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それから浦野くんが引っ越しをして、この山奥の雪深い町からいなくなってしまうまで、真由美は浦野くんに告白をしなかった。
「真由美、本当にええの? 本当に後悔しないんやね?」
と何度も春日は言ってくれたけど、「うん。大丈夫。後悔しない」と言って、真由美は告白しなかった。
「これ、よかったらもらって」
そう言って、浦野くんは引っ越しのときに真由美にお守りをくれた。
「どうもありがとう」
泣きながら、そう言って真由美は浦野くんからそのお守りを受け取った。
それから季節は過ぎて、浦野くんのいない冬がやってきた。
「真っ白やね」
そんな見慣れた雪の降った風景を見ながら、にっこりと笑って春日が言った。
「本当だね」
と真由美はいう。
「浦野くん。雪を見るために帰ってくるやろか?」
春日は言う。
「さあ、どうだろう? わかんない」と真由美は言った。
真由美が後ろを振り返ると、二人の歩いている雪の積もった道の上には足跡が残っていた。
今日は中学校の卒業式。
「じゃあね、真由美、ばいばい」
「うん。ばいばい」
そう言って、笑顔で春日と別れたあとで、真由美は中学校の卒業証書の入った筒を持ちながら、家までの一人の帰り道で、いろんなことを思い出していた。
今も君を思う。
おしゃべりの時間 終わり




