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まほー(物理)  作者: 林檎とエリンギ
10th Theory
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Chapter 028_夜の坩堝

林檎です!


本話、いつもより短いですが、

ご了承くださいませ。

「・・・う?」


甲高い・・・耳鳴りが鳴った



「…降りろ。」


次の。瞬間・・・



「・・・うぅ?」


私は・・・



「と…とっ。扉の。向こうから…す、凄い。魔力を・感じるですよ…」


・・・巨大な扉の前で


「…間違いない。姉様が…」

「麗しの姫様が。ココにいるよ…」

「・・・」


ルクスに。

お姫さま抱っこをされていたのだった・・・



「…おい。」

「・・・っ///」


べ、別に私がトロいワケじゃ無いからね!

みんなが凄すぎるだけだからね!?


コレでもお爺ちゃんの修行もあって、

異世界にいた頃より、だいぶ動けているハズ・・・



「・・・ん、んぅしょっ!・・・と・・・」


片膝を突いて、私が降りるのを待っていた彼の

腕から降りた私は・・・



「・・・ふ、ふぅ・・・///」


一息

ついてから



「・・・ん・・・」


・・・改めて。

汚れ、朽ち果て

草木に犯され、風化させられた



「・・・ここに・・・」


亡国の栄華を。夜に映し・・・


・・・

・・











「・・・」


・・・ここに来たのは

本当に正しい事だったのだろうか?



「・・・」


他人の戦争に首を突っ込むなんて・・・

思い上がりも(はなはだ)だしい。


・・・どっかの。

自称、世界の警察国じゃ、ないんだから・・・



「・・・すー・・・」


べ、別に!

コレまでの自分の罪を償いたくてやるわけじゃない。

勿論だけど!

報酬が目当てというワケでも無い。


ただ・・・



「・・・」


・・・2人の女の子が。


数字を言われてもピンと来ない程の長い時間

ずっと囚われ。利用され。苦しみ続けている横で。


その2人とは縁も所縁もないどっかのダレカが。

その2人の苦しみを(くいもの)にして


節度の欠片も無く。顧みる事さえなく。

贅沢三昧していることが。


正しい事とは思えない。



・・・たとえソレが。

”ただのよくあるお伽話”だったとしても・・・







「・・・はぁ〜・・・」


・・・きっと、コレが終われば私の名前は



悪魔に利用されて。


大図書館(せかい)をひっくり返して。


過去の動乱を蒸し返して。


(エルフ)らの事情を理解しながら

罪だ罰だと騒ぎ立て。


平和な日常を完膚無きまで破壊して。


輝き始めた希望の光を見ないふりして。


全く無関係な旅の仲間を巻き込んだ・・・



・・・ひとりの人騒がせな、


夜に魅了された愚かな女。だって・・・

我儘で恐ろしい魔女。だって・・・

物語(せかい)に混乱と破滅をもたらした魔ノ女。だって・・


・・・【世界】の【敵】。だって・・・



きっと、

そんな風に綴られる・・・



「…」

「に…」


・・・2人を救う為に。



「お、お姉ちゃ…」

「…殿下。もう少し…待ってあげましょう。」

「う、うん…」


この大陸に息づく数千万人のヒトビト


その数億倍は”ある”であろう、

魔物を含めた生きとし生きるモノ



そのスベテの生活と命を

【夜の坩堝(るつぼ)】に叩き込むのは・・・




「・・・正しいコト。


かな・・・?」



・・・

・・






















……

………



「「…」」


…変化がおきたのは

その。十数秒後のコトだった…



「う、うん?2柱の…天使?」


玉座の間の入口…【煉獄の門】

の前に佇み、瞑目していた嬢…


いつのまにか夜を顕現させた彼女は。

大きな瞳で。門を『じぃっ・・・』と…瞳に、沈めて…


しばらく経った後のコト…



「アレは…お姉ちゃんの召喚獣。【堕天使サリエル】と【熾天使ウリエル】…」



『ハシュ…』と摩擦音だけ上げて指を()った

嬢の両手の先…


扉の前に現れた2柱の…(うやうや)しく頭を下げた…精霊の姿に

答えをくれたのは、殿下だった…



「じょ、嬢”の”…ですか?…ですが彼女。僕を迎えに来た時に連れていた…殿下の【ロゥワン】と【ロゥジィー】と同じ、水龍…も宿していますよね?その上、更に…と、いうことですか?」

「…ほんと。驚きだよねぇ。…因みに、他にも”いる”から。驚かないようにね…」

「ほ、他にも…」


固有魔術以外は宿せない僕には分からないけれど、

魔法…それも、召喚獣…を宿すというのは大変なコトらしい。


…現に。

”魔法による”召喚獣を宿している13魔天は

僕の知っている限り


陛下

殿下

キュリストラー 


の。

3人だけだった…



「…す、凄い子を。見出されましたね…」


驚くな…と、言われても



「…ふふふ。…まー!どっちかって言うと。彼女”が”ボクを見つけてくれたんだけどね!」


無理な話だ…






「…ロード。」

「よろしい…ですね?」


…殿下と話をしている間に。



「・・・ん・・・」


いつの間にか、

2柱の天使は門戸に手をかけ、

己の主人に振り返っていた。


いよいよ。

玉座の間に突入しようというコトだろう…



「…ヤレ、ヤレ…だ。」


嬢の従者であるルクス君は

文句を言いながらも腰に佩いた剣の位置を整えて…



「…ナイフよ〜し!…ショーテルよーし!…お耳も尻尾もバッチリなのです!」


…シュシュちゃんは。

腰や背中に刺したナイフと、湾曲した…変わった形の…剣…?

そして、自身の耳や尻尾をひとつひとつ。指さし、手に触れ、

確認していったのだった…



「・・・」


そして最後に



「・・・アミちゃん」

「…」


…振り返り

殿下を見つめた嬢は…



「・・・いいんだね?」


“いいね?” ではなく。

“いいんだね?” か…



「も…もちろんさ!」


僕ら13魔天 全員が束になっても勝てないであろう、あの陛下の

実力と武勇伝を聞かされ。“その陛下”さえ倒した魔女ちゃんを同時に相手にし

なければならないコトを知りながらも、


”勝てないかもしれない”とは、微塵も思っていないコトもスゴイけれど…



「…こ、ここまで来たんだ!今更…ひ、引き返せないよ!?」


…ここまで来て。なお、



「・・・・・・そう。ね・・・」


僕たち魔族…そして、この大陸に暮らす。


全てのヒトビトの未来を案じ、

想い悩んでくれる彼女の優しさに…



「…」


…伝わっている”気がする”心の声で。

感謝を唱え…



『ギッ、ギキイィィィ…』


軋みながら開く…



『ィ゙ィ゙ィィ…』


木々に犯され。

風に荒まれた…



『ィィ…』


僕達自身の罪と、

その後始末をさせられている

3人の乙女たちに…



『………』


…向き合った。

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