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まほー(物理)  作者: 林檎とエリンギ
10th Theory
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Chapter 023_毒の花①

「やってくれるじゃないか…死に損ないの悪魔めが。」



フォルテピアノ・フィロソファー・フラゥル・リリー…



「…卿。人間の姿に…」

「わぁーっとるわい!ったく。コレだからジジイは…ホレ。コレでよかろう…」


毒花が哲学者(フィロソファー)…つまり、

毒花最高の魔法使いである



「閻魔に加えて邪竜まで…まさか。今さら封印を解かれるとはな…。…術者は誰だ?答えろ」


コイツの恐ろしさは魔法ダケじゃない。

高身長のその身から突き降ろされる槍も、

惨忍で非道な策…

…勝つ為なら”すべて”を厭わぬ精神も。



その全てがヤツの武器だ。



「…聞かれとるぞ?卿。」

「ヌシにであろうが!」

「…」


普通に戦っても強いのに、

搦め手まで使うから始末に負えん。


こんな化け物に一般兵をブツケたら、

戦力を無益に消耗してしまう。


出てこないことを祈っていたが…出てきてしまったモノは

仕方がない。


むしろ、作戦通り”陽動(わがはいたち)”に瞳を向けてくれたコトを

感謝せねばなるまい。


ココは我輩と卿で…





「…、」


そしてヤツは。


小さなため息1つで場の雰囲気を変えた。

これ以上、お喋りする気は無いようだ…




「「…」」


…相変わらず。か…

時間稼ぎが目的である故、

もう少し付き合って貰いたかったが、

こヤツの性格を考えれば当然か…



満足させられるよう、

手厚く相手をしてヤらねばな…



『ス…』


…無表情のヤツが

静かに。やや下に向けて槍を構えたのを


合図に



「…」


我輩は

(固有魔術の応用で)生み出した手斧を

4つの腕に握りしめ…



『カチッ…』


…卿は。

いつものロングソードを構え。


そして…



「…」

「「…」」


僅かな空白…












「「「…!!」」」


…そして!!



「ウヲラァアア!!!」


我輩は斧をぶん投げた!!



「…ふんっ。」


右斜め前から迫った穂先は



「グオラァアアァァ!!」


卿の剣が

屈んだ我輩の上を薙ぎ




『ガギイィンッッ…ッ…』


滑らせ!



「「『火種よおぉぉ!!!!』」」


屈んだまま3本目の腕をヤツに向け、


卿は槍の穂先が乗る剣を、

“発動子”として、



「「インジェクションぅ!!!」」


唱える!



「や、」


爆炎で!

ヤツを見失った卿の声に



「伏せろぉっ!!」


強く踏み込み振り返り!


3本目の斧を



「うをぁ!?!?」


卿の上に投げつける!



『ガギィン…』


ヤツの穂先と斧が火花を上げてぶつか…



「…『芽の願い』」


…ると!?


その下から!



「フゥエンスゥー!!!」


“卿”が、

【柵魔法】を唱え!



『ギチッ…』


ヤツを。ご自慢のオリハルコ製の槍もろとも

刹那に飲み込もうと伸びた蔦…



「ふん、」


…では。

あったが…



「…」


…相変わらず。

か…



「…卿。立てr…」

「お、おぉ…っ!手など借りるかボケェ゙い!」

「さよか…」


平和な日常の中でも、鍛錬は忘れずに…か?

…敵ながら天晴だ。


憎らしいコトこの上ない…






「…よっこいせっ、とぉ…」


…立ち上がり。

剣を構え直した卿の声を



「…やれやれ。2人がかりで、ひと声もあげさせられんとはな…」


背中で聞いた我輩は



「小手調べ…などと。悠長なコトを言ってられぬようだな…」


ヤツからは瞳をらさず、


投擲(とうてき)した手斧の”代わり”を

再召喚しながら応え。


そして…



「…頼んだぞ?」


…背中の。

万年来の同僚と



「…あい、承知した。」


声を交わし…



「…」


瞳に映る

万年来の宿敵に…



「【竜化】あぁぁ!!」

「【獄卒】、来い!」


目にモノ見せてやる!!



………

……





















・・

・・・



「うぅぅ…くしゃいのれふぅ…」


魔王城は、

【ユーラカーラ湖】という巨大な湖の中央にある

【シアリア島】という島の上にある。



「昔のユーラカーラ湖は。ソレはもう美しく。水浴びができる程だったんだがなぁ…」

「毒花どもは、悪魔の呪いの”せい”だ…などと(うそぶ)いているようです…」


リオン様の呟きに答えた船頭役の竜人族さんによると

湖の水質は最悪で。


風が吹くと吐き気を催す臭気が漂うほど。

水面はヘドロや泡のようなモノ・・・そして、よく分からない物が

沢山浮かんでいて、とてもバッチイ・・・



「・・・う?」


でも、

それって・・・



「・・・不自然ですね?」


私の呟きに



「…確かにな。」

「…僕もそう思う。」


ルクスとルフ様が同意してくれた。



「…え?…べ、別に普通のコトじゃ…」


アミちゃんの呟きに



「・・・昔は水が澄んでいた・・・と、いうコトは。この湖に注ぐ川と、流れ出す川があったはずだよね?」

「…え?そ、それはもちろん…?」

「戦前は3本の川が流れ込み、ユーラカーラ湖の水は全てハレルヤ湖(この湖のすぐ北にある。更に大きな湖のコト・・・らしい。)に流れ出ていたよ。」


“カルデラ湖”や、”オアシス”といった。河川が流入していない湖もあるにはある。

でも、そういった湖は少数派だ。


そして、流出する河川がない湖は、

やがて海に至る。


それが地の理・・・地理というモノだ。



「・・・もしかして。この湖は堰き止められてしまったのかもしれませんね・・・」

「堰き止められた…?」

「・・・確か・・・ハレルヤ湖は世界樹の森にもほど近いのですよね?だとしたら、ユーラカーラ湖の湖水が”汚染されている”と考えたエルフ達がハレルヤ湖への流出口を堰き止めた可能性があります。・・・もっとも、ただ”堰き止めた”だけでは湖水が溢れてしまいますから。同時に流入河川を絞ったと思いますが・・・」

「そ、そういえば!大図書館に、毒花がローズの里で大規模な用水路工事をした…っていう記録があったよ…」

「・・・ソレのコトかもしれませんね・・・」


関東平野くらい(?)の広さがある湖に治水工事をするなんて。

異世界土木技術を持ってしても途方もないコトだけど・・・


数十万人の”魔法が使える”捕虜を有する

【不老】のエルフならば、可能かもしれない・・・



「毒花達のイイようにされた…というコトですな?」

「…毒花ども。自尊心高いからなぁ…」

「・・・ま、まぁ。価値観の違いもあるでしょうしね・・・」


多分・・・だけど、

この湖は、堰き止められたあと、そのまま汚水やゴミの廃棄場として

利用されていたのだろう。


橋の入口(ローズの里に繋がっている)から

伸び放題に伸び、手入れもされずに朽ち果てた”バラの茨”を見るに。


エルフ達はシアリアには興味がなく。

自分達の生活を優先していたに違いない・・・



「しかし…毒花の連中。ここの匂いは平気だったのか?」

「…確かに。匂いや…魔物の心配だって。有りそうだけど?」


リオン様とアミちゃんのその質問には、

”たぶん”だけど・・・



「・・・匂いに関しては風魔法で防げると思う。」

「真っ先に魔物に襲われるのは、壁も門も無く湖に面している魔族や人間の里だろうね…」


私とルフ様の予想に



「…なるほど。」

「う〜む…たしかに…」


納得してくれた2人は



「…まさに。エルフがエルフの為に作った集落…と、言う訳か。」

「この辺り…昔は様々な種族が暮らす穏やかな田園だったハズなんだけど…殺伐としちゃったね…」


・・・と。

肩を落として呟いたのだった・・・



「・・・」


当時を知らない私の瞳に映るモノは

不潔な湖と物々しい城壁。


そして、長い古橋(こきょう)の彼方に佇む不気味なお城ダケ。

けど・・・



「・・・キレイなシアリアも。見てみたかったね・・・」


・・・彼女の日記に綴られていた美しい白亜のお城も

見てみたかったなぁ・・・なんて。


考えていた私の・・・



「もう、元の姿には戻せないのかなぁ…?」


・・・横から聞こえた。

アミちゃんの切なそうな言葉に・・・



「・・・相当な時間がかかるとは思いますが・・・可能なハズです。」


・・・その時。

私はいないだろうけど・・・



「そっかぁ…うん。…うん!そう…だよね?お姉ちゃん!?」


・・・きっと。



「はい!」


きっとね・・・・

林檎です!


皆様、

ご覧いただきありがとうございます!!


・・・で。

謝らないといけないのですが・・・


実は今週。

もーぅのっ!すっっごぉーくぅ!

忙しくて!!


2話投稿する余裕がありません!!


下書きはできているのですが、

清書が出来ておりません!?


このため、たいへん申し訳ございませんが、


”今週だけ”は、1話投稿にさせてください!!



来週からは、ちゃんと2話投稿に戻します!!



ほんと、ごめんなさい!

どうか見捨てないで下さいっ!!


よろしくお願いいたします。です!!

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