Chapter 013_古代戦争の行方③
林檎っです!
祝!
401話目!!
「はぁ、はぁ、はぁ…」
数瞬後…
「あぃたたたたぁ・・・」
やはり…
「チッ…」
…この程度では。
倒せんか…
「・・・ふぅ〜」
出し惜しみせず、ほとんど全力といっていい
大上段からの一撃を見舞ったが…
「・・・うぅっ、タンコブできたぁ・・・」
戦斧の刃は刀でにいなされ。
与えたダメージといえば、剣撃により吹き飛ばしたケガ1つだけ。
しかも…
「・・・ふぅっ。・・・すー・・・『右手に針を 左手に糸を 祈り込めて縫い合わせる』リカバー・・・っとぉ・・・」
…そのケガさえ。
ひと唱えのうちに…
「…」
厄介だ…
「・・・さて。」
瓦礫の上で立ち上がった魔女は
『スッ…』
刀を
『…カチッ、』
鞘にしまい
「…?」
何を…魔法?いや、踏み込みからの居合か?
「ふむ…」
警戒して構えた…矢先
「・・・『リブラリアの理第1原理』」
「!?」
んなっ!?
「『綴られし定理を今ここに』」
高位の火魔法だと!?
しかも…
「『煌獅よ』」
こっ、
「『地獄の底より這い出でて』」
この魔法は!?
「させるかっ!!」
この魔法は
いかん!!
「『獄徒に帰厩を促さん』」
急ぎ駆け出し、
「『三叉の首を擡げては』」
『『『『『…』』』』』
投擲の為の手斧を手に、
振りかぶ…
「『紅蓮の咆哮吹き荒ぶ』」
った!?
その、
『『『『『ブシャアァァーーー!!』』』』』
瞬間!?
「んなあっ!?」
床に転がっていた柱の残骸から…
「『大地に炎を』」
「蛇…ヒュドラだと!?」
御前回廊の真ん中に柱の残骸が落ちているコトに
違和感を感じていなかったワケではない。
が…
『『『『『ブシャアァー!!!!!』』』』』
戦いのさなか。
ソレが魔物だなどと、誰が想像できよう!?
しかも
「くっ…」
毒の森の奥地にヒュドラが棲息しているという話は
聞いたことがある。
しかし、ソレが
銀色の…液体のような…身体を持ち。
擬態までスルは聞いていない!
まさかコイツは、
『ブシュルルルゥ!!』
召喚獣か!?
「『空木に熱を』」
ヒュドラに構っている余裕などない!
魔女の詠唱もあと僅かではないか!?
「うをおぉぉぉぉーーーー!!」
一刻も、早くっ!!
「魔ぁ女おぉぉ!!」
ヒュドラの首を一本斬り裂き
そのままの勢いで歩をスス…
『ブシャ!』
…ようとした途端!?
斬り落とした首が…ち、
地を這いっ!?
「がっ!?」
脚に食い付き!
腰まで飲み込み!?
『シュブブブゥ…』
「くそっ、くそがあぁっ!!」
戦斧で叩き、柄で突いたが
水のように弾けるばかりで
『『『『ブシュルルルゥ!!』』』』
「なっ!」
終いに、
残った本体が
『『『『シャアァァァーーー!!!!!』』』』
「ぐをおぉぉぉーーー!!!!」
腕を
頭を
戦斧を
胴を
飲み込み!!
「ご、ごえっ…ぶぶっ゛」
固有魔術を唱えようにも、
「『獄門に構えし無慈悲な番竜』」
…完全に。
時を逸しており…
『キィン!!』
魔女が抜刀し、
「サラマンダー!!」
詠唱が完了し。
『ズッ、ズ、ズズズズ…』
「じ…じばっ…ゴボッ…」
紅蓮に染まった地獄の門が開き…
「・・・さぁ・・・」
回廊が炎に沈み、床も壁も溶け落ち
「・・・おいで。」
床も、空気も、時間さえ…
全てを焼却する炎の獣が
『『『ギ、、、』』』
3つの頭を擡げ
『『『ズズウゥーーン!!!』』』
巨大な体を揺すり、振るわせながら
『『『グュギュオォォォーーーー!!!』』』
炎を振り撒き、
顕現したのだった………
………
……
…
………
……
…
………
……
…
・
・・
・・・
「…四肢を完全に拘束されていた我輩には為す術はなく。炎獣に呆気なく食われ【消失】してしまいました…」
「しょ、消失…」
「はい…。…そして。次の目覚めは500年以上経った後。遠の昔に勝敗は決しておりました…」
ヤマ様と初対面した次の日の夜・・・
「…ごっ、500年後だって!?」
再び組織の隠れ家へ向かった私はアミちゃんのお願いを受けて
ヤマ様の呪い・・・│花の《フラゥル》エルフと結ばれた契約・・・
を破棄。
情報の安全と自由を確保した上で。改めて、
”何があったのか?”を説明してもらうコトになった・・・
「はっはっは!ドゥーチェ殿には完敗ですな!彼女の炎獣は我輩の体を完全に焼き切ったようで。肉体の再形成に長い時を要しましたぞ!」
「いや、笑い事じゃないから…」
「・・・」
リアル黒の魔女ことドゥーチェちゃん・・・
まさか彼女がヒュドラ(”私のヒュドラ”本人〈ヒトじゃなくて。蛇だけど〉に聞いたトコロ。ドゥーチェちゃんのコトは「知らない」とキッパリ言い切った。おそらく、別個体・・・)を宿していたとは思わなかった。
【煌獅】というドラゴンの召喚獣(獅子の”獅”の字を使うのに”竜”らしい。しかも、地獄の番犬よろしく首が3つあるらしい。素材の大渋滞である・・・)も宿していたみたい。
瞳の色はもちろん、出身地も一緒。
なんなら、髪の色まで同じだったとか。
親近感わくなぁ・・・
「・・・ところでヤマ様?」
・・・と、ソレはいいとして。
「…うむ?なんですかな?フィリア殿…」
「ヤマ様」呼びを快諾してくれたヤマ様に
聞きたいコトが・・・
「・・・戦後スグで無かったとしたら。エルフとの契約は、いつ?どういった経緯で結ばれたのですか?」
ヤマ様が結ばされていた契約条件は・・・
①固有魔術の行使禁止
②エルフへの攻撃禁止
③エルフの”求めに応じて”情報開示義務
以上3つ。
契約条件をヤマ様が満たしている限り・・・
①カエン様の補完
②魔族を”無闇に”虐殺や、奴隷化はしない
という、2つの約定を果たす・・・
と、いうものだった。
・・・どんだけ上から目線なの!?
と、思うところだけど、【無条件降伏】の条件としては
”さもありなん”
だからてっきり、降伏時に結んだのかと
思っていたのだけど・・・
「ソレは…約6,500年ほど前。仲間と共に陛下、そしてドゥーチェ殿の解放を目指し反乱を企てた時になりますな…」
「…え?は、反乱!?」
「はっ。…毒花どもの主だった戦力は今も昔も陛下とドゥーチェ殿に偏っております。ならば!と思い、各地で同時多発的に反乱を起こしたのです。」
・・・え?
そんなコトやってたの?
当時はまだ、エルフに情報を盗られていたワケじゃないだろうけど
ソレにしたって、仲間を集めるだけでも大変だったハズなのに・・・
す、すごいね。ヤマ様。
でも、やってる事は
テロだよね・・・
「・・・昨日お伝えした通り。グローティカの大図書館でこの大陸の歴史書を一通り読んできましたが・・・」
「…ボクなんて、ずっと大図書館で暮らしていたけど…。そんな記事を読んだ記憶はないよ?」
カルマート様も、そんなコトはひと言も言っていなかった。
だから、
アミちゃんと一緒に
「・・・ね?」
「うん…」
首を捻ると?
「ソレは…」
私達の言葉に、
ヤマ様は苦い顔をして・・・
「…事件を口にするコトも。綴るコトも箝されましたからな。書物には残らなかったのでしょう…」
「・・・まさか。契約魔法を・・・」
「…何よりの証拠を読んだであろうフィリア殿なら。お分かり頂けるかと…」
「・・・」
大図書館に本を収蔵するには
①原書を直接持ち込む
か、
②同じ本が一定以上の数、出版される
(具体的に何冊なのか?は、カルマート様も「分からない。」とのこと・・・・)
どちらかを満たす必要があるそうだ。
いちど収蔵されれば半永久的に遺るものの、
どちらも満たせない書物は収蔵されない。
だから、カルマート様も「…現地に行かないと。分からないコトも多いハズ…」
・・・と、言っていた。
都合の悪い歴史を隠してしまう・・・と、いうのは。
「…一斉反乱の際、一定の成果を上げた仲間もおりましたが最終的にはドゥーチェ殿か…」
世界が変わっても、種族が違っても
同じなんだね・・・
「…あるいは他でもない。お助けするハズの陛下の喉によって…」
だからきっと、
歴史は繰り返される・・・
「・・・」
・・・きっと。
何度でも、何度でも。
「姉様…」
“可哀想な”被害者ばかりが
増えていく・・・
ながー・・・い長編小説となった本作も、
残すとこアト・・・ひゃ、百話はいかない予定です!!
ここまでご覧いただきありがとうございますl
あとちょっと、
お付き合い願えれば幸いですっ!
・・・よろしくねっ ,;>
* * * * *
す、すみません!
Chapter No.を間違えていましたね!?
修正しました。(2024/04/20 15:30)




