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……あなたに会いたい。
世界は真っ白な雪の色をしていた。
真由美は空を見ながら、裏庭に、一人でぽつんと立っていた。
やってきた浦野くんは真由美に気がついて、「やあ」といつものように無邪気な顔で笑いながら真由美に言った。真由美は「うん」と浦野くんに言った。
真由美の心臓は、すごくどきどきとしていた。
(顔もほんのりと赤く染まっていた)
でも、なるべくいつも通りに振る舞いながら、真由美は「浦野くん。引っ越ししちゃうんだよね?」と浦野くんに言った。
「うん。もう少ししたらね」
と浦野くんは言った。
「いつ決まったことなの?」
「うーん。詳しいことは僕にもよくわからないけど、結構急な話だった」
と浦野くんは言った。
「遠くだよね?」
地面の上にある真っ白な雪を見ながら真由美は言った。
「うん。海の見えるところ」
と、地面の上にある雪を触りながら浦野くんは言った。
「そこはあんまり雪は降らないらしいんだ。だから、もうこんな風にいやってなるくらいに雪を見たり、触ったりする日は当分なくなってしまうのかもしれない」
と浦野くんは言った。
「帰って来ればいいよ。雪を見たり、触ったりするためにさ」
と真由美は言った。
「そのためにこの町に?」と浦野くんは言った。
「うん。たまに、でいいからさ」
と真由美は言った。




