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ハッピーエンドの世界線  作者: さくら優


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12/12

おまけ その後の種明かし

蒼汰が帰ってきて、玄関先で抱き締めてキスをして、本当はすぐにでもそのまま触れたい気持ちを、理性を総動員して収め、ゆっくり話をしたり食事に行ったり、夜までは穏やかに過ごした。


「今日、泊まってくだろ?」

「うん」


ソファで寛ぐ蒼汰の髪を梳くように撫でる。先にシャワーを浴びようかと考えていたところで、蒼汰が徐に口を開いた。


「俺、今度はちゃんと、守れたと思うんだ」

「え?」

「父さんと母さん」

「えっ、それって⋯」


驚いて目を瞠る。蒼汰は正面をむいたまま口許に笑みを浮かべた。


「色々根回しして、前は付けてなかった防犯カメラ家に付けてもらったり、後、犯人の顔も名前もわかってたから⋯」


あの犯人は、蒼汰の家を襲う前に別の事件を起こしていた。そっちで捕まれば蒼汰の家族は襲われずに済むはずだ。


そう考えて、最初の事件が起こった時に、犯人の情報を警察に伝えたらしい。


「それで、捕まった⋯のか?」

「うん。だから少なくとも、卒業式の日に、あの事件は起きない」

「!」


変わった? 過去が?


だからといって、今自分たちが生きている世界に、突然蒼汰の両親が生き返るわけではないようだが。


「卒業式の日にっていうのを回避出来ただけで、その後どうなるかはわかんないけど」

「大丈夫だ」


柊二は力強く頷いた。


根拠なんてなかった。けれど、なんとなくもう大丈夫なのだと、そんな気がした。


蒼汰にも伝わったのか、彼は照れたように笑った。


「よく頑張ったな」

「ん」


ぽんぽんと頭を撫でる。子ども扱いするなと怒るかと思ったが、素直に頷いて抱きついてくる。


そのまま、ベッドに誘ってキスをした。


舌を吸い上げ唇を食むと、掴んだシャツをぎゅっと握ってくる。


「柊二さん、元々エッチ上手いんだと思ってた」

「っ、なんだよ急に」

「違ったんだね。卑怯だ」

「別に卑怯じゃないだろ」


柊二には、蒼汰と付き合うにあたって、1年分のアドバンテージがあった。初めて抱いた時にそのアドバンテージを惜しみなく利用し、感じさせてやったがために、上手いという評価になっていたのだろう。


「他の奴としてたよりマシだろ」

「それは、まあ⋯」


赤い顔で睨んでくる蒼汰の頰を軽く抓むと、そうなんだけど、と言葉を濁す。


くすりと笑って耳に唇が触れそうな距離で囁いた。


「拗ねるなって。せっかく久しぶりなのに」

「っ、別に、拗ねてないし」


そのまま耳朶から首筋に唇を滑らせると、蒼汰は熱く湿った溜息を溢した。


「あと、俺はあんまり久しぶりじゃないけど」

「⋯お前な。怒らせたいのか?」


過去の自分に嫉妬する。


嫌そうに眉を顰めると、蒼汰はくすくすと笑った。


それを塞ぐように、噛みつくみたいなキスをすると、背中に腕が回ってくる。


悪戯っぽく笑う声が、甘くかすれた喘ぎに変わるのには、それほど時間はかからなかった。


END.


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