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まほー(物理)  作者: 林檎とエリンギ
10th Theory
408/476

Chapter 020_正義と悪

林檎です。


本話、かなり短めですが、

ご了承くださいませ…

「…んん。んぅ…」


…夜。

夜が迫っていた…



「…大丈夫か?テー?」

「ぅ…んっ!?んぅ!」

「…寒いかい?」

「ん、んぅ〜ん!大丈夫だよフルート君!」


嵐が上がり、代わりに昇ってきた太い三日月

赤と青と黒が織りなす終わりの色


騒ぎ立てる森の賢者たち

対象的に静かな夜と湖と彼方の古城…



「ちょっと…怖くなっちゃったダケ。なの…」

「「「「「…」」」」」


ページは塗り潰されようとしていた。

赤く、青く。そして黒く…



「…ねぇ。ゲオ様…」


「怖い」と言って甘えた(テー)

強くお包みしてくれたゲオ様を見上げ



「…なんだ?」


…お父様とは違う、その眼差しに



「…///」


『キュッ』としたお胸を見透かされたみたいで…

『ハッ』…っと、恥ずかしくなって下を向いた。



「…、、、」

「…」


「…’’’」

「…」


ケれド…



「…っ、」


…覚悟を決めて。

胸の奥を『ギュッ』と押さえつけた私は



「すー…」


夜の空から勇気を吸い込み



「はぁ~…///」


お胸の熱を

全部…できるだけ…ちょ、ちょっとだけ…吐き出して。



「…あ、あのね。聞きたいことが…あるの…」


自分を包む毛布と、その下の逞しい腕を

『じ』っと見つめながら…



「…なんだ?」


心の地面に育ち始めた…



「…ぅ、ん…」


ね様の前では、決して

見せる事のできない…



「…あのね………」


…不安の種を。











「…ね様は。

悪者になっちゃうの…かなぁ?」





















「…どうしてそう思う?」


…返ってきたのはゲオ様の言葉だけだった。


でも、

顔を上げなくても声を聞かなくても分かる。


ローズさんとフルート君は憤ってて、

エルフの3人が困ってて。

魔族の人たちは焦っているんだろうなっ。て…



「…だって。エルフさん。それと。エルフさんと一緒に暮らしてるヒト達からみたら。ね様は平和な日常を壊した悪い人なの…」

「ご令妹様っ!我々魔族は魔女様のご活躍と御恩を決して…」

「…じゃあ。人間のヒト達は?」

「そ…」

「ドワーフのヒト達は?獣人のヒト達は?」

「…それは…」

「ね様は。魔族のヒト達以外、全員の…悪者。かなぁ?悪い魔女さんかな…?」

「「「「「…」」」」」


里の手前…森の入り口に

みんなで作った即席隠れ家の中は急に静かになって。

焚き火の『パチパチ』という音だけが響いていた。


街の喧騒も、風の音も。

いつの間にかなくなっていた…



「…姉を悪く言われるのは嫌か?」


頭のうえから聞こえた声に



「ヤだよ!ヤに決まってるもん!ね様は…強くて優しくて泣き虫なね様は!テーの自慢のね様だもん!!誰にも…」


言い終わらないうちに…



「お前の姉は…」


ゲオ様は、

再び口を開いて…



「…フォニは。万象の魔女は。アドゥステトニア大陸に帰っても極悪人だぞ?女王殺しの魔女…」

「違うもん!アレはルクスお兄ちゃんが…」

「小僧はフォニアの奴隷だ。奴隷の罪は主人の…」

「違うもん!!」

「…フォニ(あいつ)が。小僧(あいつ)を見捨てると思うか?」


…ね様は。

ルクスお兄ちゃんの事も家族だって言った。

きっと…



「…」


…そもそも。


ね様が女王様と戦うことになった原因は私だ。


私が捕まったのは戦争のせいだ。


戦争の原因は宗教とか歴史とか人種とか…そういう、

誰にも、どうする事もできない。難しくて『ぐちゃぐちゃ』した

”形が無い”のに”積み重な”ったナニカのせいだ…



「…ヒトは弱い生き物だ。故郷を追われ。宝物を盗られ。大事なヒトを奪われた悲しみや虚しさや痛みを。()()()にブツケなければ、とても、生きてはいけない生き物だ…。」


…ソレは。ツマり…



「…その”ドコカ”が。ね様だってコト…?」

「おそらくな…」

「冗談じゃないよ!」


毛布から顔を上げて、

『キッ』とゲオ様を睨んで



「ね様は私の…私達の…みんなの為に泣きながら頑張ったんだよ!!なのにっ」

「…多くの者はフォニが参戦した経緯を知らんか、知ってても深く考え直そうとしない。”金紫戦争で女王と共に数万の命を奪い。その女王すら手にかけた。”ソレが万象の魔女…」

「ヤだよ!ナンでよ!?何でっ!ね様が恨まれないといけないの!?」


興奮した私の瞳を



「…」


…今までより強く。押さえつけるような視線で

見下ろしたゲオ様は…



「…ティシア。」


…口調も強くして。

お包みする手だけ、優しいままで…



「…お前の姉は。決して、”優しい”ダケの魔女じゃなかった…。ソレは分かるな?覚えているな?」


…その言葉に



「…」


…私は。

目尻の雫を払うコトはできなくて。

負けないように、その瞳を見上げるのが精一杯で…



「…コレからやろうとしているコトも同じだ。沢山の人が傷つく…それを()()()()()()()()。それでも悪魔の側に着くと決めたのは…唱えたのは…あいつだ。」

「っ…ぅうっ…で、で…っ!」

「どれ程の覚悟で唱えようとしているのか知らんが…」


ゲオ様の…



「…ソレクライの汚名は被ってもらわんとn…」


その言葉に



「っ!」


熱いモノが『カッ!』となって!



「バカァーーー!!」


ゲオ様のホッペを



『ッパアァーッ!!』


無理矢理引き抜いた

手の平で………






『…ッ!』



そのっ、




「「「「「っ!!!」」」」」


瞬間、





『ドグワオォォーーーンンンッッ!!!!!』


だった…

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