第91章 注意伝達
特別閲覧室と呼ばれていたものの、部屋の中はどこにでもありそうな会議室にしか見えなかった。
扉は内側のボタン一つで透明にも不透明にもなることができる構造らしい。
係員の一人がそのボタンを押して、まるですりガラスのようになった扉を閉める。
「こちらで、お読みください。係員の1名は部屋の中で常駐します。会話はしていただいても構いませんが、行動および会話その他一切はすべて録画録音されていることに留意して下さい。また係員の指示には必ず従ってください。従わない場合は強制的に退室していただきます。また、メモその他の類については適時行ってもらっても構いませんが、当該図書に関して機械的あるいはスキャナーその他の道具を用いてコピーなどを行うことは厳に禁止されています。以上のことを了解していただけたでしょうか」
「はい、理解しました」
係員は1人がカイツたちに注意事項を伝達し、もう一人が準備されていた図書を閲覧台へと丁重に運んできていた。
「ではすべての注意事項を理解していただけたと認めます。閲覧を開始してください。終了をしたいときは室内の係員におっしゃってください。なお、この部屋は閉館までは利用することができますが、何らかの事情によって体質をお願いする場合があることに留意してください」
白手袋まではしていないが、そろそろと持ってきてくれた本は3冊。
それぞれがエルハード文書に関する書籍なのだという。
「……わかりました」
すでにみんなの意識はこれらの本に向かっていた。




