちちっ!」


竜の熱で真っ赤になり、キリモミしながら空を泳ぐ魚の軌道と熱で

お手々の力が抜け始めたところで…



「こいっ!!」


剣を放おって叫ぶドレーの姿が…



「み〜…」


ま、迷ってる余裕なんて

にゃい!!



「えいっ!!」


魚とナイフから手を離し…た、

その瞬間!?



「・・・せいっ!」


いつの間にか!?

すぐ隣に来ていたお姉ちゃんの斬撃を



「ふんみゃあぁっ!!」


頭と尻尾を抱えて!



「ちっ・・・」


(すんで)のところで避けきって!!



『『『ググオオォォーーッッ!!」』』


おっきなお口をシュシュに向けていた竜の首は



「ギロチン!そのまま”下”を斬り続けろ!!」


ドレーのその声で



『キンッ!』と、

空中で回転していたドレーの剣が床に飲み込まれ、

直後!!



『ズガァーン!』


と!?大きな音と共に



『『ググヲァ!?』』


竜の足元が斬り崩されて、



「はにゃ…」


竜の首も『ガクンッ!』と下がり!

そのまま…



「…っと。」

「み…」


…気づけば



「…大丈夫か?」


シュシュの体は

ドレーの腕の中に



「…………に、にゃん。です…」


あったのだった………

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