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まほー(物理)  作者: 林檎とエリンギ
10th Theory
406/476

Chapter 018_嵐の準備①

林檎です。

本話、チョイ長です。


・・・よろしくね。

「…ね様。気を…つけるんだよ?」


カレント2,187年 恵土の月15日

お天気は土砂降り



「・・・ん!ティシアも・・・ちゃんと。ギル様とローズさんの言う事を聞くんだよ?」

「んぅ…」


デイジーの里を後にした私はアミちゃんと共に虹玉を駆使して

封印されし魔王級魔族の皆様を復活して周り。


一方で、

ロワノワールとエオリカちゃんが

ァイヒアちゃまの案内と抵抗組織の皆様のエスコートを受けながら

みんなを運び。


ユーラカーラ湖に臨む”茨の都”

【ローズの里】の手前までやって来た・・・



「・・・ゲオ様。2人をよろしくお願いします。」

「…あぁ。願われた…」

「・・・ローズさんも。ティシアをお願いね・・・」

「もちろん!願われました!」


鳥人族(ハルピュイア)】であるァイヒアちゃまが空から偵察したところ、

ローズの里の様子は”作戦通り”慌ただしいとのコト。


里の様子がおかしい。って・・・も、もしかして、

私達の目的がバレちゃっているんじゃないの!?

って、思うかもしれないケド、


ソレは違う・・・いや、ある意味。

その通りなんだけど・・・


・・・ま。要するに、ローズの里が慌ただしいのは

私達の”作戦通り”というコトだ。



実は、あらかじめ魔族の皆様にお願いして

「反乱組織【陽月】が暴動を起こす!」

という情報をローズの里に流しておいてもらっておいた。


この暴動の目的は

”陽動”。


私達が魔王城に乗り込んで魔王様とドゥーチェちゃんを助け出している間、

エルフの瞳を遠ざける為のモノだ。


ベタな作戦だけど・・・

封印されて鬱憤(うっぷん)が溜まっていたのか(?)

魔王級魔族の皆様も、それ以外の魔族の皆さんもヤる気満点!


エルフ達からすると、数日前まで平和に暮らしていたのに突然、

(今日まで数百年間、無かったハズの・・・)魔族による暴動が起こると

言われ。


しかも、

現地に向うと魔王級魔族が勢揃いしているのだから。

さぞ、驚くに違いない!


・・・ま。

解除魔法(リリース)】を用いて魔王級魔族の皆様を復活させたから。

”そのコト”に関して言えば。既にバレているかもしれないけどね・・・



「…あ、あれ?マシェリ。ぼくも残るんだけど…」

「・・・」

「ま、またぁ?またなの!?」

「・・・」

「涙。。。」


ティシア、ローズさん。そしてゲオ様(ココまで来たら、偽名は不要!)

とフルートはお留守番。

反乱組織の隠れ家に(かくま)ってもらうコトになっている・・・



「・・・ザイロフォンさん。リゾルートさん。グリッサンドさんも気を付けるんだよ?・・・ちゃんと。首と腕に目印を巻いておくんだよ?」


隠れ家に匿ってもらう・・・と、言うと

簡単に聞こえるカモしれないけど。


暴動が起きるまで里の前の茂みに隠れていてもらい。

混乱に乗じて里のスラム街にある陽月の隠れ家に飛び込む手筈なので

危険が伴う。


特に、チューリップの里のエルフ3人は。他でもない”暴徒”に

襲撃される可能性すらある。


陽月の構成員2人が引率してくれるし、首と腕に(味方だよ!という)

目印の黒い布を巻いているけれど・・・



「勿論ですご主人様!」

「私達のことよりご主人様。どうか、お気をつけて…」

「必ず帰ってきてくださいね!」


「・・・ん!必ず再開しようね!」


みんなの無事を祈りつつ・・・



『…』

「・・・頼んだわ。」

『りゃ…』


・・・私達は

作戦地点へと向かった・・・



・・・

・・

















「・・・ルクス。抱っこ。」

「なんでだよ!?」

「・・・ただの暇つぶし。命令よ。」

「ちっ…」


1時間後。



「・・・はーやーくぅ~・・・」

「…ったく、、、ホレ。」「んっ!」


ユーラカーラ湖を臨む、

ボロボロ倉庫の片隅で・・・



「みぃ〜…いいなぁ…」

「ひっ///…ひ、人前でナンテことしてるのさお姉ちゃん!?」


私、ルクス。そしてシュシュとアメちゃんの4人は陽月の人

(抵抗組織【陽月】の構成員は魔族だけじゃなく、エルフに恨みを持つ

人間やドワーフもいる)が用意してくれた空き倉庫で作戦時間になるまで、

ご飯を食べて休んでいた・・・



「・・・///」「…///」

「お、お姉ちゃん…」


作戦が始まると、この倉庫は抵抗組織の”補給庫”でもあるため

魔王城に凸する私達の他に、

暴動に参加する陽月の構成員が十数名も潜伏している。



「ま、魔女様…」

「緊張…していないのですか?」

「くそっ…リアじゅ…な、何でもありません…」


【魔国】は戦争に際して即席で作られた国・・・と、聞いていた私は

魔王”軍”といっても、”ゲリラ”みたいなモノかな?・・・なんて。

失礼な事考えていたけど、実体はゼンゼン違ったようだ。


彼ら(そしてエルフたち)が言う”即席”という言葉には”数百年”・・・という、

私達人間からすれば”歴史”といっていい程の時間的長さがあり、


魔王軍は十分に・・・ど、独断で動いちゃう人も居るには居たらしいけど・・・

組織立った”軍隊”であり。


指揮系統も明確に存在し。なんなら、伝令・補給というった専門職も居た。



「…ふふふっ!リラックスするのはいいコトよ!まだ時間もあるんだし…魔女様には精気を養って貰わなきゃ!」


皮接(ひせつ)】の異名を持つ

ラバーラ・マクロネル・レライエ=リザー様


は”伝令兵”のトップ。

彼女の固有魔術は情報伝達に特化しており、今回の作戦では


①魔王城への突入部隊と、

②暴動をする指揮するヤマ様。

そして、

③空から全体を俯瞰(ふかん)するハルピュイア部隊


・・・その全部の情報をまとめ。

伝えてくれる・・・



「そ、そそそそ…」


【遠手】

マスバラスエ・パロ・ハルファス=ファ様


は補給の専門家だ。

戦場を駆け回り、各地へ物資や兵力を運搬してくれる

手筈となっている・・・



「「「「「は、はぁ…」」」」」


この2人は、私が復活させた魔王級魔族閣下。

勿論、2人とも【不死】で。

戦ってもソコソコ強いらしいけど・・・どちらかというと、サポート要員。


今回の作戦では倉庫に()もり、

後方支援をしてくれるコトになっている。


因みに、

ラバーラ様もマス(バラスエ)様も、すごく・・・ど、独特・・・な

見た身をしている・・・



「ふぅーん…魔女様はコウイウノがいいんだぁ…」

「…っ///…い、いいように使われてるダケだ。勘違いすんな耳お化け!」


ラバーラ様は・・・ベースは人間と同じ形をしているんだけど。


顔面以外の至る所に人間と同じ形の「耳」が沢山生えている・・・

と、いう。”ナントモなんとも”な御姿をしている。


因みに、

耳が生えている以外は普通に美人のお姉様で、

ワシャワシャウェーブの黒髪と妖艶な雰囲気が相まって

”アーティスト”感が強い。


アコギを手にストリートで歌っているか・・・あるいは、

人里離れた森の奥地で木の彫刻を創っていそう・・・



「みみおっ!?…失っつ礼な小僧ね!」

「・・・ご、ごめんなさいラバーラ様!うちの家臣がとんだ失礼を・・・ほ、ほらルクス!謝り・・・」


「…ふんっ」

「・・・セト!」『パッチィン!』

「がはっ!」


ラバーラ様の固有魔術は【皮接(ソフトタッチ)】という。

いちど触れたことのあるヒトの”肌”を任意に。遠隔で。同時多発的に

”操作できる”という、恐ろしいモノだ。


魔法は本来、他者の肉体に直接干渉できない筈なのに・・・

このヒトの固有魔術はソノ理を捻じ曲げている。

意味がわからない。


もっとも、肌を操作できる・・・と、言っても、

せいぜい表皮に微振動を与えられる程度とのこと。

そして、

交信中に相手が傷つくと、自身も痛み(肉体的なダメージは

無いものの・・・)を感じてしまうらしい。


彼女はコノ固有魔術を使って私やアミちゃん。ヤマ様やボル爺ちゃんの

鼓膜を振動させて音声を送り情報伝達の”ハブ”になってくれる。


ケガしないように、

気をつけないとね・・・



「まったく!フォニアちゃんに免じて許して上げるけど…次、言ったら心室細動起こして殺してやるからね!」

「・・・ほ、ホントにごめんなさい!よーく。よーく言って聞かせますから!!・・・セト!ルクスに10G!」

『…!』

「っ!?s、shi…」

「これくらいじゃ、死なないよ!」


まったく・・・

ルクスも困ったものだ!


 

「にゅふふふ!」

「し、しししし…」


もう一人の魔王級魔族 マス様は


【手】である。


な、何を言っいるか分からないかもしれないけど

空中に”人間大”の【手】が浮いていて。ソレがマス様である。


口らしきモノは見当たらないけど、少しくらいならおしゃべりできる。


魔国ふしぎ発見!



「る、るるる…」

「わ!マ、マス様!?ルクスに近づいちゃ・・・」

「ぎゅベベベ…」

「・・・・・・セト。重力を解いて・・・」

『…!』



・・・おっちょこちょいのマス様だけど、

今回の作戦では補給の生命線だ。


マス様の固有魔術は【遠手(アンタッチャブル)】といって。

マス様が手の平でナニカを包むと、


包まれた物体(生物、非生物問わず。)とマス様自身が

触れるコトも。検知するコトもできなくなる・・・という、


割とマジでヤバい無敵能力だ。



無敵状態になると、“包まれたモノ”は身動きを取れないし、

心拍も呼吸も止まっちゃうらしいけど

死ぬわけじゃなくて、“一時停止”状態に陥る。


でも、マス様自身は周囲の状況を知覚できる(干渉はできない)し、

動く事までできる。


マス様はこの能力を使って

陽動部隊に物資や人材を補給をしたり、

危なくなったヒトを救出するのがお仕事だ。


瀕死の重症者を”そのまま”連れて来るコトが

できるなんて・・・


ぜひ、救急救命病棟に勤務してほしい。



「…た。助かったぁ…」

「・・・もおっ!」

「ご…ごめめめめ…」

「・・・い、いえ・・・でも。魔法印の中は危険なので。気をつけて下さいね。

マス様といえど、手を開いている間は無敵じゃないのですから・・・」

「わ、わわわか…」


この2人は魔王軍の中でも後方支援特化だから

一緒に作戦を遂行することが多くて。とっても仲良しなんだって!


始めて目にした時は、その姿に驚いたけど・・・

2人ともすっごく人間味があるし、私にも親しく接してくれるいいヒトだ!


確かに見た目は変わっているけど、

でも・・・



「きゃははは!飛んで火にいるマスバラスエ!封印された時と同じでやんのー!」

「ぐぐぐぐ…」


アクマ なんて呼称は、

似合わないよね・・・

ムテキ・・・ナニそれ美味しいの?

・・・カクテキなら知ってるよ!美味しいよ!

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